ジャズの三大レーベルというと、「ブルーノート」「プレステッジ」「リバーサイド」であるが、ジョン・コルトレーンやオーネット・コールマン、さらにはローランド・カークを取り上げた「アトランティック」も興味深いレーベルである。
その「アトランティック」が創立60周年を迎えた時に紙ジャケ、リマスター盤を出したのを切っ掛けに、レコードで所有しているのにCDにも手を出し始めた。
と書けば、何か「音」にこだわっているように聞こえるが、実はコルトレーンの『マイ・フィヴァリット・シングス』のモノラル盤を手に入れるために、あれこれとリマスター盤を購入し特典盤に応募しただけのことではあるのだが。
横道に逸れてしまったが、手にしたリマスター盤の「音」に結構、満足していた。
そこに、最近愛読しているジャズ批評No.142の「ジャズ・オーディオ対談」という記事に
『スリー・ブラインド・マイス(TBM)』
の創設者、藤井武氏が登場したのだった。
日本のジャズは聴かないわけではなかったが、どちらかと言えば苦手意識があったし、金銭的にも余裕がなかったので、ほとんど聴いていない。
この対談の中で、まず取り上げられたアルバムが、
ピアニスト、山本剛の『ミッドナイト・シュガー』であった。
藤井氏は対談の冒頭で、XRCDのマスタリングについて熱く語られており、その手作り感に興味をそそられた。
そんな折、スイング・ジャーナル誌の2007年度ジャズ・ディスク大賞・最優秀録音賞(リマスタリング部門)に、このTBM名盤復刻シリーズが選ばれた。
XRCDは、私がお世話になっているオーディオ店に商品が置かれていたので、興味はあるのだが、如何せん、値段が高い。
今まで耳にしたオーディオ・プレゼンテーション用のアルバムは、確かに良い「音」はするのだが、「音楽」として聴くには面白みのないものばかりであった。
そこで、
Super Extended Resolution Sound Of TBM
というコンピレーション・アルバムをネットで見つけた。
山本剛、鈴木勲、中本マリなど錚々たる人たちの曲が入っている。一度、聴いてみるかと軽い気持ちで、先のオーディオ店で購入した。
この時に、XRCD盤の『ミッドナイト・シュガー』の1曲目を聞かせたもらった。この「音」の感触を忘れないうちに、SACD盤を購入した。
XRCD盤とSACD盤の「音」の比較を試みたものの、どちらも良い「音」という感想しかなく、やはり良い「音」で聴いていると「演奏」に耳が傾いてしまうのである。