"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

平和について

2010-12-30 06:45:00 | 日記
今年も、様々な出来事がありましたね。

最近も、欧州では、大雪で空港が閉鎖になったり(私も、ロンドン行きの便が別の飛行場に降りてしまって往生しました)、大寒波のアメリカで様々な被害が出たり、夏の筈のオーストラリアで雪が降ったり・・・。

経済面でも、ギリシャや、アイルランドが、欧州中央銀行やIMFの金融支援を受け、ポルトガル、スペインや統一通貨ユーロの今後が心配されたり・・・。

日本にとっても大切な年だったと思います。

国家とは何か、日本人とはなんなのか?ということを突きつけられた年でもありました。

普天間基地移設問題しかり、尖閣諸島事件しかり、北方領土問題しかり、北朝鮮砲撃事件しかり・・・・

海があるので、普段はなかなか意識しづらいのですが、実は日本が、複数の重要な国々と隣り合わせにあるということを痛感しました。

中国、北朝鮮、韓国、ロシヤ・・・もちろん米国もそうですね。

そうした国々との関係性の中で、日本が今後どのようなポジションを築いていくべきかを考える機会をもらったという言い方も出来ると思います。

このような国際情勢の中で、私たちが選挙で選んだ民主党の迷走ぶりも目につきました。

でも、私は、今、「日本は、なんと幸運なのだろう!」という思いも強く持っています。

尖閣諸島事件において、船長を釈放し、弱腰と批判された日本政府の対応。

しかし、その直後、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与式において、中国が、ノルウェー政府や参加国に対して圧力をかけました。

中国は強引で非常識な国だ、という認識が世界中に広まりました。

結果として、尖閣諸島事件も、中国の横暴さを示す例となった訳です。

7月の参議院選挙、鳩山さん退陣後、菅首相への支持率は当初かなり高いものがありました。

それで自信を得たのか、選挙直前に突然消費税の話を持ち出して惨敗。

その結果、衆参ねじれ状態となりました。

菅さんが選挙前を無難にふるまっていれば、ここまでの惨敗はなかったでしょう。

今回、もしねじれが起きなければ、“外国人地方参政権付与”、“夫婦別姓”、“人権救済機関設立”も、他の法案にまぎれて、知らないうちに法案として通ってしまう可能性があったと思います。

今年、様々な出来事があったお陰で、平和ぼけにあった日本人一人一人が、考えるきっかけになったという恩恵もありました。

まあ、これも、黒船と同じように、あくまでも出来事があって初めて反応するというパターンではありましたが。

将来の日本の姿についてです。

私は、日本は、平和を世界に広めていく役割を担っていくのだと思っています。

今年、様々な出来事があったので、日本の防衛についての議論も今後色々出て来ると思います。

そのこと自体はいいことだと思っています。

他の国から、もし、侵略を受けるようなことがあれば、命をかけて自分の家族や同胞を守るという心がまえや準備は必要だと思います。

しかし、一方で、ある国が口実を作って、他の国と戦争を始めることになった場合、それに乗らない勇気も持つべきだと思います。それがたとえ同盟国からの要請であっても。

新防衛大綱の中で、必要最小限度の防衛力を保有するという今までの「基盤的防衛力」の考え方から、「動的防衛力」の考え方を取り入れるとしています。
これには注意する必要があると思います。

日本も核を持つべき、という議論も、今後出て来るかも知れません。

議論すること自体はいいと思います。

しかし、保有することには、私は絶対反対です。

“抑止力としての核”、という言い方をしますが、それはその効果以上に、そう言わざるを得ない事情があるからだと思っています。

即ち、使うことを想定出来ない程、核の被害は大きなものになるからです。

抑止力という言葉は、現実から目を背けさせ、核保有を正当化する理屈なのだと思います。

一度、ある国が核兵器を使うと、その報復として今度は別の国が使うことになります。

今、議論すべきは、どこかの国が、万一核兵器を使った時に、その被害をいかに最小限に食い止めるかということであり、そうした危険性を持つ核を根絶することだと思います。
その議論を、世界で最も正々堂々と出来るのは、唯一の被爆国であり、核を持たない日本なのです。

話しは変わりますが、スピリチュアルの世界でよく聞く、

「あなたはそのままでいい。今のあなたでパーフェクトです。」

という言葉があります。

これを、“あなたは、これからも今のままで日々を送っていればそれで十分です。”というように解釈するのではないと思います。

その考え方は、真実から遠ざけるのを好都合とする力が源となっている可能性もあると思うのです。

ダライラマさんは、ただ平和を祈る人でしょうか?
マザーテレサさんは、ただ人々の心の平安を願う人だったのでしょうか?

もちろんその言葉が必要な時もあると思います。
苦しんでいる方を救うために、使うべき時もあると思います。

しかし、その状態から脱出できたら、人は、アクションを起こすべきなのだと思います。

その人なりのやり方でいいから。

それでは、皆様、どうぞ良い年をお迎えください。

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「史上最強の都市国家ニッポン」増田悦佐、三橋貴明著

2010-12-28 04:45:00 | 日記
面白い対談です。

増田さんは、1949年生まれ。一橋大卒、ジョンズ・ホプキンス大学院、外資系証券会社のアナリスト等を経て、今は、ジパング・ホールディングス経営企画室シニアアナリストとして、著作活動もしています。

三橋貴明さんは、1969年生まれで都立大卒。NEC、日本IBM等に勤務後、中小企業診断士として独立。2チャンネルで有名になり、今、すごい勢いで本を出しています。
新時代の著者の一人です。

この対談、日本の良さを見直そうというポジティブな論調となっており、元気になります。

また、お二方とも、データに基づかない話はしない、ということをモットーにしており、好感が持てます。

まず、面白いのは、東京、大阪等大都市についての見方で、日本は、世界一、自由で便利な大都市を誇っていると考えます。

歩いてコンビニやスーパーに買物に行けるし、鉄道網が発達しているので、車もあまり使わない。従ってエネルギー消費の観点からも素晴らしい。

欧米の大都市が、もともと要塞都市から発達して来たのに対して、日本は、縄文時代より、自分たちの村を守るための境目もなく発達して来た為、制限がなく、色々な機能や階層の人たちが混在し、広がりを持ちやすい発展の仕方をして来たと評価します。

しかし、その健全な大都市への人口集中が起きて来た所で、田中角栄さんの日本列島改造論が出て、地方も含めた全国均質な発展ビジョンを持つようになって以降、日本の発達がおかしくなって行った、と増田さんは説明します。

世界的に見ると、所謂先進国と言われる国々の大都市への人口依存度は80%。それに対して日本は60%で止まってしまった。そして、地方に人を残すために、様々な名目でお金を落としているために効率性が損なわれている、と主張します。

また、高齢者にとっては、郊外型の大ショッピングセンターは、車の移動等不自由であり、効率性含めてなじまないという考え方もあります。

高齢者が安心して都市に住めるように、駅に病院を作ったりして利便性を高める必要があると説きます。

即ち、“逆・日本列島改造論”です。

都市集中が経済成長の原動力という考え方は、賛否両論あると思いますが、ユニークだと思いました。

実際、データで見ると、人口減少の大きな県の一人当たりの労働生産性は向上しているのです。

以前の本でもご紹介しましたが、農業の生産効率も上がっている訳です。

都市計画というのは、国民を管理したい人の思い上がった発想だという考え方が二人にあります。

そこに住む人々が便利なように開発していけばいいのだと。

確かに、生活に必要なものが徒歩圏内で手に入ったり、豊富にあるレストランの便利さは、私の住んできた他の国々の都市と比べても本当に贅沢だと思います。

ところで、インフレとデフレに対するお二人の考え方には違いがあります。

増田さんは、企業の競争原理が働いて、良いものをより安く提供していくと、自然に価格は低くなり、デフレになる。これは、消費者にとってはいいことであり自然なことだ、と評価します。

一方の三橋さんは、特に若い人は、家のローン等、借入れ負担が大きく、デフレ下では、借入負担が実質的に増大してしまうので良くない。適度なインフレが望ましいと主張します。

統計を大事にするお二人なだけに、一般的な思い込みを取り払ってくれるデータを提供してくれます。例えば、“コンクリートから人”へのスローガンの民主党。

実際には、95年に45兆円と最高であった公共投資額は、それ以降、年々減って、今ではその半分以下になっている、むしろ、補修工事等、必要な投資が行われていないために、使えなくなっているトンネルや橋が増えて来ていると、その弊害を提起します。

特に三橋さんは、民間の資金需要がないことの証明である金利の低い時には、政府が公共投資等で需要を喚起すべき、と考えます。

私がう~ん、とうなったのは、韓国と日本を対比した三橋さんのコメントです。

ご存知のように、韓国の企業サムソン電子の家電や現代自動車の車は、世界で着実にシェアを高めています。

しかし、これは、ガリバー型寡占であって、消費者の選択肢を狭め、価格設定も企業側有利になっていると主張します。

それに対して、日本には、多くのメーカーがあり、消費者の選択肢が豊富で、価格競争も激しい分、消費者がメリットを享受していると主張します。

海外に住む私にとっては、グローバルベースでの競争に精彩を欠く日本のメーカーにふがいない思いもしていましたが、そういう見方もあるのかな、と思いました。

また、日本の輸出依存度の低いことにも驚きました。

日本の名目GDPに対する輸出依存度は、なんと10.7%。イギリスでも16%、ドイツは33%、中国は24%、韓国は44%です。

日本の企業が、85年のプラザ合意に始まる円高の歴史の中で、思いの他、円高に対する抵抗力が強いことの裏づけとなっています。

日本が輸出国であるというイメージは、日本の国民に植え付けられて来たが、実は、円高にすることが最も効果的な日本対抗策だと考える米国にも効いている訳で、私たちは、かえって余計なことを言わないほうがいいのかな、と三橋さんは冗談半分で言います。

しかし、あとがきで三橋さんは、書いています。

“日本が現在、抱えている問題は、実は「情報の問題」だけなのです。”

今、日本は、経済、社会保障、少子化、高齢化、外交・安保も、いつまで経っても解決しない事態に至っている。

その“理由は極めて簡単で、正しい問題認識なしで、正しい解決策を構築することは、この世の誰にもできないため”。

私もその意見に、全く同感です。

史上最強の都市国家ニッポン 逆・日本列島改造論
増田 悦佐,三橋 貴明
幸福の科学出版

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「国家の命運」 藪中三十二著

2010-12-23 05:15:00 | 日記
藪中さんは、1948年生まれ、阪大法学部を中退後、外務省に入り、今年、外務事務次官を退任しました。

大手銀行から内定をもらっていたのに、ESS仲間から外務省専門職試験を受けようと誘われて2ヶ月後、試験に合格。

配属された課の上司から、外務公務員I種試験を受けるよう勧められて1ヶ月後の試験で合格します。

自慢話のようにも聞こえますが、運命的なものも感じます。

読み進めると、官僚として藪中さんのイメージが変わって来ます。

著者は、以前ベストセラーになった『「NO」と言える日本』を引き合いに出して、「Noと言えない日本」も「Noと言える日本」も、相手の要求を待ってから答えるという意味では、結局同じ、オフェンス、攻めの姿勢が大事、と述べます。

そして、受身の日本の姿勢は、幕末の黒船来航以来今に至るまで変わっていない、と主張し、実例として1980年代以降の日米間の経済摩擦を振り返ります。

“オフェンス、対米攻撃をすれば、自分たちにはね返ってくるから、かえって危ない、と考えるような有様だった。”

著者は、“個々の政治家について論評したり、暴露的レポートをお届けしたりするつもりは毛頭ない、”と強調します。

確かに暴露的な要素はほとんどこの本にはありません。

ただ、数少ない政治家に対するコメントに、小沢さんと小泉さんのことが出て来ます。

1990年の日米構造協議の中で、分野の異なるアメリカの要求が突然複数出て来て、緊急に対応しなくてはならなかった時の話として小沢さんの名前が出て来ます。

その時、自民党幹事長だった小沢さんは、“「アメリカと交渉しても大丈夫だ、という内容のきちんとした案を政府で作るように。党の方は自分が処理する。各部会との接触は禁止する」と言い切った”そうです。

それまでは、担当省が原案を策定し、それを自民党の関係部会に諮っていたのですが、その間に原案は大きく修正され、結果当たり障りのないものとして相手側に提示される習慣となっていましたが、これでは米国は納得しない、その時間もない、という状況だったのです。

その小沢さんの決定から“ようやく事態は進展を見せ”、“前代未聞のプロセスが、昼夜を問わず続けられた。”と著者は記しています。

小沢さんの意思決定を評価していることは明らかです。

また、サミット時、じかに各首脳の働きぶりを見た感想として、2006年当時のブレア首相とプーチン大統領について、“実務能力はきわだっていたように見受けられた”と述べるとともに、小泉首相について、

“立ち居振る舞いにも余裕を漂わせ、会場へ入って行くと、向こうから握手を求めてくる。そして発言は、いつも簡にして要を得ていた。私自身、さすがだな、と感じ入った。”

と書いています。

官僚出身の藪中さんが、悪者小沢さんと小泉さんを褒めるというのは、意外な感じがしましたが、面白いコメントだと思いました。

藪中さんは、官僚機構の弊害として、“継続性を重視しすぎる習性”や、“行政の縦割り構造”をあげます。

それだけに、本来、決断しまとめていく役割としての政治家について、色々思うところもあったのでしょう。

米国を含めた諸外国との様々な分野での交渉を担当していただけに、その交渉現場の臨場感のある描写も出て来ますが、これは参考になりました。

日本サイドは、交渉の最後に「ご理解いただきたい」というフレーズを入れるのが決まり文句だと言います。

しかし“「お互い、事情があるのだから、理解してもらえるのでは」と温情を乞うようなやり方は、国際舞台では通用しない。

とりわけ、ロジック中心の欧米諸国には通用しないどころか、「何を考えているのか分からない」という大きなマイナスイメージまで抱かせてしまう。”と力説します。

海外で仕事する私も、日々痛感していることです。

湾岸戦争後、NYタイムズに掲載されたクウェート政府の「Thank you 広告」、イラクによる侵攻から守ってくれたことに感謝するという内容で、約50カ国の名前が挙がっていた中に、130億ドルもの戦費を拠出した日本の名前が記されていなかったこと、覚えていらっしゃる方もいると思います。

このことは、日本の関係者のトラウマとなり、“それ以降、外務省においても「人的貢献」が常に最重要課題となった”そうです。

しかし、著者は“外国に兵を出さない、というのも一つの大きな政策であることは忘れてはならない”、と強調します。

“日本は「日本としてやれることをやる」道を目指すべきであり、中核は民生支援であり、これに加え、平和構築活動を強化することが妥当な方法だと考えている。”

私も、多いに賛成です。

2008年、日米関係の権威とされる識者たちが来日し、その一人が、

“アメリカ国内は熱気にあふれていて、まさに『Yes, we can』という雰囲気だ。しかし、日本の政策はふらついていて『No, we can not』ではないのか。”

“アフガニスタンにしても、日本は自衛隊も出せず、どうせ大した貢献はできないのだろう。”

と言った時、筆者は、立ち上がってまくしたてます。

日本はアフガンの地で500の学校を建て、教師も養育し、30万人の生徒に教育を与えてきた。
50ヶ所に病院を作り、40百万分のワクチンを供与、650キロにおよぶ難しい道路を建設し、カブール空港のターミナルも完成させた。
JICAが派遣する専門家集団が、現地の人とともに農業、医療、教育に携わっている。
8万人の警察官の給与の半分を日本が支払っている。

“こうした日本の支援は、アフガンの大統領から住民まで幅広い人たちから感謝されている。
これこそが、『Yes, we can』なのだ。”

その時、先方一行の一瞬の沈黙の後、“「いや、日本がそういう活動をしているとは知らなかった。素晴らしいことだ・・・・」という反応が返ってきた”そうです。

私は、思わず目頭が熱くなると同時に、こういう場面できちんと主張が出来るように、もっと勉強しなければ、と思いました。

国家の命運 (新潮新書)
薮中 三十二
新潮社

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「さらば日米同盟!」 天木直人著

2010-12-18 17:10:00 | 日記
天木さんは、1947年生まれ、京大法を中退し、外務省に入省します。

マレーシア、オーストラリア、カナダ大使館の公使、デトロイト日本国総領事を経て、2001年から3年までレバノンの全権大使となります。

そこで解雇処分を受けたことが、天木さんの人生の転機となります。

解雇理由は、小泉総理にイラク戦争に反対するよう諫言したこと。

由々しきことです。

「日本は侵略国家であったのか」という論文を書き、航空幕僚長を実質的に解任された、田母神俊雄さんとの共通点を感じます。

しかし、そうした体験をバネにして、日本でタブーとして隠されて来た情報や意見をどんどん表に出して行かれているお二人の姿勢は、それぞれの立場、主張は違いますが、素晴らしいと思います。

イスラエルは、一方的とも言える米国からの強いサポートを受けて来た経緯があります。

イスラエルとパレスチナの軍事力の差は、比較出来ない程開いてしまいました。

そして、天木さんがレバノン駐在時に見たものは、パレスチナに対するイスラエルの、まさに弾圧とも言えるものでした。

“パレスチナ問題の真実は、軍事力において圧倒的に強いイスラエル人がパレスチナ人を弾圧・虐殺し続けているのに、国際社会がその非人道性、違法性、犯罪性をだれもとがめることのできない絶対的な不条理、不正義の問題であるということだ。”

そして、絶え間なく続く弾圧に対するやむにやまれぬ自爆攻撃が「テロ」である、と考えます。
“責められるべきは、人間をそこまで絶望に追い込んだイスラエルとそれを無条件に支持する圧倒的な強者米国の不正義なのである。”

更に日米同盟においても、“在日米軍の機能や自衛隊の対米協力が、もはや日本の国防などではなく、米国の「テロとの戦い」にシフトしている”との危機感を抱きます。

その観点で、著者は、日本の自主外交を唱えます。

そのための“憲法九条新党”の立ち上げを提唱します。

そのマニュフェストは、“日米同盟から自立し平和憲法九条を掲げて平和外交を貫くことを国民に訴え、そのことを政策に反映させる”こと。

“憲法九条に基づいた平和外交、専守防衛の自衛隊、そして東アジア集団安全保障体制の構築の三本柱からなる自主防衛瀬策”

実は、私の今の考え方は、天木さんと共通します。

日本が実質的にアメリカに押し付けられ、日本の軍事力を骨抜きする目的で出来た平和憲法、しかしこれは人類の宝だと思っています。

ソ連等の共産国との戦いの為、その後に出来た日米安保条約とは、大きな齟齬が出来てしまいました。それはやはり米国の都合によるものでした。

しかし、平和憲法があるために、私たち日本には、日本を守る自衛隊があり、かつ平和を保っていける。

結果として、素晴らしいバランスが生まれていると思います。

私は、日本人による日本のための憲法改正には、大賛成です。

しかし、今は、あまりにも様々な意見があり、まだそれらが集約されていない為、今、憲法改正を行うことは、大変危険だとも思っています。

なので、憲法改正は、機が熟してからでいいと思います。

今は、今の憲法の枠内で出来ることをやっていけばいいと思うのです。

日米同盟から離れていく時には、当然中国やロシヤの動きも出てくるでしょう。

そのために、東アジア集団安全保障体制を作り、それぞれの国を牽制し、かつ米国をも牽制して行く。

中米の間に入って、それぞれの国益に目配りをし、バランスを取りながら、日本のポジションを確保していくことが出来るのではないかと思います。

軍事力がなくても、中国の圧力に屈せず、劉暁波氏にノーベル平和賞を授与したノルウェーのように毅然と行動し、世界の世論を見方につけるのです。

テロと戦う米国、私はこの国の凋落は、実はかなり早い段階に来るのではないかと思っています。

しかし、米国は、依然として世界最大の軍事国家です。

やはり、戦争を起死回生のビジネスとして活用してくると思います。

日本がそれに巻き込まれるのは、避けなくてはなりません。

日本、日本人の自立が、必要なのだと思います。

さらば日米同盟! 平和国家日本を目指す最強の自主防衛政策
天木 直人
講談社

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「日本の独立」植草一秀著

2010-12-17 00:00:01 | 日記
植草さんは、1960年生まれで、東大経卒、大蔵省研究官、京大助教授、スタンフォード大学客員フォロー、野村総合研究所主席エコノミストとしてTVにも出演、華々しいキャリアで活躍していました。

しかし、ご存知の方も多いと思いますが、痴漢犯罪で、それは一転してしまいました。

植草さんは、それは国家の罠であり、冤罪だったと主張しています。

私も少し、その時の裁判関係の記事を読んだりしましたが、確かに、その裁判の過程にはおかしなところがあるように思いました。

真実は、本人のみが知るということですが、もしこれが、批判色の強い植草さんの言動を封じ込める為に、権力が嵌めたのだとしたら、大変なことだと思います。

著者は、“米、官、業、政、電の利権複合体”として、その利権構造にメスを入れます。
米国、官僚機構、産業界、政治、マスコミ。

そして、この利権構造は、明治維新以来、今までずっと続いてきたものとして、歴史をさかのぼりつつ検証して行きます。510ページに及ぶ力作です。

鳩山さんが首相から降り、そして菅さんに首相が変わった出来事、著者は、“六・二クーデター”と呼びます。

その時、幹事長だった小沢さんも降りました。

鳩山さんと小沢の会談後、親指を突き出す鳩山さんの姿をニュースでご覧になった方もいると思います。

普天間移転の件含めて、その言動が二転三転した鳩山さんが、最後の踏ん張りとして小沢さんも道連れにした姿として印象的でした。

しかし、そのことを、著者は批判します。

即ち、利権構造を守ろうとした複合体の圧力に鳩山さんは負けたのだと。
最後の最後に小沢さんを切る姿勢を示したことによって、マスコミに迎合したのだと。

そして、それは調子に乗った菅さんの、“(小沢さんには)しばらく静かにして頂いた方が、本人にも、民主党にも、日本の政治のためにも良い”発言を引っ張りだしたのだと。

最近の小沢さん国会招致の動き、その報道の様子を見ていても、やっぱり小沢さんを恐れる人は多いのだな、と思います。

何とかして封じこめたい、という力の強さを感じます。

そもそも、検察が色々調べた結果不起訴と決めたのに、検察審議会が強制起訴をしました。

そして、いつの間にか起訴内容が変わっていたり、2回の審議会のメンバーが全く同じだったのではないかという疑惑が出たり、更には三権のどこにも属さないと疑われる検察審議会の存在自体にもクエスチョンマークがついています。

これから裁判は進んでいく訳ですから、あることないことを言って、視聴者に、小沢はひどい奴だ、というイメージを植え付ける目的の国会招致を行うのはどうか、と思います。

かと言って、私は、小沢さんを応援している訳ではありません。

大軍団を率いて中国に行き、胡錦涛主席に対して、

「私は人民解放軍の野戦軍司令官です」

と言ったということ、また習近平副主席の来日にあたって天皇陛下との会見をむりやりセットしようとした一連の出来事に対しても大きな疑問を感じます。

米国からの依存を低くし、中国に接近するためには、インパクトが大切、と思ったのかも知れませんが、やり方を間違えていると思います。

もしも、中国に近づくことによって、個人的にもいいことがありそう、とでも考えていたりしたら、とんでもないことです。

外国人への地方参政権付与の件しかり、夫婦別姓の件、そして、沖縄の一国二制度の考え方しかりです。

しかし、米国、官僚、マスコミ含めて、小沢さんに敵が多いということは、逆に見ると、小沢さんが本気で動いた時に、自分たちの権益が本当に崩される可能性があると考えている、そう思っている人が多い、ということの証明なのかも知れません。

そうした荒療治を出来そうな政治家は、現時点では、他に見当らないように思います。

前回の代表選で、小沢さんは菅さんに負けました。

その日を境に、民主党内の亀裂はどんどん大きくなって来ているように思います。
政界再編はもう避けられないのかも知れません。

この本のタイトル「日本の独立」についてです。

通読して見ると、そのタイトルの趣旨は、米国を含めた既存の権力構造からの独立という意味のようです。

ですので、本来やむをえないことなのかも知れませんが、
“今、米国から独立する姿勢を鮮明にして、安全保障上含めて大丈夫なのか”とか、
“一党独裁の中国、北朝鮮に対してどのようなポジションを取るのか”、
という視点が抜けているように思いました。

「日本の独立」と言った場合、世界の中の日本という視点、特に米中との関係は必須だと思うのです。

日本の独立
植草一秀
飛鳥新社

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「裏読み日本経済」 朝倉慶著

2010-12-16 00:00:01 | 日記
著者の朝倉さんは、1964年生まれ、証券会社勤務後3年で独立した経済アナリストです。
船井幸雄さんが、経済の超プロ、K氏として紹介しています。

今、日本はデフレです。

日本には、ものを売りたい人は多いが、買いたい人が少ない、という需給ギャップが存在し、そのギャップは約40兆円と言われている。

この40兆円のギャップを埋めることが出来ない限り、即ち、その分の過剰な設備を削減出来ない限りデフレを解消することは出来ない。

日本は、税収が30兆円しかないのに、90兆円の予算を立てている。

歳出を2,3兆円削減しても、大勢には影響がない、即ち、日本が財政破綻に向かうのを避けることは出来ない。

そしてある時点から想像を絶するインフレとなる、と予想します。

日本や米国では、経済を建て直すために、今後も低金利政策を続けざるをえない。

しかし、低金利で溢れたお金は、需要を増大させるような消費や設備投資に回るのではなく、商品相場や新興国の資本市場に回り、バブルを発生させる。

それが再び日本に返ってインフレとなる。

その結果、金利は上昇、国債価格の暴落によって、日本国民は財産を失う、というシナリオです。

私自身も、確率の高いシナリオの一つだと思っています。

ヨーロッパでも、ギリシャ、アイルランドに始まる国家破綻の連鎖は続き、“危ういバランスで成立しているモザイク通貨のユーロ”に危機が訪れると説明します。

商業用不動産ローンに関して、“担保価値が下がっても、不良債権として認定する必要はない”という指針を出して、数字の改ざんを勧めるアメリカも、銀行の大量倒産等で益々厳しくなる、との読みです。

この本の後半では、“市場はどのように支配/コントロールされているのか”というタイトルで、ヘッジファンド等、資金量の豊富な海外の投資家によって、マーケットが操作されているという説明をします。

それは先物取引を使った方法です。

通常の株式の売買では、大量の資金を短期間につぎ込むことは出来ません。

その銘柄の流動性にもよりますが、一度にたくさん買おうとすると、株価が上がってしまうのです。

それに構わず、どんどん買い進めることは相場操縦として禁止されています。

そうでなくとも、買っている時に株価がどんどん上がるということは、将来売却時の利益金額を少なくしてしまうということになり、投資家にとって好ましいものではありません。

しかし、先物取引の特徴として、それを使うと、同じ価格でいくらでも大量に買付けすることが出来るのです。

しかも、決済時は持株を売却せずに、その時の決済価格(SQ)で決済される。
従って、理論上、資金量が多ければ勝ち続けることが出来るわけです。

著者は、85年のプラザ合意後の日本のマーケットの上昇過程及び90年からのバブル崩壊は、そうした制度をフルに活用した投資家によって作られた、と考えます。

そして、それはまた再現される可能性があると。

確かにこの取引は、巨大な投資家の資金つくりに貢献していたのかも知れません。

国民新党は、前回の衆議院選挙時「先物取引の禁止」をうたいましたが、大きな反対にあって実現しませんでした。

今、それをもう一度見なおす必要があるのだと思います。

裏読み日本経済 本当は何が起きているのか
朝倉慶
徳間書店

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「新たなる金融危機に向かう世界」 副島隆彦著

2010-12-15 04:58:53 | 日記
副島(そえじま)さんは53年生まれ、早稲田大学法学部から、外資系銀行員を経て、予備校講師、常葉学園大学教授などを歴任しています。
“民間人国家戦略家”として講演、著作活動を続けています。

その舌鋒は、表紙の顔写真のように、いかつく、鋭いです。(失礼)

“菅直人と仙谷由人官房長官は、誰かに、どこかの国の特殊な人々に脳をやられたのである”
“アメリカ帝国は、今や世界中から詐欺で集めた金を、1ドルも返さないで踏み倒してしまおうという、巨大な人類史上最大の詐欺事件を目論んでいる”、そのために、

“1ドル=10円の大暴落を企てる。アメリカ国内には「100ドルを1ドルにする」というデノミネーション(通貨単位の変更)を断行するだろう。”

想定される様々な事態に備える、頭の中でシュミレーションしておく、という意味で、有用な情報を提供してくれます。

不動産証券化商品を含め、実は相当リスキーであった様々な金融商品に対して、トリプルAという最上級格付をつけ、バブル崩壊の悪役となった格付け会社。

本来は公的機関であるべき格付け会社、その最大手、S&Pの親会社は、マグロヒルという、アメリカ最大の出版事業のコングロマリットで、その大株主、オーナーは、デイヴィッド・ロックフェラーだったということ、恥ずかしながら私は知りませんでした。

S&Pの本社は、ロックフェラーセンタービル内にあるそうです。

ロックフェラー、押さるべきところはちゃんと押さえているのだな、とヘンな感心をしてしまいました。

ちなみに、大手もう1社のムーディーズの株主は、ウォーレンバフェット。

副島さんは、“本来、金融政策とは言えない大銀行の救済を、金融政策のふりをして、財政資金(国のお金)で行った”各国の政策を批判します。

2003年日本でのりそな銀行救済、2008年のアメリカの大手銀行救済、今年のヨーロッパでの資本注入を指しています。

“本当は、「経営に失敗した会社(企業)として、破産法のきまり通り、死なせる(破産させる)べきだったのである」”

全く正論だと思います。

しかし、一方で、リーマンブラザーズを潰したことによって、世界の金融市場が崩壊寸前になってしまいました。

私はむしろ、大銀行の救済を行わざるを得ないところまで、世界の金融状況が悪化している、というように受け取っています。

以前、日本のバブル崩壊後、不動産や、株式等の時価評価を緩くして、米国からの批判を浴びました。

今、米国で、逆にそれをやっています。

損失隠しをやってもなおかつ米国内の銀行の倒産は止まらないのですから、かなり深刻だという想像が出来ます。

副島さんは、“2007年8月から始まったサブプライム問題から始まった金融恐慌がもうすぐ世界恐慌に発展していく”と考えています。

それによってオバマ大統領は、じきにその座を降りざるをえなくなり、ヒラリー・クリントンさんが後任の大統領となると予想しています。

そして“1930年の大恐慌時に、ルーズベルト政権が行ったこととまったく同じような政治体制を目指す”と、その政治体制を“ヒラリーファシズム”として、金融面だけでない様々な分野での規制強化に対する懸念を表明しています。

新たなる金融危機に向かう世界
副島隆彦
徳間書店

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「日本は世界5位の農業大国」浅川芳裕著

2010-12-14 04:20:00 | 日記
有名評論家、有名アナリストの方が書いた本にも、面白いもの、役に立つものはたくさんあると思います。

しかし、私が最近感銘を受けた本、また、これから是非読んでみたい本のことを考えると、必ずしもそうではない著者に惹かれる傾向があるようです。

それは、メジャーな方々には、特定の会社、スポンサー等、その方々が背負っているものがあって、自由に書けないことが多いからではないかと思います。

中には、過去からの主張に反する事実が出て来ても、それを認めることは到底出来ない、という方もいるのではないでしょうか。

この本の著者、浅川さんのキャリアは、とてもユニークです。

1974年生まれ、エジプト・カイロ大学文学部、東洋言語学科セム語専科中退。
ソニーガルフ(ドバイ)勤務を経て、農業技術通信社に入社。
「農業経営者」副編集長、若者向け農業誌等を発行しています。

私たちの日本の農業のイメージは次のような感じではないかと思います。

‘やり方によっては成長産業。しかし、今は、どんどん就業人口が減って、事業規模も小さく、利益が出ずに苦しんでいる。

日本の食料自給率は、とても低く、国を挙げてそれを引き上げていくことが大変重要で、農家への戸別補償も、自給率を上げていくためにはやむをない。‘

いかがでしょうか?

この本は、私たちの日本の農業に対する、そうした固定観念を見事にひっくり返してくれます。

そして、こうした固定観念は、実は、意図的に植え付けられて来たのだということも教えてくれます。
権益をキープしたい政府、農水省、利益団体の手によって。

まず、本のタイトル、そして、表紙の棒グラフに驚きます。
農業生産額で見ると、なんと日本は、中国、米国、インド、ブラジルについで、世界で堂々の5位。フランス(6位)とほぼ同規模。

日本の食料自給率は、4割というイメージがあります。
だからこれを上げなくては大変だと。
実際、農水省は、そのような数字を使っています。
しかし、生産額ベースで自給率を出すと、実は7割弱なのです。

では、なぜこんなにも数字がかけ離れているのか。

これは、農水省の自給率の算定方法が、生産額ベースではなく、カロリーベースというなんとも奇妙な数字を前提にしているからなのです。

日本の農業の強みである野菜や果物類。
しかし、これらは、本来カロリーが低く、健康的な食べものです。

一方で、カロリーの高い畜産物については、それを育てた飼料が何%国産であったかで、国産比率を算定するのだそうです。

即ち、ただでさえカロリーが高く、自給率算定の際の比率が高い畜産物は、それを100%輸入飼料で育てた場合、たとえ日本国内で養育しても、100%輸入として算定されるのです。

世界の中で、カロリーベースで自給率を算定しているところは、ただ日本だけ。
そもそも、食品の自給率を計算し、それを伸ばすことを国策にしている国はない。

それは、日本と同じ島国である英国の場合も同じ。
英国では、むしろ、食品の自給率を計算し、それを上げようとすることは、意味がないばかりかむしろ悪影響が大きいと定義しているそうです。

パスタの国、イタリアは、意外にも世界最大の小麦輸入国。
国内生産で足りない小麦を、他国から輸入し、パスタとして加工して、輸出します。

自給率に縛られて、海外からの資材に高い関税をかけてしまうのは、その製品の調達手段を狭め、安定供給を阻害するものであり、かつ本来その国の産業が持っている利益率や競争力を犠牲にしてしまうというマイナス要因があるのです。

輸入品に高い関税をかけてもらったり、補償をもらって出来た今の日本の小麦は、国際的に全く競争力のないプロダクトだそうです。

そして、その政策を、国民のお金、税金で行っていることになります。

日本の農業、その就業人口は減っていますが、実は、生産性が大きく向上しているそうです。

他の農家が辞めた土地を買い取って成長して来た専業企業が、その生産効率を高めているからです。

そう見えないのは、圧倒的に数が多い、小規模兼業農家をひっくるめて使って計算し、その姿を日本の農家の姿として見せているから。

兼業農家は、他の収入もある為、農業部分だけを見ると、経営が厳しく見えてしまう訳です。

今、TPPが話題になっています。

私自身、このTPPは、米国が輸出を伸ばすための方策であって、日本がそれに利用されるのは避けるべきであって慎重に検討した方がいいと思います。

しかし、TPPの件の有無に関係なく、これ以上農業を過保護にしていくということについては、消費者に対してはもちろんのこと、長期的に見ればその創意工夫をつんでしまう生産者にも利がないと考えており、今こそ、脱皮が必要だと考えます。

その為には、まず日本の農業に対する正しい認識を持つことが重要で、この本の存在意義は高い、と考えます。

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
浅川 芳裕
講談社

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隠そうとした本音が表に出てくること

2010-12-03 09:20:00 | 日記
内部告発サイトのウィキリークス、米国の外交情報をどんどん流して話題になっていますね。

一方の日本、秋篠宮ご夫妻が、天皇、皇后両陛下の入場を立ったまま待たれていたところ、中井衆院予算委員長が
「早く座れよ。おれたちが座れないじゃないか」
と発言したという問題。

一見、次元の異なる話のように思えますが、実は共通していることがあると思います。

それは、“隠したい情報が、表に出てしまう”ということ。

今、どんなに隠そうとしてもその人の本音が表面化してしまう時代になって来ているのだと思います。

仙谷官房長官の“暴力装置”発言しかり、柳田元法相の“2つだけ覚えればいい”発言しかりだと思います。

尖閣諸島のビデオ流出の件は、その代表的なケースでしょう。

更に言えば、ネット、本等で起きているマスコミへの報道偏重批判もその一環だと思います。

最近は、小沢さんを強制起訴した検察審査会が、三権のいずれにも属さず違憲であるという話が出ています。
それも同じ流れだと思います。

この現象は、今、様々な分野で起きていることであり、今後益々激しくなっていくと思います。
それに伴って様々な混乱も起きてくるでしょう。

ですので、これからは、何が真実かということについて、自分自身で考え、自分で結論を出していくという姿勢が大切になっていくのだと思います。

そして、その結論には、結果もちゃんとついてくる、即ち責任が求められるということだと思います。

まあ、ウィキリークスの情報は、まだまだ表面の情報しか出ていないような気もします。

やはり、本当に重要な情報は、幾重にも守られているのでしょう。

もしかしたら、米国の本音は、これだけしか情報がないと思われる為に、むしろこの程度の情報は出てしまってもいい、ということかも知れません。

それにしても、日本の政治、その国益を考えると、相当な犠牲を払っていることは大変由々しきことだと思います。
が、一方で、世の中うまく動いているのかな、と思ったりもします。

明らかに中国寄り、社会主義的な発想で、日本の国家という存在に対してさえネガティブであると思えるような民主党のポリシー。

その民主党が選挙で勝って与党になってみると、沖縄基地問題で米国との関係をぎくしゃくさせた所で、頼みにしていた中国が、尖閣諸島問題で強硬的な態度を顕わにし、ロシヤ大統領には北方領土を訪問されて、その対応に批判を浴び、修正を迫られています。

なので、民主党にとって好むと好まざるに関わらず、方向性を変えざるを得ない。

小沢さんが、“民主党には、まだ与党になる力はない”と言って自民党との大連立を目指したことは、やはり正しかったのでしょう。

とにかく民主党にとっては、今、野党時代には考えられない経験となっているでしょう。

朝鮮学校高校授業料の無償化もいったん停止になったようです。(とは言えウオッチは必要ですが)

それを、政権与党としての民主党が自らやらなくてはいけなくなったというところに、何か運命のようなものを感じるのです。(外国人参政権付与の流れも早くストップして欲しいと思います。)

話題となっている中井さん、あまり説得力のない言い訳の中で、“秋篠宮ご夫妻にそんなこと言う訳ない”、と言っています。
考えてみれば、出身の民社党時代にはそんな言い訳の必要もなかったかも知れません。

今は“そんなこと言う訳ない”、と言わなくてはならない立場になった訳です。

なので、私自身は、今の日本に強い危機感を持っていますが、失望はしていません。(ただ、経済含めてあまり時間はないと思っています。)

一つ注意が必要だなと思うのは・・・・

民主党代表選で、バタバタしていた時に、尖閣諸島事件が起きたこと、
そして、まだまだ米と日本の関係がぎくしゃくしている時に、北朝鮮による韓国砲爆が起きたこと。

尖閣諸島の件では、クリントン長官の“尖閣諸島は日米安保の適用範囲内”発言直後、中国のトーンが変わりました。
そして、日米安保の重要性を確認しました。

北朝鮮の砲爆では、米がいち早く北朝鮮に対して非難声明を出し、韓国との合同演習を行うことで米韓同盟の重要性を確認しました。

今度の日米演習には、韓国も加わることになったようですね。

日米韓が関係強化することは、巨大化する中国に対抗するという意味で、大変重要だと思います。

しかし、それが実は、少し中国寄りになっていた韓国と日本を、米国が取り返しに行っている、その取り合いに、日本も韓国も巻き込まれている、という可能性もあると思うのです。

今回、日米同盟の重要性を確認したことによって、日本が、金銭的なもの含めて米国に手足を縛られることになることには要注意だと思います。

TPPについても、米国の輸出を増やすこと(だけ)が米国の狙いであり、慌てて受けてしまう必要はない、と思っています。

米国は、直接か間接かどうかはわかりませんが、近い将来、戦争を起こす可能性があるでしょう。
覇権国家としての立場が弱くなっている時だけに、今、国益確保に必死だと思います。

日本は、真の自立を目指すべきだと思います。

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「隷属国家日本の岐路」 北野幸伯著

2010-12-01 04:00:00 | 日記
著者の北野さんのキャリア、ユニークです。

1970年生まれ、ロシヤ語どころか、英語もままならない状態で、ロシヤ外務省付属モスクワ国際関係大学に入って、必死で勉強。
卒業生の半分は外交官、半分はKGBに行くと言われているそうです。
卒業後、カルムイキヤ自治共和国大統領顧問に就任。

その後、メールマガジン「ロシヤ政治経済ジャーナル」を創刊し、ネットを使ったり本を書いたりして情報発信されています。

この本でも、国際政治、国際経済の要点をカバーしながら、日本のあるべき姿を説明しています。
その論理は明快、わかりやすく解説しています。

著者は、“日本でのレーガノミクスは、亡国の道”、産業の空洞化は日本の命取りと主張します。

米国企業が生産拠点をどんどん海外に移して、米国内が空洞化し、その結果として貿易赤字や財政赤字が膨らんでも、アメリカがつぶれることはありませんでした。

理由は、ドルが基軸通貨だから。

ドルが世界の基軸通貨である限り、ドルの需要は減らないので、輪転機でいくらでも刷ることが出来る、ドルで発行された米国債に対するニーズもある。

なので、ドルが暴落したり、ロシヤや中南米で見られたようなハイパーインフレは、米国では起こらない(なかった)。

一方、円は基軸通貨ではありません。

従って、中国等に日本企業が出てしまい、製造を海外で行うことによって、日本でその分の付加価値創造が消えてしまっても、円をどんどん刷ってそれを埋めるという手段が取れない。

円は基軸通貨ではないので、貿易赤字、経常赤字の状態では、円は下がり、輸入物価の上昇に伴い、ハイパーインフレとなる。
行き着く先は、国家破綻。

しかし、米国の状況も変化しつつある。

米国一極体制から、多極化するということは、ドルが基軸通貨でなくなるということ。

ユーロが出来たのは、米国への対抗であって、ドルの基軸通貨体制を打破するための手段。

米国は、“フセインとアルカイダとの関係”や“大量破壊兵器の保有”を理由に、イラクを攻撃しました。

しかし、それはあくまでも米国がでっち上げたことであって、その本当の目的は、石油の確保と、フセインが、決済手段をドルからユーロに変えたことへの対抗手段。

それを放置すると、他の国々でも決済通貨をユーロに変える動きが出てくる恐れがあり、ドルの基軸通貨としての役割が失われてしまいます。

実際、米国は、イラク攻撃後、イラクの決済通貨をユーロからドルに戻し、かつ、石油の権益を持っていた中国や、ロシヤ、ドイツ等を追い出してしまいました。

“覇権を取るのに必要なのは、金力(経済力)と腕力(軍事力)”
それを理解している中国はこれから覇権国になる。“

日本は、中国の属国にならないよう、今まで米国に守られていたことによる外交オンチを解消しながら、自立した日本を築いて行かなければならない。

経済面では、世界的に増えている富裕層をターゲットとした高付加価値製品へ特化して行けば、人件費の高い日本でも十分に生産活動を継続出来る。

移民の大量流入は、日本のワーカーの賃金引き下げに繋がり、差別の問題にも繋がるので反対。

エネルギーについては、日本周辺にたっぷりとある“メタンハイドレード(冷凍状態のメタンガス)”を使えば、エネルギー自給率100%を目指すことが出来る、等々。

アメリカから植えつけられた罪悪感から自由になり、自信を持って日本人本来の強みを発揮していくべき。
『日本人は日本人のままでいい』、と。

実は、北野さんのこと、最近まで知りませんでした。

で、この本を読んで、う~ん、と唸ってしまいました。
大変勝手ながら、自分の感覚と、とても近いものを感じたからです。

そして、日本をよくしたい、という気持ちがとても伝わって来ました。

隷属国家 日本の岐路―今度は中国の天領になるのか?
北野 幸伯
ダイヤモンド社


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