"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“これから起こる世界的危機と対策”

2011-09-25 23:31:13 | 日記

ロシア在住の北野 幸伯さんが出されているメールマガジンよりです。

=== RPE Journal==================================================

 
         ロシア政治経済ジャーナル No.767

                         2011/9/24号

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(省略)

今年がはじまったとき、世界はなんとなく明るいムードになってい
ました。

「08年からつづいていた『100年に1度の危機』は去ったのではな
いか??」

そんなことをいう人が多かったのです。

しかし、RPEはそう書きませんでした。

 

<アメリカ経済は好景気にならない

現在、「アメリカは今年好況になる!」という期待が高まっています。

しかし、アメリカ経済の現状は、ルーズベルト1期目同様の状態で、
安定はしても「好況」にはならないでしょう。

オバマさんは、「ティーパーティー運動」「保守派」「小さな政府」「
財政均衡派」などから批判を受け、苦境に立たされます。>

(【RPE】★2011年の世界〜アメリカはどうなる?2011年1月10日)

 

<今年はどうでしょうか?

世界経済は、中国・インドなどを中心に回復傾向にあります。

しかし、欧州経済は大きな不安を抱えたまま。

昨年ギリシャ危機が起こりましたが、今年も「PIIGS」で危機が
起こる可能性は高いのです。

「PIIGS」とは、欧州で財政状況のひどい国の頭文字。


P=ポルトガル
I=イタリア
I=アイルランド
G=ギリシャ
S=スペイン  >

(【RPE】★2011年の世界〜欧州はどうなる?2011年1月17日)

 

予想通り、好況への期待は裏切られ、世界のエリートたちが「2番底
は不可避」といいはじめています。


今回は、これから起こることが予想される世界的危機と対処法を考
えてみましょう。

(省略)

▼これから起こる世界的危機


では、これから何が起こるのでしょうか?

ここのところ、はっきりくっきり知っておきましょう。


現在の危機は欧米の危機です。

欧州では、ギリシャが国家破産の瀬戸際にあります。

アメリカは、毎年借金が100兆円以上増えていて、「なんぼなんでも
借金多すぎ」と、世界の人々が考えています。

とりあえず、リスクはこの二つ。


「日本はどうなのですか?財政がやばいということで、野田さんは
【大増税】を企てていますが・・・」


日本の財政が異常なのは事実です。

だって、税収よりも国債(借金)の方が多いのですから。

とはいえ、日本の財政は欧米と比べるとまだマシです。

その証拠に、欧米の危機で円が買われているではないですか?

日本の財政が破綻するなら、逆に皆円を売るはずです。

実をいうと、このこと日銀も知っています。

 

<最近の円高、安全資産志向が背景 不確実性の解消重要=白川日
銀総裁

ロイター 9月23日(金)5時39分配信

 [ワシントン 22日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は22日、投資
家の安全資産志向が最近の円高をもたらしているとの見解を示した
上で、世界経済の不確実性を解消することが重要と指摘した。

 同総裁は記者団に対し「現在の円高は、世界経済全体の不確実性
が高まる中で、グローバルな投資家の相対的な安全資産選好から起
きている」と述べた。>

 


なんで円高なのか?

「世界の投資家が相対的な安全資産を買っているからだ」と。

安全資産ってなに?

そう、「『円』が安全資産だ」と。

もし、日本の財政が政府のいうように「破綻寸前」であるなら、円は
安全資産ですか?危険資産ですか?

おわかりですね。

世界の投資家たちは、「日本の方が欧米よりマシで安全」と思って
いる。

だから円を買う。

それなのに政府は、「日本は破産する!増税増税!所得税・法人
税・消費税、全部増税だ!!!」


「人間ウソをついてはいけません!」(鳩山元総理)


であります。


というわけで、リスク順に並べると


欧州 > アメリカ >>> 日本


となります。

で、欧州にしろアメリカにしろ、財政が破綻するとどうなるの?

財政破綻については、歴史上山ほど例がある。

それで、財政破綻国家で何が起こるか、だいたいわかるのです。


一つは、通貨暴落

欧州で財政が破綻すればユーロが下がり、アメリカで財政が破綻す
ればドルが下がる。

(新興国の通貨は、欧米の投資資金が本国に帰還することで、逆に
下がることがあります。(たとえばルーブルは今下がっている))


もう一つは、通貨暴落によって引き起こされるインフレ

たとえば、ドルが下がれば輸入品が高くなり、アメリカはインフレにな
ります。


この、「自国通貨暴落」と「インフレ」の二つは必ず起こるのです。


とはいえ、リスクは欧米なのですから、「日本はどうなるの?」ってこと
ですよね。

欧州、あるいはアメリカで財政破綻が起こったと仮定しましょう。

すると世界経済と日本に何が起こるか?


1、財政破綻が原因で、欧州あるいはアメリカの消費が激減する
(消費減)

2、そのせいで、日本製品が売れなくなる

3、作っても売れないので、企業は生産を減らす(生産減)

4、生産を減らすと人があまるので、企業はリストラに踏み切る

5、企業は売上げと利益を減らし、個人の給料も減る(所得減)

6、企業は利益が減ったので、消費と投資を抑える。個人も所
得が減ったので消費と投資を抑える(消費減)


以下3から6までのプロセスを延々と繰り返す。

要するにいつも書いてるあれです。

消費減→ 生産減→ 所得減→ また消費減→ また生産減
→また所得減→ 以下同じプロセスの繰り返し


こういうことです。

つまり、欧米の財政が破綻すれば、

・物が売れなくなる
・大量リストラが行われる
・失業者がますます増える
・給料が下がる
・倒産続出

等々。

要するに、「リーマンショック」後に起こったことが、また再び起こると。

しかも、今回の危機の方が巨大になる可能性もあります。


<【コラム】「リーマンショック2」封切り間近

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月22日(木)10時0分配信

【ニューヨーク】3年前、リーマン・ブラザーズはもろくも破たんした。

この第1作も恐ろしかったが、IMAX3D、デジタルサラウンドで
近日公開される第2作の恐怖にはそれをしのぐものがある。

というのは、カナダのトロントに拠点を置くファースト・アセット・
インベストメント・マネジメントの上級副社長兼ポートフォリオ・
マネジャー、ジョン・スティーブンソン氏の見解である。

 同氏はリーマンショックのような金融危機が向こう6-12カ月の
あいだに起こると予想する。

前回との違いは、今回の危機の原因が財政赤字と欧州の銀行
にある点だ。

 これが起きれば、株式相場は2008年秋にリーマンが破たんし、
アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が破たん危機
に陥った直後のレベルまで暴落し得る、というのが同氏の見方
である。

 スティーブンソン氏は電話インタビューで「そうなれば相場は
あっという間に暴落し、かなり深いダメージを負うことになる」と
述べ、

「前回の金融危機よりもひどいものになる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

前回は政府に人々を救済する余裕があったが、

もはやそのような能力はない」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

と続けた。>

 

↑どうですか、これ?

「前回(08年)よりひどいことになる」

「政府には、救済する力がもはやない」

とのことです。

07年から今にいたるまでの経緯を、ロシアのテレビで以下のように
解説していました。

・サブプライム問題で銀行が破綻した

・それを他の銀行群が救おうとした

・そのせいで銀行群が危機に陥った

・銀行群を国家が救おうとした

・そのせいで国家が危機に陥った

・国家群が危機にある国家を救おうとした

・そのせいで国家群が破滅しつつある


実際、ギリシャがデフォルトになると、イタリア、スペイン、ポルトガル
などがつづく可能性があります。

そうなれば間違いなくリーマン・ショック以上の大混乱になるでしょう。

(省略)

▼対策


というわけで、おそらく欧州から、ひょっとしたらアメリカから危機が
起こることでしょう。

日本もその影響を逃れることはできません。

どんなことが起こるか書きましたが。

・物が売れなくなる
・大量リストラが行われる
・失業者がますます増える
・給料が下がる
・倒産続出

等。

いったい、対策なんてあるのでしょうか?


ありません。

 

すいません。


メルマガ読者さんの中には、経営者、ビジネスマン、政治家、議
員さん、主婦、学生さんなどさまざまな人がいます。

ある会社は倒産し、ある人はリストラされるかもしれません。

リーマン・ショックがそうであったように、その巨大な波から逃れる
ことはできません。


とはいえ、できることはあります。

そう、「貯金」をすることです。

最低3ヶ月の生活費。

もっといいのは1年分の生活費。

さらにいいのは3年分の生活費。


今、金(ゴールド)の値段が上がっているので、買っている人も売
っている人もたくさんいますが。

しかし、危機が欧州、あるいはアメリカからはじまることを思えば
「円高」はさらに進むのではないでしょうか?

円が高い。

欧州、アメリカで消費が激減することで、ものはあまり、デフレが
さらに進むことが予想されます。

(投機資金の流れで、食糧・資源があがる可能性はあります)


デフレってなんでしょう?

そう、物の値段が安くなっていくことです。

つまり、同じ100万円の貯金でも、1年後に買える量は増えている。

要するに、利子はつかなくても貯金の価値は上がっているのです。

 

もしあなたに「3年分の生活費に相当する貯金」があるとしましょう。

それであれば、リストラされてもだいぶ余裕があります。

失業手当をもらいながら、条件のいい転職先を探せばいい。

それに3年もあれば、インターネットビジネスを軌道に乗せることだ
ってできるでしょう。

 

それと、貯金の一部を自宅においておきましょう。

いざ危機がはじまれば、日本の銀行だってつぶれるかもしれませ
んから。

(ギリシャがデフォルトすれば、欧州の銀行はバタバタつぶれるは
ずです。)

 

というわけで、なんとも頼りない「対策」でした。

ちなみに、日本発の危機の場合、「円暴落」「インフレ」になるので、
要注意。

しかし、今回はまず「欧州」、ひょっとしたら「アメリカ」ということです。

(後略)


 

北野さんの解説はいつも論点がわかりやすく整理されていてとてもクリアです。

そしてここに書かれているシナリオは、可能性の高いものだと私も考えています。

2008年のリーマンショックよりも、ダメージが大きくなるかも知れない。

というのも、前回は金融機関の破たんでしたが、今回は国家の破たんです。

なので、前回は政府に金融機関を救済する余裕がありましたが、今はその余裕がありません。

今中国が、イタリア含めた欧州諸国の国債への投資を拡大していく意向を示していますが、これは国家戦略上の動きであり、ドイツ等は警戒しています。

 

ところで、北野さんのお勧めは、当面高くなるであろう円を持つということ。

出来れば3年分の生活費。

貯金の一部を自宅においておくこと。

 

私もそうなのだろうな、と思っています。

ただし、この対策については北野さん自身、“なんとも頼りない「対策」でした”とおっしゃっています。

仮に日本発の危機が米国等よりも先に来る場合、先に「円暴落」「インフレ」になる可能性があるわけで、その場合この対策は使えない、むしろ裏目になる可能性もあります。

 

北野さんの今回のシナリオには、自然災害のことや、それにも関係する食糧、資源危機について触れていません。

こうした要素を踏まえると、その対策は一層難しいものになります。

 

やはり今から、そうした状況を想定した循環社会を少しずつ構築していく必要があると思います。

それは、まず気心の知れた方々でコミュニティをつくって情報交換することもいいのではないかと思います。