春日部高校の定時制で事務作業をこなす公務員の方が、練習豊富な実業団の方々を上回る実績を上げての3位。
見事、次回世界選手権の日本代表選手となりました。
2時間8分台、素晴らしい記録ですよね。
川内さんを、応援する同僚の方が、
「時の人ですね。」
とTVインタビューに答えていました。
私は、川内さんのように、意図的に作られたのではない、正真正銘の“時の人”に強い興味を覚えます。
競技の内容や記録もそうですが、むしろ、どのような方なのか、またその方がどのようなコメントをされているのか、ということにとても関心が湧くのです。
そこには、これからの時代に繋がるようなヒントがあるのではないか、と思うからです。
川内さんは、午後1時半から同9時半までフルタイムで働き、残業もこなします。
毎日午前中に地元で2時間ほど走り、昼過ぎには出勤します
高校時代には、故障も多く、決して順風満帆とは言えませんでした。
本領を発揮し始めたのは、学習院大学生の時。
箱根駅伝にも出場して活躍しました。
実業団の誘いもありながら、埼玉の公務員となりました。
「学生時代、強豪校に勝つとうれしかったんです。社会人でも強豪がすべてではないと見せたくて。ひねくれているんですけど」
「自分は強豪校から強豪大、実業団へいく日本のエリート育成システムからの落ちこぼれ。働きながら自分で練習を決めて、市民ランナーでやっていくことにこだわった」
そして、
「県職員として埼玉のための仕事をしたい。公務員としての仕事を身につけたい」
と話されています。
川内さんは、最近も挫折を味わっています。
1月の全国駅伝に、埼玉県代表のアンカーとして出場したのですが、順位をかなり落としてしまったのです。
その時のビデオも流れましたが、
「埼玉の名誉に傷をつけてしまった」、
と涙の中でおっしゃっていました。
そして、今回の東京マラソンで、その埼玉のユニホームを着て、見事リベンジを果たしたのです。
倒れこみながらのゴール、それはまるで駅伝を見ているようでした。
川内選手は今回の記録について、
「自由に好きなように、楽しく走るというスタイルでやってきたからこそ出た結果」
と話しています。
やはり、たくさんのヒントがあるように思います。
前回の駅伝、今回も、ユニフォームは“埼玉”でした。
そして、全国駅伝の時も、今回も、そして、仕事についても、“埼玉”への強い愛情を感じさせる発言をされています。
前回の名古屋での選挙、大阪等もそうだと思いますが、やはり自分たちの住む場所を大切にしていこうという流れであるように思います。
今、中東で起きている民主化とも、共通する流れにも思えます。
自分たちの地を、自分たちの手で、ということだと思うからです。
ご自分のことを“落ちこぼれ”と呼ぶ川内さんが“時の人”になったということには、様々な分野において、ヒーロー、トップ像が変化していくという意味も込められているように思います。
そして、それを達成するために、“自由に好きなように、楽しく”というキーワードもありますね。
川内さんの発言を聞いていても、自分が自分が、という感じはありません。
心の底に強さは感じますが、その奥ゆかしさに微笑ましく感じます。
郷土に対する深い愛情は、利他の心でもあると思います。
春日部東高時代に、陸上部監督として川内選手を育てた恩師は、
“山登りの練習では、全国トップレベルのチームメイトが音を上げるなか、
「行ける、行ける」と1人前向きな言葉を叫びながら前に出た”
“苦しい状況ほど力を出せる選手だった。東京マラソンも川内らしい勝ち方”と
おっしゃっています。
“苦しい状況で力を出す”ということは、今、そしてこれからの時代において、とても大切なことのように思います。
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