"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

坂本龍馬のこと

2010-11-30 04:10:00 | 日記
「龍馬伝」、ついに最終回も終わってしまいましたね。

毎週楽しみにしていた番組が終わって、ちょっと放心状態です。

「ゲゲゲの女房」が終わった時も同じような気分になりました。

両番組とも、出演者や、企画、製作関係者の方々の気迫がこもった素晴らしい内容だったと思います。

龍馬の一生、最後は、なにかあっけない幕切れだったようにも思いますが、大事業である『薩長同盟』と『大政奉還』を成し遂げて、この生での役割をやり遂げた、という意味もあったのかなあと感じました。

「龍馬伝」のお陰で、32年という、短くかつ怒涛のような龍馬の人生が少し理解出来たように思います。

にも関わらず、私の頭の中には、“龍馬とは一体何者だったのか?”という問いが残っています。

そしてその問いはこれからもずっと消えないような予感がしています。

龍馬は、武士の中でも身分の低い、下士でした。

土佐では、身分の高い上士と、低い下士とがはっきりと分かれており、龍馬にもその面での不満は大きかったことでしょう。

米国のプレジデント(大統領)は、国民の選挙で選ばれる、即ち、身分に関係なくだれにでもなることが出来る、と聞いてあこがれを強く持ったのは、龍馬が下士の出だったからだという要因は、やはり大きかったと思います。

しかし、多分、当時の武士たちからすると、龍馬は、一体何を考えているのかさっぱりわからないような人物だったのではないかと思います。

何しろ、武士なのに人を斬ったことがない、武市の勤皇党に血印を押して入ったにも拘わらず、吉田東洋暗殺の流れが出てくると、脱藩してしまう。

血気にはやる武士達の『尊皇攘夷運動』には、

「刀では、外国に勝てない。」

と言って反対する。

薩長同盟を結んだ後、武器購入に走り回って何とか調達し、長州軍について幕府に対する勝利を収めたのに、

「幕府と戦うのはもうやめよう。」

と長州に言う。

そして、本来は、武市に切腹を命じた仇敵である土佐藩の後藤象二郎に近づき、大政奉還を薦め、土佐藩主と連名で幕府に建白書を提出させ、大政奉還を成し遂げる。

一つ一つの事象だけ見ていると、たくさんの敵を作るのも当然、という感じがします。

龍馬暗殺の黒幕がだれだったのか未だにはっきりとしていないということは、龍馬に、いかに多くの敵がいたか、ということの証明でもあるのではないかと思います。

一方で、龍馬は、豪商「才谷屋」から分家した商人の家系でもありました。

その血のおかげでもあるのでしょう。

彼の商人としての才覚は、黒船を買ったり、船を沈めた時の賠償交渉、武器購入時等様々な資金調達の場面で如何なく発揮されます。

龍馬は、会いたい人がいると、自分が脱藩浪士なのにも関わらず、相手がどんな大人物でも、会いに行ってしまう、そして、相手を感服させてしまう魅力がありました。

勝海舟しかり、高杉晋作しかり、西郷隆盛しかり・・・。
まさに大セールスマンですね。

しかし、龍馬の商人としての行動は、自分や自分の会社が儲けることを第一の目的としている訳ではありませんでした。

武士の目から見ても、また、商人の目から見ても、つじつまの合わないその行動の数々。

一見、支離滅裂とも見える龍馬の行動の中に、ただ一つ、その底を流れる思いがありました。

それは、“平和裡に、日本を世界に受け入れられる民主国家に転換していくこと”だったと思います。

虎視眈々と日本の植民地化を狙うイギリス、フランス、アメリカ等の諸外国。

そうした海外勢に隙を見せず、即ち国力の衰えをもたらさないような方法で、宿敵同志の藩をまとめて幕府と対峙させ、しかも、戦争なくして、260年続いた幕藩体制を、次の体制に移行させる。

ほとんど奇跡のような大事業だったと思います。

私は、日本の明治維新、それが一体何故成功したのか、いくら調べてもわからないところがあるのではないかと思っています。

もちろん、それは坂本龍馬一人では決して出来なかったこと。

その時代には、わが身を省みず「公」の精神で生きる人材が、それこそキラ星のように登場しては消えて行きました。

たくさんの人々が、様々な思惑で動いていく中で、結果として奇跡的に成し遂げられたことであり、何か人智を超えた、とてつもなく大きな力が働いていたような感じもします。

龍馬は、実は普通の人であって、過大評価し過ぎている、という人もいます。

しかし、私は、龍馬は、高い視点から全体が見えていた数少ない人物の一人であり、彼がいなければ、ああいう形での大政奉還は成し遂げられなかったと思います。

昔、高知から京都に行くのも、京都から九州に行くのも、どこに行くのにも歩きと船でした。

私は、目的地に向かってひたすら歩くその姿を想像し、その時一体龍馬は何を考えていたのだろうと思うと、深い感謝の気持ちとともに、なんとも胸を締め付けられるような思いがしてくるのです。

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋


人気ブログランキングへ



米韓合同軍事演習について

2010-11-27 03:40:00 | 日記
28日から米韓合同軍事演習が予定されています。
私は、この演習計画に懸念を感じます。
オバマ大統領にあせりはないでしょうか?

今月12日に、北朝鮮のウラン濃縮施設の件が出てから、事態が大きく展開しています。
ウランの濃縮については、ある程度米国も認識していたと言われます。

しかし、かなり高度な技術力を背景とした2000基の遠心分離機を稼働させているところまでは認識がなかったと言われます。
イランのものとも類似点があり、北朝鮮を支援する他国の存在も推測されます。

今までオバマ大統領は、「戦略的忍耐」という言葉で、北朝鮮外交を表現して来ました。
その面前で、北朝鮮はウラン濃縮施設の開発を進め、今回、韓国への砲撃を行いました。

オバマ外交は失敗であったとの批判も出ています。
これまでの対北朝鮮政策を変更せざるを得ないとも言われます。
そんな状況下での今回の大規模な米韓合同軍事演習。

しかし、今回の米韓合同軍事演習に対して、北朝鮮が更なるアクションを起こす可能性はないのでしょうか?

もし、北朝鮮からの砲撃があれば、米韓軍は、反撃を余儀なくされることになるでしょうし、本当の戦争状態になってしまう危険があります。

砲撃がなく、演習も無事に終わり、今後収束に向かっていく、ということになればいいと思います。
それは、中国が北朝鮮に自重を促した、ということのアピールになるのかも知れません。

その場合、中国の評価は高まることになり、その影響力がまた増強されるということになるのかも知れません。
中国にとっては、表面では国際世論を意識しながら動きつつ、バックで北朝鮮のサポートをするという行動が一番メリットがあると感じているかもしれません。

米国は実はやる気満々で、中国もそれを受けて立つということになったら、それは最悪の事態です。
絶対に避けなくてはならないと思います。


私には、将来こうあって欲しいと思う、日本の理想像があります。
それは、自立した平和国家。
世界に平和を発信し、平和をリードする国です。

しかし、平和を、ただ心で願うだけでは、それは達成出来ません。
その道のりにはやるべきことがたくさんあって、その一つ一つを実行して行かなければなりません。

前回の戦争含めて、真実に基づく歴史観を構築することも必要だと思います。
それは、日本だけでなく、中国、韓国等も、そして米国も同様です。
誤った情報を国民に植え付け、それを外交に利用することは、本当の国益ではないと思います。

巨大化する中国に気を配る必要があります。
そのためには、やはり米国との関係は大切だと思います。

しかし、それはあくまでも暫定的な対応であって、その状態が続く限り、真に自立した国家を造っていくことは出来ません。
前回のイラク戦争スタート時のように、米国の意向を何でもかんでも容認せざるを得ない関係ではいけません。
良好な関係は保ったまま、しかし、きちんと正論で説得する関係を構築して行かなければならないと思うのです。

自立して国を守るためには、自衛力を高めて行く必要もあるでしょう。
やるべきことはたくさんあり、しかもその過程で、現実の様々な出来事に対処して行かなくてはなりません。

国家間の闘争の場合、引くに引けなくなって、当事者間で解決することが難しい局面が出て来ます。

ほとんどの戦争は、そのようにして起き、広がったのではないでしょうか。

今回の様な事態が起きた時に、韓国にも米国にも、そして北朝鮮にも中国にも、正論を堂々とぶつけ、最悪の事態を避ける、その仲介者が、これからの日本なのだと思います。

人気ブログランキングへ





北朝鮮の韓国砲撃について

2010-11-24 05:00:00 | 日記
今回の砲撃は、北朝鮮と韓国の戦争は終結していない、ということを改めて痛感させるものでした。

その背景には色々な要因があるのでしょう。

もともと、哨戒艦「天安」沈没前から、緊張状態にあった場所。
韓国側の際どい演習に対する抗議行動ということもあるでしょう。

新体制下の北朝鮮の出方を見たいという気持ちもあったのかも知れません(米国も?)。
北朝鮮側にも、トップ引継ぎをスムーズに行うために、国内の引き締めを計るという意味もあったのかも知れません。
米国の北朝鮮担当も、核開発の件で中韓日を動いていましたし。

しかし、どんな理由があったにしても、北朝鮮の民間人を巻き込んだ砲撃ということに怒りを覚えます。

アメリカは、すぐに非難声明を発表しました。
中国も、ロシヤも出しました。

6カ国のメンバーでもあり、拉致問題含めて当事者とも言える日本は、声明を出さないのでしょうか?
ウラン濃縮開発の問題もあるのですよね。

声明をすぐ出さないのであれば、どのような対応を取るのでしょうか?
肝心の最初のアクションで出遅れていると思います。

平和国家日本としてのコメントでもいいと思うのです。
なぜ出さないのでしょうか?

日本は、今、韓国と、より緊密な関係を結ぶ時だと思います。
これから益々力をつける中国に対抗するには、他の周辺諸国と協力関係を築くことが不可欠で、その意味で、インドと経済協定を締結したり、ベトナムと関係強化を図ることはとても良いことだと思います。

しかし、地理的な面含めても、やはり韓国は最重要で、その為にも、日本政府としてのシグナルを発信することが重要だと思います。

情報収集はもちろん大切だと思いますが、いくつかの選択肢の中からどういうアクションを選ぶのか、それを実行することによってどういう影響が出てくるのかを見極める為の情報収集、アクションの為の情報収集であるべきだと思います。

今は、情報収集の為の情報収集になってしまっているように思います。
ロシヤ大統領の北方領土訪問の時もまさにそうだったと思います。

尚、蛇足ですが、柳田法相の辞任には、更なる問責に繋がらないだろうとの菅さんの読み、というか“願い”があったと思うのですが、それは、中国がおさまるだろうと思って船長を釈放した尖閣諸島との類似点を感じてしまうのは私だけでしょうか。

人気ブログランキングへ

「李登輝学校の教え」 李登輝、小林よしのり著

2010-11-23 05:10:00 | 日記
10年前に行った対談ですが、今に共通する問題意識がちりばめられています。

李登輝さんは、22歳まで日本人でした。京大に入り、学徒出陣も経験します。
日本で終戦を迎え、日本軍撤退後の1946年に台湾大学に編入学、アメリカにも留学します。

“私は日本人として、非常に正当な日本教育を受けた。
後に中国の教育も受け、アメリカにも学びましたが、私の人生に一番影響を与えたのは、この日本時代の教育だったのです。”

当時の日本統治における、台湾の教育制度を評価しています。

蒋介石をついで総統になった蒋経国に見出されて副総統となります。
そして蒋経国総統の任期中の死去に伴い、総統に就任します。

とは言っても全く政治基盤のないところからのスタートでした。

今の中国のように、当時の台湾も、「(国民)党」と「国」が不可分の「党国」という統治体制でした。軍隊も「党国」。
この軍隊を何とかして「党」と切り離し、純粋に国家に属する形に変えるところから始めなくてはなりませんでした。

実力者を牽制し、自らの基盤を固めつつ、同時に民主化も進めて行きます。
中国から、台湾をターゲットとした軍事演習及びミサイル発射実験を受けながらも、ついに民主的な総統の直接選挙を実現します。

台湾には、戦後に国民党とともに中国から移ってきた「外省人」と、それ以前から住んでいた「本省人」がいて対立していましたが、李登輝さんは、その区別をなくし、「新台湾人」であると定義して、融和を計りました。

2000年5月20日の政権の平和的交代を成功裏に完成することが出来たと考え、国民党の主席を辞め、民進党に政権が移ります。

“仕事をするには権力が必要だが、いつでも放棄出来るという覚悟ももたなくてはならない。
権力というのは「借り物」なのです“

“議員をしていた父に「僕に人を推薦してはいけない」と言っていた。そのお陰で自由に存分に仕事をすることが出来た。
約束を守ってくれた父に感謝します、”

“情に流されず、切るものは切る”

どこかの政治家に聞かせたい言葉がちりばめられています。

ただ、以前に金美齢の著書で紹介させて頂きましたが、せっかく台湾生まれの政権である民進党に政権が移ったのにもかかわらず、その後の台湾は、李登輝さんの望んでいない方向に進んでいるようです。
即ち、台湾の中国化が進んでいるのです。

日本には、“(東京裁判史観等で)自己否定があまりに酷すぎて、このままでは駄目だという考えが強くなってきた。これは非常にいいことなんです。”とエールを送ります。

李登輝さん自身は、中国に気を使う日本の外務省の為に、訪日ビザを取るのに苦労したり、会う相手やその言動に制限を受けたり、日本政府から相当気の毒な扱いを受けています。

それにもかかわらず、日本、そしてその未来に対して前向きなコメントが多く、読んでいてありがたく、かつ、日本政府の対応にやりきれないものを感じます。

李登輝さんは、この本の後にも、

「“靖国問題”とは中国とコリアがつくったおとぎ話なんだよ。」

と発言したり、尖閣諸島についても、

「(台湾が)他人の場所に行って、魚が取れただけでも上出来だった。それを自分の『戸籍』にいれようとは、あまりにも幼稚。」

と、無数の批判を浴びながらも、尖閣諸島は日本の領土だとの発言を繰り返しています。
そして、間接的に覇権主義の中国を批判します。

尚、何かと批判されやすい小林よしのりさんの発言、そしてその著作についてです。
確かに、発言もその絵も、過激な印象はありますが、私自身は、その内容は、正道だと思っています。
何よりも、新しい日本史観について、若者に突破口を開いた功績は素晴らしいと思っています。

面白かったのは、日本人の政治家の中にも台湾の理解者が増えて来た、と発言する李登輝さんへのコメント。

「鳩山由紀夫もずいぶんと変わったように見えるんだけども、あれはほとんど哲学のない男です。戦後民主主義者。
アメリカ型合理主義者ですね。中国に逆らえるかどうかと言えば難しいですよ。」

後に首相となる鳩山さんに対する10年前の発言でした。

李登輝学校の教え (小学館文庫)
李 登輝,小林 よしのり
小学館


人気ブログランキングへ

「日本経済の真実」「日本の恐ろしい真実」 辛坊治郎他著

2010-11-21 03:00:00 | 日記
辛坊治郎さんのこと、恥ずかしながら最近まで良く知りませんでした。
読売テレビのアナウンサー、プロデューサー、情報番組部長等を歴任されて本も書かれています。

関西では、「たかじんのそこまで言って委員会」にもよく出ていらっしゃるのですよね。
(海外のTVには入らないこともあり、私自身はまだ見たことはありません。)

ちなみに、前著は、住友銀行や、日本総合研究所等にいらしたお兄さん、辛坊正記さんとの共著です。

前著のタイトルの副題が、“ある日、この国は破産します”だったこともあり、今のはやりに乗って書いた方なのかな、と思って読み始めました。

私は、その方がどんな方なのかを判断する時に一番重要と思っているのが、書かれたその内容が、その方の“私”がベースになっているのか、それとも“公”の精神がベースになっているのか、ということです。

よく判断を間違えます。(笑)

後になって、あ~、あの方は、この自分の利益を守るためにあのような主張をしていたのか、ということがよくあります。

でも、辛坊さんは、後者の方だと思います。

昨日、稲田朋美議員の本に、「小泉構造改革をきちんと総括することが不可欠」とあった、と紹介させて頂きました。
辛坊さんの本では、そのことを図表を使って明快に解説しています。

小泉さんが首相であったのは、2001年4月から2006年9月まででしたが、その期間、株価が大幅に上がったということだけではなく、ほとんどその時期だけ、実質成長率だけでなく、デフレ時期であったにもかかわらず、名目成長率も上昇しました。

そして、“小泉改革が、若者から職を奪った”、というマスコミや政治家の論調が大ウソであることを明らかにします。

即ち、2001年に5%を超えていた完全失業率は、2006年には4%まで落ちていました。
かつ、有効求人倍率は、2001年の0.5倍から順調に上がり、2006年には1倍を超えていたのです。
仕事を選り好みしなければ、求人者の全員に職が行き渡るという数字です。

国民に受けやすい“大企業優遇はやめろ”とか、“金持ち優遇は不公正だ”と言ったマスコミの論調は、逆に日本を悪くするスローガンだ、と持論を展開したりと、なかなか言いづらい、しかし正論をきちんと説明する辛坊さんの姿、素晴らしいと思います。

ところで、私は、冒頭、“ある日、この国は破産します”という話が、今のはやりに乗った論調、と言いました。
実は、私自身、日本が近い将来破産する可能性がかなり高いと思っています。

今、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルが、話題にのぼっていますが、その状況が悪化すると、次は私も住むスペインということになって来ます。

私は、前の3国に比較して規模の大きなスペインが、踏みとどまれるかどうかが、グローバル経済の枠組みを守る意味で大きな鍵を握っていると思います。

そしてもし、その防波堤が崩れてしまうと、ギリシャよりも国債発行比率が格段に高い日本がターゲットとなる可能性があると思っています。

一度ターゲットになってしまうと、その時は、日本の国債は95%が日本人が投資家だから大丈夫、という理屈が、やはり理屈でしかなかった、ということになるのだと思います。

その時、今のギリシャのように、国債価格はどんどん下がり、金利はどんどん上昇、住宅ローン等の負債を抱えている方々は大きな苦しみを味わうことになるのかも知れません。

もしくは、破産を防ぐためのハイパーインフレを起こすのか。
その場合、借手のローンは目減りして行きますが、同時に預金者の資金も目減りしていくことになります。

円は暴落してしまうのか、でもその前にユーロ経済圏が大変なことになっているとすれば、相対的に円も下がらないことになりますし、グローバルで影響を与え合っていることを考えるとやはり政府が資金の出し手となってしまっているアメリカ、即ちドルも安全とは言えませんし・・。

当然、消費税も大幅に上げる必要が出て来るでしょう。

日本経済の足腰の弱くなったその時に、国力を増している中国等がスキをついて動いてくるということもあると思っています。

私は、特にこの1、2年、将来の日本を形作っていく上で、政治、外交、経済面ともに、大変重要な時になると思っています。

それに備え、乗り越えていく為にも、私たちは、今のうちに必要なことを実行すると同時に、今のうちから色々な局面へのシュミレーション、頭の体操をやっておく必要があると思うのです。

日本経済の真実―ある日、この国は破産します
辛坊 治郎,辛坊 正記
幻冬舎


日本の恐ろしい真実 財政、年金、医療の破綻は防げるか?
辛坊 治郎
角川SSコミュニケーションズ


人気ブログランキングへ



「私は日本を守りたい」 稲田朋美著

2010-11-20 04:25:00 | 日記
稲田議員の10月の代表質問をTV等でご覧になった方もいると思います。

http://www.youtube.com/watch?v=UqPkLPbdF3U

私は、ビデオを見ながら目頭が熱くなってしまいました。

対照的に、それに答える菅総理がとても頼りげなく見えてしまいます。
稲田さんに、「官僚が作った原稿の棒読みではなく、自分の言葉で答えてください。」と言われてもなんの変化もなし。
挙句の果て、逆に「稲田さん自身も、原稿の棒読みではないか」、と言ってつっかかる始末・・・見苦しい限りでした。

稲田さんは、官僚の原稿ではなく、自分の思いを自分の言葉で表現してくださいと言っているのに。
後で菅さんは謝罪したと思いますが・・・・

この演説には、私自身も最近感じていたことが網羅されていて、胸がすく思いがしました。
そして、一つ一つの言葉を大切にしながらも、全体の統一感があることを強く感じました。
その統一感とは、日本を守りたい、という公の精神なのではないかと思います。

それに比べて・・・

柳田法相の「個別の事案についてはお答えを差し控えます」、「法と証拠に基づいて適切にやっております」だけ覚えておけばいいという発言。

私は、実は、その話の前に言ったという、
「『何で柳田さんが法相』と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、一番理解できなかったのは私です。」という、法律はやったことがないから指名された時に驚いたという発言の方が問題であると思っています。

即ち、そんな人を任命した責任です。

私は、仙谷さんが、“自分は法律に詳しいし、小沢さんの件もあるから、法相には、法律に素人で自分の手の内に入っている人がいい”、と思って菅さんに推薦した可能性もあると思っています。

そして、その仙谷官房長官自身の「暴力装置でもある自衛隊」発言。

マックス・ウェーバーが警察や軍隊を指して用いた言葉、それを引用して左翼が使っていた用語そのもの。
問題は、失言であれ、わざとの発言であれ(それも仙谷さんはよくやるように思うので)、仙谷さんの思想が今回顕わになったということです。
国家とはなんなのか、国を守るとはなんなのか、という境界線がぼけてしまうような発言に対して憤りを感じます。

本の内容に戻りますが、稲田さんが弁護士時代に担当した靖国神社、南京事件関連の訴訟のこと、その過程で政治家を志すようになったこと、外国人参政権付与、夫婦別姓の問題等、日本の主権を守るための論点、櫻井よしこさんとの対談、最後には稲田さんの提言も入った盛りだくさんの本となっています。

その中で、私は、“人権の名のもとに人権を侵害する人権擁護法”という考え方が強く印象に残りました。

例として出てくるのが、大阪弁護士会が、中学校の校長先生に対して、
『入学式、卒業式の前に、生徒たちに、起立しない自由、国家を歌わない自由があることを説明しなかった不作為は人権侵害だ』
として勧告書を出したこと。

まさに唖然とする内容ですが、このような形で、“人権の名のもとに人権を侵害していくこと”が重なることによって、言論の自由がなくなっていく恐れがあること、結果として、言論統制さえ促進しかねないような人権擁護法の成立は、絶対避けなければならないと思います。

尚、稲田さんは、自民党復活の為には、一度小泉構造改革の総括を徹底的に行うべきと言っています。
私もその通りだと思います。

小泉改革に対する評価が定まってないことが、今の自民党のまとまりのなさ、焦点ボケを招いている大きな要因のひとつだと思うからです。

私は日本を守りたい
稲田 朋美
PHP研究所


人気ブログランキングへ


「日中韓 歴史大論争」 櫻井よしこ他著

2010-11-19 04:05:00 | 日記
櫻井さん他日本の論者が2名、中国もしくは韓国の論者が2名で、日中(Ⅰ~Ⅲの3回)、及び日韓(1回)、それぞれの国益をかけた議論を展開しています。

2005年時点のディベートもありますが、古さは感じません。

かえってあの時はこうだったよな、と思い出しながら読むと、新たな発見も出て来るように思います。

最後の章には、日本人3名での議論ですが、「尖閣漁船事件と日韓併合百年」と題して直近の動向にも触れています。

日中大論争Ⅰ~Ⅲを読むと、やはり中国は、共産党1党支配の国だということを強く感じます。
中国側は、清華大学の教授と中国社会科学院鎮台氏研究所所長さんの2名。
相当手ごわいです。

日本のことを相当勉強されています。
しかしその中に、真実ではないことが含まれていたり、中国の国を代表していると思える解釈の押し付けが出てきます。

私が特に気になったのは、櫻井よしこさんが、日中戦争で犠牲になった中国人の数が、東京裁判の時の中国側の発表は320万人であったのに、その後、いつの間にか570万人となり、中華人民共和国に変わった途端、2168万人となり、そして95年には3500万人になっていると指摘した時の答えでした。

先方は、そのことに触れず、南京大虐殺の30万人という数字に、当然根拠はあるが、それはたんに一人一人の犠牲者を足していった結果の数字ではなく、被害者の気持ちを考慮する必要がある、と答えたのです。

外交上有利にするために数字を改竄することは当然だ、と言っているようなものですね。
即ち南京大虐殺については、中国サイドも人数を本当だと思っていないことが明らかです。
私は、そもそもなかったのだと思っています。

一方で、“広島原爆記念館で、犠牲者の数は14万人プラスマイナス1万人と表記してあるのに対して、あれだけ悲惨な被害を受けて、どうして確実な数字を追求しなかったのか、という問いかけはあえてしない”、と中国側は強調します。

被害にあった家を1軒1軒回ってもなおかつ不明だった1万人という数と中国側のでたらめな数字とを一緒にするとはあきれてものが言えない、と櫻井さんが返しますが、その通りだと思います。

韓国とのディベートでは、まだ、お互いに言論の統制がない、民主主義同士のやり取りだと感じますが、日本の戦争自虐感を戦略的に外交に使い、そうした国民教育をしているという面では中国との共通点を強く感じます。

読んでいて感じたのは、私ももっともっと勉強しないといけないと思ったことです。

中国、韓国の方々は、日本のことを相当勉強して、なおかつ真実はどうあれ、戦略的にアプローチして来ます。

政治レベルではなく、草の根レベルのやり取り、例えば、中国や韓国の方と接している時に、
「でも日本は、この前の戦争であんなひどいことをしたではないか。」
という話になった時に、きちんと反論することは非常に大切で、そのためには、自分なりにその当時の本当の姿を整理することが不可欠だと思うのです。

政府の弱腰を批判する際に、その主権者である私たち一人一人が、同じ立場になった時のことを念頭におく必要があるのではないでしょうか。

でないと、政府と同じように、先方にやり込められて「すみません、すみません」と謝っている自分がいるのかも知れない、と思うのです。

そういう意味でも、相手の主張に対して一つ一つ事実をもって反論し、一歩もひかない日本側のお三方の姿を手本としたいと思います。

日中韓 歴史大論争 (文春新書)
櫻井 よしこ,劉 江永,金 燦栄,歩 平,洪 〓@57CD@,趙 甲濟,田久保 忠衛,古田 博司
文藝春秋


人気ブログランキングへ


ロシヤ大統領の国後島訪問以後

2010-11-13 01:47:00 | 日記
尖閣諸島の件は、ビデオ流出もあって毎日のように報道に出ていますが、北方領土の件は、どうなったのでしょうか。

メドベージェフ大統領が、今月1日に北方領土の国後島を訪れたのに対して、前原大臣が、ロシヤ大使館を呼びつけて抗議し、河野ロシア大使を呼び戻したまでは、記憶に残っていますが・・・。

NHK解説委員会のブログ、よくまとまっているので、自分の考えを整理するのに参考にさせて頂いています。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/64988.html#more

ここではロシヤ大統領の北方領土訪問も読めなくなってしまった外務省の情報収集能力の劣化について触れています。

その通りだと思いますし、ロシヤから情報を取るには正攻法だけでは不十分なのだろうな、という推測も出来ます。
(正攻法の部分は、せめてきちんとやっていたと信じたいです)
色々言われていますが、鈴木宗男さんや、佐藤優さんの能力は高かったのだと思います。

しかし、私が触れたいのは、今回の政府対応についてです。

一時帰国した河野大使が、ロシヤ大統領の北方領土訪問は国内的な要因が強い、と報告をしたのに対して、
菅首相が「もうちょっとしっかり情報収集しろと指示した」とあります。

なにか、ビデオ流出問題で、海上保安庁にすべて罪をかぶせようとしているやり方との共通点を感じてしまうのです。
菅さんの発言は、今回の件は外務省の責任、と国民に思わせるためのパフォーマンスだったと思えてなりません。

実際には、大統領が近い将来、北方領土を訪問する可能性について、各省横断的な情報を精査する内閣情報官により、9月終わりに報告が出ていたとのこと。

政府サイドの“「訪問して欲しくない」との願望が情報の取捨選択に影響を与えた”としたら、まさに官邸の情報、判断能力の欠如の問題です。

“現場にのみ責任を負わすことになれば、ますます現場のやる気を奪い、情報収集能力の劣化が進むことになるでしょう。”

その通りだと思います。

そもそも、前原外務大臣は、なぜ、河野大使を一時帰国させたのでしょうか。
そのことが、果たしてロシヤに対する抗議、もしくはメッセージになったのでしょうか。

河野大使は7日に静かにロシヤに戻されています。

大使は、その翌日、ロシア外務次官と会談したようです。(知りませんでした)
それについて、ロシア外務省が出した声明は、「ロ日関係の諸問題について意見交換が行われた」のみで、詳細には触れていません。日本サイドもその内容を説明していません。

そこでの日本側のメッセージが、
「色々あったけど、APEC首脳会議の時に、メドベージェフ大統領と菅直人首相の首脳会談をちゃんとやりましょうね。」

という内容に終始したのではないことを祈ります。

“APECで日ロ首脳会談を行う方向で調整が進んでいますが、メドベージェフ大統領の国後訪問の後、何の戦略もなくただ会うためだけの会談であるならば会わない方が良いでしょう。APECでの日ロ首脳会談は領土交渉を再構築するための外交的戦いの場であるべきです。
管総理、前原外務大臣のリーダーシップの下、外務省では今度こそ情報戦に負けないように詳細で正確な分析に基づき、緻密な戦略を立てて、日露首脳会談に臨むよう求めます。”

このNHK解説委員の結論を、私も繰り返したいと思います。

人気ブログランキングへ


尖閣映像を公開しなかったことについて

2010-11-12 05:00:00 | 日記
ビデオを流出した海上保安官が見つかったと思ったら、こんな記事が出ていました。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20101111-00000057-jnn-soci

確か、菅首相はビデオの扱いについて、「公開するかどうかは、国会と検察の判断」とおっしゃっていましたよね。

しかし、実際には“総理官邸から公開をやめるよう働きかけ”を行っていたのですね。

衝突事件の当日に、映像を報道各社に公開する準備を進めていた海上保安庁を止めたのですから。

海上保安庁がこうした撮影を行う目的の一つが、報道機関にこうした映像を提供するためだったとのこと。
予定通り、事件初日に映像が流されていれば、早い段階で国際世論を見方につけることが出来たであろうことを思うと残念でなりません。

そんなにまでビデオ公開反対に固執して、守ろうとした日中関係。

しかし、ハノイASEAN会議で、温首相に袖にされました。
そして、チャンスと見たロシヤからも北方領土に踏み込まれました。

結局、政府の判断(仙谷さん?)は、日本の踏ん張りを期待するアジア諸国の信頼を損ね、中国とロシヤに足もとを見られ、日本の国益を大きく損なってしまいました。

それとも、身を挺して、あなた(中国)の事を守ろうとしたとアピール出来たからいいのだ、と思っているのでしょうか?

仙谷さんは、機密情報漏えいへの罰則強化を計ると言っていますが、本末転倒だと思います。
責任を他に押し付けること、トカゲの尻尾切りは、もうやめにして欲しいですね。
海上保安庁も、その経緯を白日にさらすべきだと思います。

しかし、今、起きていることで、いいことだな、と思うのは、今までなら決して表に出てこなかったことが、どんどん表面化していることです。

国民の国際政治に対する関心は、今、かってない程高まっているのではないでしょうか。

色々な意見があっていい。
それぞれが考えること、そしてそれを声に出して行くことが、これからの日本を築いていくにあたって、とても大切なことだと思います。

反面教師としての民主党の役割も感じます。

それに伴う犠牲はあまりにも大きいですが、今、日本は変革のまっただ中にあるのだと思います。

人気ブログランキングへ


「米中逆転」田中宇著、「どっちがおっかない!?中国とアメリカ」田母神俊雄、青木直人著

2010-11-03 16:22:25 | 日記
「米中逆転」の田中宇(さかい)さんは、繊維メーカーから、共同通信に移り、その後、マイクロソフトで情報を発信し始め、独立した国際アナリストです。
様々な資料に細かく目を通していらっしゃる様子がうかがえ、とても興味深い内容です。

世界は、米国の単独覇権主義から、多極化に向かっていること、多極化は、実は米国首脳も望んでいること。
一見、米国の覇権主義の発露に見える過去の出来事も、それが失敗することによって、多極化の流れを生み出して来たこと。
数々の失敗は、実は、隠れた多極化の勢力によって故意に行われたものであること・・・。
そのことに関して、私は半信半疑ですが、ブッシュ前大統領のイラク、アフガン攻撃、イスラエルへの戦争誘導等が例として挙げられています。

さらに、鳩山政権の普天間基地の移設問題含めた米とのぎくしゃくは、台頭する中国との関係強化、新しい枠組構築に伴って故意に起こされたものであると書かれています。
2004年の民主党の資料を見ると、沖縄を、日本と中国で一緒に統治することを考えていた形跡もあるとのこと。
そして、このように中国との関係を強化することは多極化の流れの中では、自然な動きだという内容です。

「どっちがおっかない!?中国とアメリカ」は、前航空幕僚長の田母神俊雄さんと、中国に詳しい青木直人さんとの共著です。
どちらからと言うと、中国の方がおっかない、という論調でしょうか。
本当の中国の姿をきちんと見るべきと警鐘を鳴らします。

この2冊の本を読みながら、自分なりに考えて見ました。
私の結論は、日本の首脳が一番おっかない、ということです。

やはり尖閣諸島など東シナ海における中国の対応を見ると、中国は、その覇権主義を前面に出す外交方針にシフトしたように思えます。
今や世界経済の牽引役でもあり、軍事力もどんどん拡大していく中で、政治的にも強気になるのは、ある意味当然なのかも知れません。

しかし、それに対する日本の対応は、船長を逮捕しながら、中国の対応を見て釈放してしまう、という矛盾に満ちたものでした。
そして、菅首相は、あくまでも、検察の判断だと言い張り、重要な外交問題で、責任感のなさを露呈しました。

前原外務大臣は、中国に対して強めのコメントを出しますが、それは、外交用に練られた内容とは思えず、東アジア首脳会議の日中首脳会談キャンセル時、足元をすくわれました。
仙谷官房長官は、中国を擁護する発言ばかりが目立ち、中国の東シナ海ガス田開発疑惑も、まだよくわからない、と放置しています。

日本を守る、という気持ちが全く伝わって来ない、戦略性がない。
政府の対応を見ていると、メドベージェフ大統領が、この機に乗じて北方領土を訪問してしまうこともわかるように思います。

なので、私も、日米関係は重要だと思います。

しかし、尖閣諸島事件で、一番得をしたのは一体だれでしょうか?

それまでは、普天間移設問題で、煮え切らない日本人が、やはり米国は大事だと米国を頼り始めた。
尖閣諸島は、日米同盟の領域だと米に言われて喜ぶ日本。
日本のマスコミも、日米同盟を強固なものにすべきとの論調。
米国は、「思いやり予算」や移転費用含めて、これからも日本からお金がどんどん入って来る目安はついたと思っているのではないでしょうか。
例のビデオのカットされた部分には、中国漁船を、海上保安庁巡視船と挟み撃ちにしている米国軍艦が映っているとのうわさもありますが。

その一方で、同時期、米国は、台湾への武器輸出問題でこじれていた中国との関係を改善しました。
ベトナムでも、中国外相から、尖閣諸島問題には口を挟むなと言われて引き下がるクリントン。
ロシア大統領の国後島訪問の件でも、米国が、ロシアにアクションを起こした様子はありません。

国は、当然、その国益を基準にして動きます。
米国にとって、中国は、今後、軍事、政治、経済すべての面で、益々大切になって行くはずです。

田中さんが、その著書でもおっしゃるように、米と中国の逆転による世界の多極化の流れは、今後、より加速化していくと思われます。

そうした難しい局面で日本に必要なのは、したたかな判断力と戦略性、そして交渉力、実行力。
今、日本に一番欠けており、かつ不可欠なことだと思います。

私見ですが、中国、ロシアは、日本での小沢さんの扱いを見て、安心して動いているようにも思います。

米中逆転 なぜ世界は多極化するのか? (角川oneテーマ21)
田中 宇
角川書店(角川グループパブリッシング)


どっちがおっかない!?中国とアメリカ
田母神 俊雄,青木 直人
幻冬舎



人気ブログランキングへ