"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“9・19さようなら原発・武藤類子さんのスピーチについて”

2011-09-22 06:22:23 | 日記

昨日の日記で触れさせて頂いた9月19日の集会(http://blog.goo.ne.jp/tera-3/e/fbe672bd648761fe9f287b01a470c208)。

その中から、ハイロアクション福島原発40年実行委員会の武藤類子さんという方のスピーチ内容を転載させて頂きます。
http://hairoaction.com/?p=774

(以下転載)


 みなさんこんにちは。福島から参りました。
 今日は、福島県内から、また、避難先から何台ものバスを連ねて、
たくさんの仲間と一緒に参りました。初めて集会やデモに参加する人も
たくさんいます。福島で起きた原発事故の悲しみを伝えよう、私たちこそ
が「原発いらない」の声をあげようと、声をかけ合いさそい合ってこの
集会にやってきました。

 はじめに申し上げたい事があります。

 3.11からの大変な毎日を、命を守るためにあらゆる事に取り組んで
きたみなさんひとりひとりを、深く尊敬いたします。それから、福島県民
に温かい手を差し伸べ、つながり、様々な支援をしてくださった方々に
お礼を申し上げます。ありがとうございます。

 そして、この事故によって、大きな荷物を背負わせることになってしま
った子供たち、若い人々に、このような現実を作ってしまった世代として、
心からあやまりたいと思います。本当にごめんなさい。

 みなさん、福島はとても美しいところです。東に紺碧の太平洋を臨む
浜通り。桃・梨・りんごと、くだものの宝庫中通り。猪苗代湖と磐梯山の
まわりには黄金色の稲穂が垂れる会津平野。そのむこうを深い山々がふち
どっています。山は青く、水は清らかな私たちのふるさとです。

 3.11原発事故を境に、その風景に、目には見えない放射能が降りそそぎ、
私たちはヒバクシャとなりました。

 大混乱の中で、私たちには様々なことが起こりました。すばやく張り
めぐらされた安全キャンペーンと不安のはざまで、引き裂かれていく人と
人とのつながり。地域で、職場で、学校で、家庭の中で、どれだけの人々
が悩み悲しんだことでしょう。

 毎日、毎日、否応無くせまられる決断。逃げる、逃げない? 食べる、
食べない? 洗濯物を外に干す、干さない? 子どもにマスクをさせる、
させない? 畑をたがやす、たがやさない? なにかに物申す、だまる?
さまざまな苦渋の選択がありました。

 そして、今。半年という月日の中で、次第に鮮明になってきたことは、

・真実は隠されるのだ
・国は国民を守らないのだ
・事故はいまだに終わらないのだ
・福島県民は核の実験材料にされるのだ
・ばくだいな放射性のゴミは残るのだ
・大きな犠牲の上になお、原発を推進しようとする勢力があるのだ
・私たちは棄てられたのだ

 私たちは疲れとやりきれない悲しみに深いため息をつきます。 
 でも口をついて出てくる言葉は、「私たちをばかにするな」「私たち
の命を奪うな」です。

 福島県民は今、怒りと悲しみの中から静かに立ち上がっています。

・子どもたちを守ろうと、母親が、父親が、おばあちゃんが、おじい
ちゃんが・・・
・自分たちの未来を奪われまいと若い世代が・・・
・大量の被曝にさらされながら、事故処理にたずさわる原発従事者を助け
ようと、労働者たちが・・・
・土を汚された絶望の中から農民たちが・・・
・放射能によるあらたな差別と分断を生むまいと、障害を持った人々が・・・
・ひとりひとりの市民が・・・

 国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと
声をあげています。私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です。

 私たち福島県民は、故郷を離れる者も、福島の地にとどまり生きる者も、
苦悩と責任と希望を分かち合い、支えあって生きていこうと思っています。

 私たちとつながってください。私たちが起こしているアクションに注目
してください。

 政府交渉、疎開裁判、避難、保養、除染、測定、原発・放射能について
の学び。そして、どこにでも出かけ、福島を語ります。今日は遠くニュー
ヨークでスピーチをしている仲間もいます。思いつく限りのあらゆることに
取り組んでいます。

 私たちを助けてください。どうか福島を忘れないでください。
 
 もうひとつ、お話したいことがあります。それは私たち自身の生き方・
暮らし方です。

 私たちは、なにげなく差し込むコンセントのむこう側の世界を、想像し
なければなりません。便利さや発展が、差別と犠牲の上に成り立っている事
に思いをはせなければなりません。原発はその向こうにあるのです。

 人類は、地球に生きるただ一種類の生き物にすぎません。自らの種族の
未来を奪う生き物がほかにいるでしょうか。 私はこの地球という美しい星
と調和したまっとうな生き物として生きたいです。ささやかでも、エネルギー
を大事に使い、工夫に満ちた、豊かで創造的な暮らしを紡いでいきたいです。

 どうしたら原発と対極にある新しい世界を作っていけるのか。誰にも
明確な答えはわかりません。できうることは、誰かが決めた事に従うので
はなく、ひとりひとりが、本当に、本当に、本気で、自分の頭で考え、確か
に目を見開き、自分ができることを決断し、行動することだと思うのです。
ひとりひとりにその力があることを思いだしましょう。

 私たちは誰でも変わる勇気を持っています。奪われてきた自信を取り戻し
ましょう。そして、つながること。

 原発をなお進めようとする力が、垂直にそびえる壁ならば、限りなく横に
ひろがり、つながり続けていくことが、私たちの力です。 たったいま、
隣にいる人と、そっと手をつないでみてください。見つめあい、互いのつらさ
を聞きあいましょう。怒りと涙を許しあいましょう。今つないでいるその手の
ぬくもりを、日本中に、世界中に広げていきましょう。

 私たちひとりひとりの、背負っていかなくてはならない荷物が途方もなく
重く、道のりがどんなに過酷であっても、目をそらさずに支えあい、軽やかに
ほがらかに生き延びていきましょう。

(転載以上)                           


私が特に素晴らしい言葉だと思うのは以下の部分です。


“どうしたら原発と対極にある新しい世界を作っていけるのか、誰にも
明確な答えはわかりません。できうることは、誰かが決めた事に従うので
はなく、ひとりひとりが、本当に、本当に、本気で、自分の頭で考え、確か
に目を見開き、自分ができることを決断し、行動することだと思うのです。
ひとりひとりにその力があることを思いだしましょう。”


私がこのつたないブログでお伝えしたいなと思っていることはまさにこの一点です。


ひとりひとりが、自分の頭で考え、決断し、行動すること。