致知出版社、「偉人たちの一日一言」よりです。
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「喜びの種をまく」
『致知』2007年12月号
総リードより
http://www.chichi.co.jp/yorokobinotane.html
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仏法に「無財の七施」という教えがある。
財産が無くても誰でも七つの施しができる、
喜びの種をまくことができるという教えである。
財産が無くて、どうして施しができるのか。何を施せるのか。
『雑宝藏経』は、
「仏説きたもうに七種施あり。
財物を損せずして大果報を得ん」
として、七つの方法を示している。
一は「眼施」──やさしいまなざし。
二は「和顔悦色施」──慈愛に溢れた笑顔で人に接する。
三は「言辞施」──あたたかい言葉。
四は「身施」──自分の身体を使って人のために奉仕する。
五は「心施」──思いやりの心を持つ。
六は「床坐施」──自分の席を譲る。
七は「房舎施」──宿を貸す。
大きなことでなくともいい。
人は日常のささやかな行いによって喜びの種をまき、
花を咲かせることができると釈迦は教えている。
自らのあり方を調えよ、という教えでもあろう。
「無財の施」の教えで思い出すことがある。
生涯を小中学生の教育に捧げた
東井義雄先生からうかがった話である。
ある高校で夏休みに水泳大会が開かれた。
種目にクラス対抗リレーがあり、
各クラスから選ばれた代表が出場した。
その中に小児マヒで足が不自由なA子さんの姿があった。
からかい半分で選ばれたのである。
だが、A子さんはクラス代表の役を降りず、
水泳大会に出場し、懸命に自分のコースを泳いだ。
その泳ぎ方がぎこちないと、プールサイドの生徒たちは笑い、
野次った。
その時、背広姿のままプールに飛び込んだ人がいた。
校長先生である。
校長先生は懸命に泳ぐA子さんのそばで、
「頑張れ」「頑張れ」と声援を送った。
その姿にいつしか、生徒たちも粛然となった。
こういう話もある。そのおばあさんは寝たきりで、
すべて人の手を借りる暮らしだった。
そんな自分が不甲斐ないのか、
世話を受けながらいつも不機嫌だった。
ある時一人のお坊さんから「無財の七施」の話を聞いたが、
「でも、私はこんな体で人に与えられるものなんかない」
と言った。お坊さんは言った。
「あなたにも与えられるものがある。
人にしてもらったら、手を合わせて、
ありがとうと言えばよい。
言われた人はきっと喜ぶ。
感謝のひと言で喜びの種をまくことができる」。
おばあさんは涙を流して喜んだという。
「喜べば喜びが、喜びながら喜び事を集めて喜びに来る。
悲しめば悲しみが、悲しみながら悲しみ事を集めて悲しみに来る」
──若い頃、ある覚者から教わった言葉である。
喜びの種をまく人生を送りたいものである。
最後に、東井先生からいただいた詩を紹介したい。
《雨の日には 雨の日の
悲しみの日には悲しみをとおさないと見えてこない
喜びにであわせてもらおう
そして
喜びの種をまこう
喜びの花を咲かせよう
ご縁のあるところ いっぱいに……》
………………………………………………………………………………………………(転載以上)
“財産が無くても誰でも、喜びの種をまくことができる”、ありがたいことだと思います。
“人は日常のささやかな行いによって喜びの種をまき、
花を咲かせることができる。”
確かに、自分の心に残っている素晴らしい思い出も、人の温かい心に触れたときのことです。
からかい半分で水泳の代表に選ばれてしまったA子さんの懸命の泳ぎ、
背広姿のままプールに飛び込み、寄り添って応援する校長先生の姿。
その場面を想像するだけでこみ上げてくるものがあります。
こうなる前に出来ることもあったと思います。
でも、その場を身を持って体験することが、他の子供たちにとっても本当に必要なことだという判断があったのかも知れません。
人が生きる最大の喜びは、他の人の役に立っている、役に立つことが出来る、と実感出来ることだ、と言います。
寝たきりのおばあさんのお話は、そのことが真実であるということを思い起こさせてくれます。
「致知一日一言」よりです。
「致知一日一言」読者の皆さま
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
人間学を学ぶ月刊誌『致知』がおかげさまで創刊33周年を迎えました。
明日と明後日の二日間、それぞれ日経、読売新聞で全面広告が掲載されます。
そこで本日は、昨年の『致知』創刊32周年の際、新聞広告で紹介された感動の実話「縁を生かす」をご紹介します。
不潔でだらしのない少年と、その少年を疎ましく思う先生。
やがて先生の知る真実、そして二人が結ぶ縁とは―。
* * *
その先生が五年生の担任になった時、一人、服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年がいた。
中間記録に先生は少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。
ある時、少年の一年生からの記録が目に留まった。
「朗らかで、友達が好きで、人にも親切。 勉強もよくでき、将来が楽しみ」とある。
間違いだ。他の子の記録に違いない。先生はそう思った。
二年生になると、「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」と書かれていた。
三年生では「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」
後半の記録には「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」とあり、
四年生になると「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」
先生の胸に激しい痛みが走った。
ダメと決めつけていた子が突然、深い悲しみを生き抜いている生身の人間として自分の前に立ち現れてきたのだ。
先生にとって目を開かれた瞬間であった。
放課後、先生は少年に声をかけた。
……続きはHPで!
☆「縁を生かす」全文はこちら
↓ ↓ ↓
http://www.chichi.co.jp/i/event2010/i-enwoikasu.html
(転載終了)
是非、全文をお読み下さい。
深い感動と共に様々な思いが心をよぎります。
“服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年”
実は、それは“深い悲しみを生き抜いている生身の人間”の姿でした。
“先生の胸に激しい痛みが走った。”
読んでいるこちらの胸にも痛みが走ります。
この少年は、このような素晴らしい先生とめぐりあうことが出来て本当によかったと思います。
一生を左右する出会い、そして先生も少年もその縁を大切にして来ました。
少年にも先生にも、ありがとう、と思います。
でも、こうした少年や少女はまだまだたくさんいるのですよね。
そう思うとなんとも言えない気持ちになります。
そして、少しでも多くの子供たちの心が少しでも癒されていくといいな、と心の底から思います。
致知出版社の「人間力メルマガ」よりです。
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致知出版社の「人間力メルマガ」
【2011/9/3】 致知出版社編集部 発行
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このメールマガジンでは、
人間学を学ぶ月刊誌『致知』より
そのエッセンスの一部をご紹介しています。
* *
平成元年の初版以来、版を重ねて発行部数10万部を突破。
各界のリーダーや多くのビジネスマンたちに読み継がれてきた
森信三氏の『修身教授録』。
http://www.chichi.co.jp/book/6_feature/moriteacher.html
『致知』10月号では、ビジネスの現場で
本書を心の糧としてこられた
小宮コンサルタンツ社長の小宮一慶氏と
伊藤忠経済研究所長の三輪裕範氏に
ご対談をいただいております。
本日はその記事の中から、
小宮氏のお話をご紹介いたします。
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「頭は臆病だけど、手は臆病じゃない」
小宮一慶(小宮コンサルタンツ社長)
『致知』2011年10月号
特集「人物を創る」より
http://www.chichi.co.jp/monthly/201110_pickup.html#pick2
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『修身教授録』では「下坐行」ということも言われていて、
本来は下位の人がやるべきことを指すのですが、
特にいまの時代は常日頃からそれを心掛けておかないと、
口先だけの人間になってしまいかねません。
いま世の中を見ていると、
皆から偉いと言われている人の多くが
「首から上があればできる仕事」しかしていないんですね。
私が日本福祉サービスに勤めていた時に、
四百人ほどの寝たきりの方を
お風呂に入れる仕事を手伝ったんですね。
その時に思い出したのが、鍵山さんに教えてもらった
「頭は臆病だけど、手は臆病じゃない」
という言葉でした。
頭で考えていると、どうしても
できない理由を一杯考えてしまう。
でも実際に手を動かしてみると、
意外と簡単にできることが多いんです。
だからうちの会社では、毎朝九時から
全員で必ず掃除をしているんです。
私がやるのはトイレ掃除。
「なんでそんなことするんですか、小宮さん。
時間がもったいないじゃないですか」
と言う人もおられるんですが、いや、そうじゃないと。
やっぱり手を動かしていないと何も変わらないことを、
体を通して知るのが大事だと思うんです。
* *
私は曹洞宗の最高顧問でいらした
藤本幸邦(こうほう)先生を
人生の師と仰いでいるんですが、
先生は「履き物を揃える」ということを
うるさくおっしゃいました。
先生は概念の遊びを凄く嫌われるんですよ。
永平寺には「脚下照顧」という額が掛かっているそうですが、
これって一つの概念じゃないですか。
一方、「履き物を揃える」というのは、
それを具体的な行動に落とし込んだものじゃないかと。
それを先生は子供たちにもやらせるわけです。
「履き物を揃えると心が揃う」という考え方ですが、
おそらくその延長線上に藤本先生は
脚下照顧を思っておられたのではないかと。
だから実践、行動が何よりも大事なんですね。
…………………………………………………
●『修身教授録』とは……
…………………………………………………
不世出の教育者にして哲学者の森信三氏が、
大阪天王寺師範(現・大阪教育大学)本科で行った
講義をまとめた『修身教授録』(全5巻、昭和14年刊)の中から、
昭和12〜14年までの講義を改めて編集し、復刊したもの。
人生を真剣に模索する若者たちのために説いた
人生講話79編を収録(平成元年刊)。
SBIホールディングスCEO・北尾吉孝氏や
アフラック元会長・松井秀文氏など、
本書を座右の書として掲げる各界のリーダーや
ビジネスマンも数多い。人間学を学ぶ最高峰の書ともいえる。
http://www.chichi.co.jp/book/6_feature/moriteacher.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(転載以上)
“いま世の中を見ていると、
皆から偉いと言われている人の多くが
「首から上があればできる仕事」しかしていないんですね。”
身につまされる言葉です。
いつの間にか自分もそうなっていないか、常にチェックすべきことだと思います。
“「頭は臆病だけど、手は臆病じゃない」”
考えてみると、頭は固定されているけど、手は動きやすいように出来ていますよね。
身体の前にもすぐ出せる。
確かに手は臆病じゃない。
“頭で考えていると、どうしても
できない理由を一杯考えてしまう。
でも実際に手を動かしてみると、
意外と簡単にできることが多いんです。”
手を最初に動かすことによって、動きずらい頭も引っ張っていってくれる。
頭もその気にさせる、ということ、とてもシンプル、しかし素晴らしい発見だと思います。
“「履き物を揃える」というのは、
それを具体的な行動に落とし込んだものじゃないかと。”
まず動いてみるということ、
そして、その体験の中から、「脚下照顧」ということも自分の身体で会得していくのですね。
致知出版社、「偉人たちの一日一言」よりです。
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「偉人たちの一日一言」
〜致知出版社が贈る人生を養う言葉〜
発行 (株)致知出版社
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今日の言葉 2011年9月3日(土)
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【一遍一念】
この世は
一遍きり
だから
一念を
貫いてゆこう
『坂村真民一日一言』より
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おかげさまで月刊誌『致知』は創刊33周年を迎えます。
ご縁をいただいた皆さまに感謝の思いを込めて、
弊社の書籍を致知オンラインショップで
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シリーズ『心に響く小さな5つの物語』
待望の第2弾がいよいよ発売となりました。
『心に響く小さな5つの物語 2』(藤尾秀昭・文/片岡鶴太郎・画)
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本書に収録された厳選された5つの物語には
「偉人たちの一日一言」メルマガでおなじみの
東井義雄(とうい・よしお)さんのお話しも
収録されています。
***
第一話「心願に生きる」
東井義雄さんは明治四十五年、兵庫県の但東町に生まれた。
昭和七年、姫路師範学校卒業。故郷の小学校に勤務。
以来、その生涯を小中学生の教育に捧げた人である。
その東井さんの講演録をまとめた著書が、
弊社から刊行された。
題して『自分を育てるのは自分』。
東井さんの教育にかける祈るような思い、
深い心願が
熱く伝わってくる一冊である。
東井さんは語る。
人間は五千通りの可能性を持って生まれてくる。
死刑囚になる可能性も泥棒になる可能性もある。
その五千通りの可能性から、
どんな自分を取り出していくか。
「世界でただ一人の私を、どんな自分に仕上げていくか。
その責任者が私であり、皆さん一人ひとりです」
「バカにはなるまい」
講演の中で東井さんはそう繰り返し、
一人の知的障害を持った中学生の詩を紹介している。
私は一本のローソクです
もえつきてしまうまでに
なにか一ついいことがしたい
人の心に
よろこびの灯をともしてから死にたい
彼は勉強はできないが、
何か一ついいことをしたいと頑張っている。
これが賢い生徒。
ところが、少し勉強ができてもバカがいる。
***
月刊『致知』2008年12月号【初出】
〜続きは『心に響く小さな5つの物語2』にてお楽しみください〜
―――――――――――――――――――――――――――――――――――(転載以上)
“この世は
一遍きり
だから
一念を
貫いてゆこう”
なんとも味のある言葉ですね。
“一遍きり”、“一念を貫く”、美しく深い音を持つ言葉だと思います。
“私は一本のローソクです
もえつきてしまうまでに
なにか一ついいことがしたい
人の心に
よろこびの灯をともしてから死にたい”
飾り気のない、素朴な言葉の奥に秘められた魂の叫びに、胸が熱くなります。
日経ビジネスオンラインよりです。
致知出版社「偉人たちの一日一言」よりです。
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「偉人たちの一日一言」
〜致知出版社が贈る人生を養う言葉〜
発行 (株)致知出版社
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今日の言葉 2011年8月31日(水)
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【最善観】
わが身に振りかかってくる
一切の出来事は、
自分にとっては
絶対必然であると共に、
また実に絶対最善である
『修身教授録一日一言』より
●好評の「致知一日一言シリーズ」15冊はコチラ
⇒ http://shop.chichi.co.jp/item_list.command?category_cd=ITINITIITIGEN
―――――――――――――――――――――――――――――――――――(転載以上)
「自分に起こる全ては必然であり、ベスト」、最近よく聞く言葉です。
でもそれを知っていることと実践することはまた別物でもありますね。
なにか、一見、自分にとって良くないことが起こると、
「なんでよりによってこんなことが自分に・・・」
とか、
「もう、やだ〜!」(笑)
とか思ったりしてしまいます。
そんな時、この言葉をもう一度かみ締めて見ることが出来たら、
そこから新たな展開が始まるのかも知れません。
致知出版社の「人間力メルマガ」よりです。
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致知出版社の「人間力メルマガ」
【2011/8/31】 致知出版社編集部 発行
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このメールマガジンでは、
人間学を学ぶ月刊誌『致知』より
そのエッセンスの一部をご紹介しています。
* *
昨年の世界選手権で32年ぶりに
日本のバレーボール界にメダルを
もたらした全日本女子・火の鳥NIPPON。
『致知』9月号では、11月開催のW杯、
それに続くロンドン五輪での優勝を
目指す眞鍋監督にご登場いただきました。
http://www.chichi.co.jp/monthly/201109_pickup.html#pick6
本日はそのインタビューの一部をご紹介いたします。
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「強いチームと弱いチームの差」
眞鍋政義(全日本女子バレーボールチーム監督)
『致知』2011年9月号
特集「生気湧出」より
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いろいろなチームを渡り歩いてきた経験から思うのですが、
強いチームと弱いチームの差というものがやはりありましてね。
例えば、試合前のミーティングで
監督の思いが一方通行になっている。
「こうしろ、ああしろ」と言われて選手たちが
「はいはい」と言っているだけ。
こういうチームはやはり勝てません。
反対に選手が自分たちの問題点を
自分たちで考えて分析し、
スタッフと思いを同じくして
試合をしているチームは強いですね。
私がコミュニケーションを重視し、
選手にいろいろな提案を求め、
耳を傾けるのはそのためなんです。
私は監督で立場的には一番上です。
だけど一方通行にならないよう、
できるだけ選手と目線を同じくして、
選手がこの練習メニューで本当に満足しているか、
困っていることはないかなどを聞いて、
一番実力を発揮できる環境を整えてあげたいと思っています。
【記者:コミュニケーションの成果は
どのような時に感じられますか?】
ゲームの後、スタッフたちがそれぞれの選手の
ゲーム中のスパイク、ブロック、サーブの数値を
パソコンで打ち出します。
一昨年まで、スタッフの部屋に自分のデータを
取りに行って勉強し、反省しようとする選手は
ほんの数人にすぎませんでした。
ところが、昨年から自分の成績に関心を持つ選手が増えて
頻繁にスタッフの部屋に行っては映像を見て、
自分で分析するようになったんですね。
私はこの差は大きいと思います。
自分たちで考えるようになったご褒美が
世界選手権の銅メダルだと思うくらいです。
コミュニケーションに関して申し上げれば、
選手やスタッフの中でチームみんなで
戦ったという意識がとても高まりました。
濱口華菜里という選手がいるんですね。
レシーブに天性の才能を持っている世界選手権のメンバーです。
明るい性格で、いつも大きな声で皆を
励ましてくれるし練習にも人一倍熱心。
人の嫌がる片づけも率先してやってくれます。
だけど、私はこの濱口を選手権に
出場させてあげられなかったんです。
世界選手権もW杯も十四名登録で、出場できるのは十二名。
濱口が務めるリベロの控えはなかなか出る機会がない。
本当に悔しかったと思います。
だけどそれでも濱口のファイトは最後まで変わりませんでした。
練習には早く来てムードを盛り上げて、雑用で走り回って……。
メダルを獲得できたのは、
この濱口の姿勢が周りに伝わったからだと私は思っています。
銅メダル獲得が決まった試合の直後、
セッターの竹下佳江はすぐに濱口に駆け寄り、抱き合ってました。
その後のインタビューでも竹下は毎回のように
「出られない選手がいるから、その選手の分まで頑張りました」
と語っていましたが、これには私自身本当に勉強させられましたね。
控えの十三番目、十四番目にどんな選手を置くかで
チーム力は強くもなるし弱くもなる。
その難しさを昨年私は実感したんです。
おかげで全員が同じ方向を向いて目標を共有できており、
強いチームに変わってきたことを実感しています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(転載以上)
なでしこジャパンとも共通すること、それは、
“選手が自分たちの問題点を
自分たちで考えて分析し、
スタッフと思いを同じくして
試合をしているチーム”
ということだと思います。
反対に、
“「こうしろ、ああしろ」と言われて選手たちが
「はいはい」と言っているだけ。”
実は、こういうチームは多いのではないでしょうか。
そしてそれは家庭や会社、全てのコミュニティに当てはまる鉄則かも知れませんね。
“控えの十三番目、十四番目にどんな選手を置くかで
チーム力は強くもなるし弱くもなる。”
逆転の発想のようですが、確かな経験に基づく、とても印象深い言葉です。
“練習には早く来てムードを盛り上げて、雑用で走り回って……。”
濱口さんの姿に感動します。
控えの選手も含めて、喜びや悲しみを心から共有出来るチーム、いいですね。