イザヤ書6章9~10節(日本聖書協会「新共同訳」)
主は言われた。
「行け、この民に言うがよい
よく聞け、しかし理解するな
よく見よ、しかし悟るな、と。
この民の心をかたくなにし
耳を鈍く、目を暗くせよ。
目で見ることなく、耳で聞くことなく
その心で理解することなく
悔い改めていやされることのないために。」
マタイによる福音書13章10~15節(日本聖書協会「新共同訳」)
弟子たちはイエスに近寄って、「なぜ、あの人たちにはたとえを用いてお話しになるのですか」と言った。イエスはお答えになった。「あなたがたには天の国の秘密を悟ることが許されているが、あの人たちには許されていないからである。持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。だから、彼らにはたとえを用いて話すのだ。見ても見ず、聞いても聞かず、理解できないからである。イザヤの預言は、彼らによって実現した。
『あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、
見るには見るが、決して認めない。
この民の心は鈍り、
耳は遠くなり、
目は閉じてしまった。
こうして、彼らは目で見ることなく、
耳で聞くことなく、
心で理解せず、悔い改めない。
わたしは彼らをいやさない。』
「何故、彼らにたとえを用いて話すのか」と尋ねた弟子たちに対して、主イエスは「あなたがたには天の国の秘密を悟ることが許されているが、彼らには許されていないからだ」とお答えになりました。「天の国」とは天にある場所という意味ではありません。「国」という言葉には、「支配」という意味があり、「天の国」は神の支配ということです。神の支配とは、人間と人間が住む世界に対する神の働きかけということです。言い換えれば、罪にとらわれている人間を救う神のご計画であり、その働きです。
「秘密」は、口語訳聖書で「奥義」と訳されていました。ギリシア語のミュステーリオンで、現代の「ミステリー」という言葉の語源になりました。これは、人間には知ることのできない神のみが知る知恵や知識のことです。
人間を救う神のご計画が、何故秘密にされるのでしょうか。それは、神のご計画や働きを、人間は自分の都合の良いようにゆがめて解釈をするからです。旧約聖書の時代、預言者たちが伝えた神の言葉を、時の権力者や有力者たちが、ゆがめて解釈をしたり、預言者を迫害しました。
では、何故弟子たちには天の国の秘密を悟ることが許されているのでしょうか。それは、彼らが、神のご計画とその働きを宣べ伝えるためです。実は、悟ることが許されていない人々というのは、全ての人が悟ることができないというのではなく、その中には、後になって悟る人もいるのです。しかし、それは人間の知恵や経験によるのではありません。それもまた、神の働きによることであり、神の選びによると言って良いでしょう。それともう一つ、神が定めた時ということが重要です。このような「時」を強調しているのはヨハネ福音書で、そこでは弟子たちについても、主イエスに関わる出来事が起こった時、彼らはその意味を悟ることができず、後になって悟ったと記しています。マタイ福音書において、先に悟ることを許された弟子たちは、神のご計画と働きを伝える役目を担っており、後に、それを多くの人々に伝えていく使命が与えられています。主イエスの十字架と復活の後に、弟子たちは全世界へと派遣され、「全ての民を私の弟子にしなさい」と命じられているのは、そのことを指し示しているのです。
主は言われた。
「行け、この民に言うがよい
よく聞け、しかし理解するな
よく見よ、しかし悟るな、と。
この民の心をかたくなにし
耳を鈍く、目を暗くせよ。
目で見ることなく、耳で聞くことなく
その心で理解することなく
悔い改めていやされることのないために。」
マタイによる福音書13章10~15節(日本聖書協会「新共同訳」)
弟子たちはイエスに近寄って、「なぜ、あの人たちにはたとえを用いてお話しになるのですか」と言った。イエスはお答えになった。「あなたがたには天の国の秘密を悟ることが許されているが、あの人たちには許されていないからである。持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。だから、彼らにはたとえを用いて話すのだ。見ても見ず、聞いても聞かず、理解できないからである。イザヤの預言は、彼らによって実現した。
『あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、
見るには見るが、決して認めない。
この民の心は鈍り、
耳は遠くなり、
目は閉じてしまった。
こうして、彼らは目で見ることなく、
耳で聞くことなく、
心で理解せず、悔い改めない。
わたしは彼らをいやさない。』
「何故、彼らにたとえを用いて話すのか」と尋ねた弟子たちに対して、主イエスは「あなたがたには天の国の秘密を悟ることが許されているが、彼らには許されていないからだ」とお答えになりました。「天の国」とは天にある場所という意味ではありません。「国」という言葉には、「支配」という意味があり、「天の国」は神の支配ということです。神の支配とは、人間と人間が住む世界に対する神の働きかけということです。言い換えれば、罪にとらわれている人間を救う神のご計画であり、その働きです。
「秘密」は、口語訳聖書で「奥義」と訳されていました。ギリシア語のミュステーリオンで、現代の「ミステリー」という言葉の語源になりました。これは、人間には知ることのできない神のみが知る知恵や知識のことです。
人間を救う神のご計画が、何故秘密にされるのでしょうか。それは、神のご計画や働きを、人間は自分の都合の良いようにゆがめて解釈をするからです。旧約聖書の時代、預言者たちが伝えた神の言葉を、時の権力者や有力者たちが、ゆがめて解釈をしたり、預言者を迫害しました。
では、何故弟子たちには天の国の秘密を悟ることが許されているのでしょうか。それは、彼らが、神のご計画とその働きを宣べ伝えるためです。実は、悟ることが許されていない人々というのは、全ての人が悟ることができないというのではなく、その中には、後になって悟る人もいるのです。しかし、それは人間の知恵や経験によるのではありません。それもまた、神の働きによることであり、神の選びによると言って良いでしょう。それともう一つ、神が定めた時ということが重要です。このような「時」を強調しているのはヨハネ福音書で、そこでは弟子たちについても、主イエスに関わる出来事が起こった時、彼らはその意味を悟ることができず、後になって悟ったと記しています。マタイ福音書において、先に悟ることを許された弟子たちは、神のご計画と働きを伝える役目を担っており、後に、それを多くの人々に伝えていく使命が与えられています。主イエスの十字架と復活の後に、弟子たちは全世界へと派遣され、「全ての民を私の弟子にしなさい」と命じられているのは、そのことを指し示しているのです。