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生きる力・勇気・志――「ブッダの言葉」を中心に

大阪の禅寺 天正寺住職 佐々木奘堂(じょうどう)のブログです。人間が本来もっている自由で活発な身心を探求していきます。

アッタカヴァッガに関して(2)

2011年04月03日 | アッタカヴァッガとは?
 スッタニパータの第4章アッタカヴァッガと、第5章が、とりわけ古いお経で
あることを述べました。

 特にアッタカヴァッガに関して強く思うことですが、
私たちが、「これが仏教の基本だ」として教えられるようなことが、
成立するより前のお経です。
「四諦」「八正道」「十二縁起」「戒定慧」「三宝(仏法僧)」などが、
仏教の根本と思っている人も多いと思いますが、
それらは、ブッダの死後に、だんだんと時を経る過程で、
紆余曲折しながら、形成されていったようです。
(詳しくは、中村元先生などの本を読んでください。)

 もちろん、その後の仏教理論が仏教だと確信した上で、
アッタカヴァッガを読むと、その中に、その後の仏教理論の
萌芽を見出すことも可能でしょう。
 思い込んで物を見れば、そのように見えてくる・・・ということは、
実際にあることです。
 実際、アッタカヴァッガを解説したお経は、それなりの仏教理論が
形成された後のもので、その物の見方から、アッタカヴァッガを
解説しています。その人たちには、そのように見えるわけです。

 ただ、アッタカヴァッガでは、「物の見方」自体が大問題になっています。
「先入観をもって、物を見ると、そのように見えてしまう、
はたしてこれを乗り越えることができるのでしょうか?」ということが、
本当に痛切に問題となっています。

 ですので、その後の、仏教理論を忘れてというか、少なくとも脇へ置いて、
できるかぎり、素直にブッダの言葉を、自分自身に語られてた言葉として
読んでいくことが大事だと思います。

 ブッダ自身は、特別な専門用語も仏教用語も使わず、
当時の日常語しか使っていません。
私たちも、日常語として、その言葉を自分に語られた言葉として
耳を傾けていけばよいのです。

 このシンプルなことを、ひたすらシンプルにしていくこと、
このことがいかにすごいことか! 
 これは私の人生での最大の驚きです。死ぬまで汲み尽くせないものが
ここにあります。
 共に、ただシンプルなことをシンプルにしていくことをしていければと思います。

 このシンプルなことをしていくことが、イコール、自分の既に無自覚に
もっている先入観をはらっていくというか、先入観だったことに気づいて
いく過程となると思います。

●この前の文章 アッタカヴァッガ(ブッダの言葉)に関して

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ブッダの言葉(アッタカヴァッガ)に関して

2011年04月02日 | アッタカヴァッガとは?
 ごく簡単に、アッタカヴァッガ(ブッダの言葉)に関して述べておきましょう。

 「スッタニパータ」という5章から成るお経を集めたものの、
第4章が、アッタカヴァッガです。
 パーリ語という言葉で書かれています。
ブッダは「マガダ語」を話していたと言われています。
パーリ語は、ブッダが話していた言葉そのままではないですが、
当時のインドの西部のほうの言葉と言われています。
ブッダの話していたマガダ語とは、方言の関係と言ってよいでしょう。
(大雑把に言って、日本語でも、関西弁、茨城弁、東北弁、
九州弁などとあるのと同様な感じでしょうか。)

 「スッタニパータ」は、「スッタ」は、「お経」という意味です。
「ニパータ」が「集めたもの」というような意味で、
「スッタニパータ」はお経を集めたものということです。

 その5つの章が、同時期に成立したわけではなく、
ある時期に、その5つが、一つに集めれられ、「スッタニパータ」
と名づけられたのでしょう。

 パーリ語三蔵と言って、パーリ語のお経は、「三蔵」として
残っていて、膨大な量にのぼります。
 それらの膨大な量のお経は、成立年代も、地域も部派も、異なるものが
混じっています。
 その中で、「スッタニパータ」は古いお経と言われ、そのスッタニパータの
中でも、第4章と第5章は、特に古いと言われています。
(第4章と第5章は、それらの「解説文」も「お経」に入っていまして、
ここからも、その古さが裏付けられます。)
 学者がたが、「言葉の用い方」や、「引用のされ方」など、多方面から
検討してますので、興味のある方は、中村元先生の著書をはじめ、
勉強なさってください。(私も自分なりに勉強しましたし、今後も続けます。)

続く・・・

●ブッダの言葉(アッタカヴァッガ)を読むための序文的な
 文章かこちらをご覧ください。

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