TOTO

お気楽主婦のお気楽な日記

みつけもの2

2009-01-30 09:12:08 | 木村っち
前回のブログにたくさんの反響があった。
ありがとうございます♪
私は図書館で借りたというのに、本をお買い上げの方もいらっしゃるようで…
恐縮しておりまする

前回に味をしめて(?)、図書館で見つけた本のご紹介。
ビジネスについてだから、ほっこりとはできませんが…。
やたら長くなってしまいましたし


『日本映画のヒット力 なぜ日本映画は儲かるようになったか
 著作:大高宏雄  出版:ランダムハウス講談社

著者の大高さんは映画ジャーナリストで、
『キネマ旬報』で「ファイトシネクラブ」という連載をお持ちの方。
本書は映画をクリエイティブな中身に関してではなく、
映画の産業的側面について語っている。
(雑誌で言えば『日経エンタ』のようかな?)
映画の質だけではなく、
産業的にも見ていかなくては映画界に未来はないのだそうだ。

大高さん曰く、
かつて斜陽だった日本映画は「戦略」と「情報戦」において商業的に復活した。

「戦略」とは興行優先で映画を作ることである。
映画館数、予定公開日数から動員数=興行収入を導き出して、
それを基にして映画を製作していく。
これに優れているから、東宝はダントツの興行収入を誇るらしい。

「情報戦」とは宣伝のこと。
最近は巨額をかけて、メディアミックスな展開で宣伝する。
いかに情報戦を巧妙に仕掛けるかがヒットの条件なんだそうだ。

この「情報戦」において、ジャニーズ系俳優は特別な位置にいる。
局横断型で、製作局の番組だけでなく、自分の出演している番組でも宣伝できる。
縦横無尽な柔軟な宣伝ができる強みがある。
これが大ヒットの極めて大きな要因だと言える。
(『武士の一分』も例に出されている)

芸能プロダクションが映画製作にかかわるという章では、
ジャニーズ事務所が筆頭に上げられている。
鳴り物入りの娯楽作品は東宝で、
少しアート色の強い作品はアトミックエースでというように分けている。
ひとつのグループに特化された映画製作会社ジェイ・ストームや
自社の映画館である東京グローブ座のことも書かれている。
(が、ジェイ・ドリームについては書かれていない。不思議)
この事務所はマネージメント業だけではなく、
レコード会社も持つメーカー業まで兼ねて、
他の芸能プロを大きく超えているのだそうだ。
(が、スマさん達にはあまり関係ない話だ…)

日本映画をビジネス面で語るこの本。
ここで木村っちはどう語られているのか?
これは「07、08年邦画新展開から見えるもの」の章で多くをさかれている。
「え?それは違う…」「そうじゃないだろ」って部分もある。
が、商業的観点から見るとこうなのねって頷いた。


(以下、抜粋。中途略あり)



「木村拓哉、キムタクにすれば、
 これまで興行的にそれほど抜きん出た作品に出演していたわけではない。
 グループ全員が出演した唯一の映画『シュート』を別格にすれば、
 キムタクは『君を忘れない』(95年)を経て、彼の3作目はなんと、
 その9年後の合作『2046』(04年)であった。

 映画よりテレビドラマを優先してきたこともあったとは思う。
 しかし、映画をこれほど“拒否”したのは意外であった。
 ただ一つ言えるのは、
 彼が映画作品の選択を慎重にしてきたことがあったのだと思う。
 映画においては、国際的な飛躍の場としたい思惑があったのではないか。
 いきなり『2046』への出演というのは、実にわかりやすい。

 07年の正月作品であった『武士の一分』への出演も、
 俳優としてのメリット部分を大きく考慮してのものだったろう。
 ここでいうメリット部分とは、
 国際的な評価と国内を含めた映画賞への可能性を志向してのメリットである。
 テレビドラマでは得られない俳優としての評価を獲得するためである。
 『武士の一分』に関して言えば、国際的な部分はともかくとして、
 国内的には俳優としての成果は、大きく上がったと見ていい。
 上手くいったのである。

 興行もまた、彼の出演によって、興収40億円をこえることができた。
 他の山田監督作品と比べても、キムタク効果以外ありえない。

 こうしたキムタクの映画出演傾向を見ると、
 いささか『HERO』が異色なのが理解できるのではないかと思う。
 世界を意識した作品選択、
 それも芸術性豊な作品への出演を徹底的に行ってきた彼にして、
 人気ドラマの映画化作品であり、
 全くの娯楽作品に出演したということ自体、
 非常に不可解な面もあったと言えるのだ。
 彼の映画戦略に少し修正点が出てきたのかなと思う。
 まがうことなき商業映画への出演を、
 これまでの作品系列と平行して行っていく。
 そのことの決意表明のような感じが、
 『HERO』への出演にはあったのではないか。

 芸術映画への出演、
 国際的な志向性を見せる今までのやり方が修正されたというわけではない。
 次作がトラン・アン・ユン監督作品だということでわかる。
 娯楽作品、芸術作品双方への出演が、
 キムタクの今後の映画戦略であると見ていい。
 この双方で俳優としての頂点を目指すと言えようか。

 『HERO』の興行はキムタクの人気のほどを改めて知らしめる大きな意味のあるものとなった。
 もちろん、100億円を超えるかどうか今後の展開次第だが、(*この本は07年秋刊行)
 『HERO』が07年のトップの成績をあげるだろうことは間違いない。
 このことが邦画にとってどういう意味があるというかといえば、
 これでまた一つ、安全パイとしての邦画のヒット“路線”が確立したということであろうか。
 これは非常に重要なことなのである。
 キムタクが、やる気になったのだから。」



ファンとすれば、「う、う~ん」な感想になる。
木村っちが映画を“拒否”したことはなかったろうし、
国際的志向もないだろうし、商業的も芸術的も分けてないと思う。
俳優的な評価なんかに関心も願望もないだろうし、
テレビドラマよりも映画の方が上等だなんて思ってないだろうし。
ただ自分のアンテナに引っかかるかどうかじゃないかな?木村っちはね。
ミッチーの選択とはまた別になるだろうし。
戦略を決めてるのは彼女だろうしなぁ
そのへんをごっちゃにして語られると片腹痛いって思っちゃうんだけどね。

ともあれ、木村っちが「やる気になった」っていうのは邦画にとって一つのニュースである。
そういう考え方をされると嬉しくもある。
娯楽作品、芸術作品の両方で活躍していく意向なら大歓迎だしね♪


『HERO』の興行収入100億円云々というのは、最終的には達成はされなかった。
この本は結果がまだ出ていない頃に書かれている。
しかし、以下のように書かれている。


「当代随一の人気者が主演し、それも人気ドラマを映画化した娯楽作品。
 これに、ちょっと考えられないような数多くのマスコミ露出があり、
 それで100億円か、という見方もある。
 スタジオジブリ作品のように、なぜ200億、300億円ということではないのか。

 『HERO』以上の作品は、そうは邦画から登場することはない。
 そうであるならば、実写モノの興行的な限界が『HERO』で露になっているとも言えるのだ。
 まぁこれまで3作品のみが100億円を越しているということを考えれば、
 それがいかに大変かということもあるのだが」


一昨年に『HERO』の興収が失敗であったかのように書いたマスゴミさんに読んでもらいたいもんだ。
しかし、木村っちのマスコミ露出がそれほど多くもなかったんじゃって思ってしまうのは、
やはり昨年来の『貝』プロモーションがあったからかしら?
ジブリアニメと比べられてもな~って困るし。

他にもテレビ局の映画製作のかかわり方や、
各映画会社の特徴についても述べられている。
また、ジブリの鈴木プロデューサーなどの映画人との会談も載っている。
シビアな面が多いが、なかなか面白い内容だった。

いかに中身が素晴らしくても興行的にはつながらない。
中身で勝負の時代ではない。
公開するための戦略をもって製作しなければ、
このまま邦画バブルははじけて本物にはなれない。
そうなれば製作にかける愛情や半端な映画愛は潰されてしまう。
ちゃんとした戦略なしでは生き残れない。
製作陣にそれが問われている。
情報戦=宣伝が目的になり、映画そのものは置いてけぼりになる。
そうなった時、邦画は熱い魂を持てるのか?

会社も人も、熱さを残した冷静な大人にならなくっちゃってことなのかしら?

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2 コメント

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プロモーション (yasuko)
2009-01-30 19:28:05
はぁ…
ジブリでも、こと、「ハウル」に関してはそれまで以下の宣伝ではなかったですか?よくはしりませんが
期待していた「裏側」というものがほとんどなかったという声をそこかしこで聞きましたが

新之丞様でしたっけ…久利生さんでしたっけねぇ…「なりふり構わない宣伝」と『何処がぁ?』なやっかみを受けたのは

ちょっと関西のWSに出たくらいでしょ?
ヒット御礼の舞台挨拶をしたぐらいでしょ?

日本全国各地なんて行ってもいないし…マスコミさんが必ず取り上げるから目にする=露出が多いになるのかしら…???
不思議ね
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コメントありがとうございます♪ (toto)
2009-01-31 14:37:54
yasuko様
マスゴミを初め、不思議なダブルスタンダードで物事を語る方々がいらっしゃいますもんね。
こちらは20でも凄いで、こちらは80じゃダメだったりね。
木村さんが動くととんでもなく目立ってしまいますものね。少し動いても大きく取り上げられるし。少しでも「大宣伝」=「焦ってる」でしたよねぇ。
特に『ハウル』は宣伝しない宣伝でしたね。あれは声が木村さんだからできたワザだったと思います。鈴木P、得したなって思ったもんです。
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