Oceangreenの思索

主に、古神道、チベット仏教、心理学等に基づく日本精神文化の分析…だったはずなんだけど!

悪神セト=子供のホルスの可能性

2010-05-10 | 思索のかけら
インドのシヴァ神に、良いシヴァと悪いシヴァがあるというのを、
ちらりと読んで、気になり始めました。

セトにも、
良いセトと悪いセトがあるのではないかと。

***

セトは、言霊的には“背・止”になり、
エジプトの背骨・ナイルの象徴でもあったオシリスを殺した神に、
ふさわしい名前だと思います。

ですが、本来のエジプト名はステク。
水を照らし来る、という言霊になります。

そもそも南エジプトの古い神であり、
悪神の面影は全くなかったとも。

南エジプト=ナイルの源流=上から来る水である古いステクは、
オシリス=文化英雄スサノオの兄弟神であり、水に象徴される神、
すなわち月読ではないでしょうか?

ゲブ王朝のイシスをめとったオシリスが、
彼の生来の個性のままの性格だったとしたら、
王朝の人々と意見があわなくても、正しいと思った事を貫くでしょう。

また、本来の妻・ネフティスを
全く捨て去ってしまうことも良しとしないでしょう。

その為に、
イシスやゲブ王朝の人々に疎まれ、殺されたとしたら?

兄弟である月読=ステクもまた、ゲブ王朝のやり方を、
良しとはしないでしょうし、
オシリスが殺されたとしたら、許さないでしょう。

オシリス死後に生まれたとされるホルスを、
生家であるシュウ王朝の後継とも認めないでしょう。

その為に、ゲブ朝支配下のエジプトで悪神とされるようになり、
オシリス殺しの汚名を着せられたとしたら?

***

ホルスは、エジプト全土で信仰されていた最も古い王権の神であり、
イシスの息子をホルスとすることは、その王権の正当化となります。

しかし、イシスの息子ホルスは気性の荒い神格で、
本来のハロエリスとはあまり似ていないように思いますし、

ウガリット神話でセトと同一視されるバールは、
エール=オシリスの息子とされ、その名もホルスに通じます。

また、イシスのエジプト名はアセトであり、
セトを生んだことを示していると同時に、汗・止で氷の女王になります。

たたら場では、火は鉄を産み出す神であると同時に、
人々を苦しめる、強烈な熱と光でもあります。

そのために冷たさが敬われた、ということも
ありそうです。

さらに、アセトの名は、
ウガリットの女神で後にキリスト教の悪魔となった
アスタルトの名とも通じるのです。

***

ゲブ王朝では、歯向かったために悪神とされていただけのステクが、
その王朝が倒れて別の王朝となった後は、
新王朝のたたり神となった子供のホルスと習合し、

セトという神格は本当に悪神となってしまった。
そのため、彼を祀るために
コンスという新しい神格が生まれたのだと思います。

***

日本神話の中で、イザナギ・イザナミの最初の子として生まれ、
葦の舟に乗せられて川に棄てられた日蛭子もまた、
月読ではないかと思います。

ステクが捨て子に通じる、というだけの理由ですが。

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