(元?)歌手のASKAさんが覚せい剤の使用で再逮捕されたそうだ。
ま、でしょうね。
やめられるはずもない。
覚せい剤まで手を出したら、もう、社会復帰は基本的に無理だろうと思う。
驚きはない。
ただ、彼が幻覚や幻聴で警察にまで自ら電話をして、ことが発覚したという経緯が明かされると哀しいなと思った。
幻覚や幻聴に悩まされた人がどういうものか、アテクシは現実に知っている。
アテクシの父がそうだからだ。
アテクシの父の場合は、身体が不自由になっていく病なので、それを遅らせるために意図的に「ドーパミン」を出させる薬を飲んでいたこともあった。だが、そうすると体のいくらかの自由は保てる分、脳は常に興奮状態になり、年がら年中「幻覚・幻聴」に悩まされる。眠ることもできない。
「部屋に誰かが入ってくる」だの「盗聴されている」だの「トイレが爆発する」だの、「部屋が燃えている」だの。
その度に、年中、朝夕関わらず呼ばれ、くだらない世迷いごとにつきあわされる。「それが現実ではない」と言っても、所詮無駄なこと。当人にとっては、どれも鮮烈に「現実」なのだ。恐怖におびえているのは「彼らにとっての」現実。しかし、実際の「現実」には、盗聴者もいないし、監視者もいない。ただ、そこにいるのは「頭のおかしい人が、一人」である。認知症の方や、こうした幻聴・幻視に悩まされる患者さん相手には、傾聴して同意するしかない。しかし、健常な人間がこうした「頭のおかしい人」の相手を親身になって「聞く」ことって、ほんとに疲れるんだよ。同じことの繰り返しだし。狂ったループに放り込まれる感じ。
書いていると笑えるけれど、これに実際、ましてや一人でつきあうことになったら、少しも笑えない。
その切実さを身に染みて知っているから。ASKAさんが切羽詰まっていたのだろうなということは、良く分かる。
ご家族も大変だろうな、と。彼は20年近く覚せい剤を使用しており、ヘビーユーザーだったろうから、正直もう「復帰」は無理だろうと思う。脳が「やられて」いるんだよ。
この人、もう、死んだ方が幸せだろうな…。
ファンの方の中には「信じていたのに裏切られた」とか感じている人もいるようだが、覚せい剤中毒にまでなった人が、「意志」だけで、社会復帰できると思ったら大間違いだ。一生、施設の中などで過ごさない限り、薬物の乱用を繰り返すだろう。それが「薬物」というものだ。
人の「意志」程度で、どうにかなる話ではない。脳細胞や神経が損傷しているのだから。戻らないのよ。
人間の身体って、本当に一つひとつの原子でできていて、身体の中で起こるすべからくは「化学反応」なのだなぁと。
この人はもう、元には戻れないでしょう。