Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

8月15日~8月25日 スペイン・ガリシア地方にて

2015-08-23 | 旅行

ガリシア地方最大のイベントに参加

今は夏祭りの最盛期で連日さまざまなイベントが組まれている。週末は、現在てまりが停泊中のVilagarciaで開催されたイベントを楽しんだ。

8月15日(土)は町から海岸線を2㎞ほど歩いてCarrilという小さな漁村に出かけた。

この辺りは複雑に入り組んだリアス式海岸で、潮位差も3m近くあるため貝類が沢山獲れ、養殖も盛んだ。今日は村で「浅利祭り」が開催され、トマトソースで味付けした浅利が3,000皿用意される。パンが付いて一人前10€だが、貝が盛られた可愛い特製のお皿は持って帰って良い。昼間からワインを一本空けてシンプルな貝料理とバグパイプの演奏を楽しんだ。バグパイプのオリジナルはスコットランドだが、ガリシアでも古くから伝統楽器として親しまれているそうだ。

若者たちの傍若無人な振る舞いにうんざり

夕方船に戻ると、マリーナ周辺には日本の夏祭りのような露店が立ち並び、特設ステージが設けられ、ものすごい人でにぎわっていた。何処の国でも若者たちのマナーの悪さはひどい。いたるところにゴミが散乱し、割れたビールや酒の瓶がそこらじゅうに転がっていて、気を付けて歩かないと怪我をしそうだ。大音量でスピーカーから流れる音楽は、朝まで止むことはなく安眠を妨げられた。朝起きてみるとマリーナの海面には投げ捨てられたペットボトルやさまざまなゴミが浮遊し、飲んだくれた若者たちが岸壁から小便をしている。マリーナスタッフは早朝から、そうした連中がマリーナに入らないように総出で警戒に当たっていた。「昨日はうるさくて眠れなかったよ」というと、「今晩は大丈夫ですから」としきりに謝っていた。町には仮設トイレや臨時のゴミ箱などがほとんど見当たらない。どうやらこの夏祭りの期間中、ゴミの散らかし放題を市当局は黙認しているようだ。

町中水浸しのビッグイベント開催

8月16日(日)、イベントのハイライトFESTA DA AGUA (水祭り)が開催された。

正午になると、町の中心部に止められた何台もの消防車の上から一斉に放水が始まった。それに呼応するかのように、アパートの窓やベランダからは水が降ってくる。集まった人たちは皆手にした水鉄砲やバケツで、誰彼かまわず水を掛けまくる。水かけ祭りのスタートだ。

10数年前、水飢饉に悩まされたこの町で、町の守護神に祈る雨乞いの儀式が開催されたという。それが功を奏してか水飢饉は無くなり、その後神に感謝するイベントとして定着したのがこの水祭りというわけだ。町の正式イベントとして承認されて以降年々盛り上がっているようで、最近はこの祭りを目当てに世界中から人が集まってくるらしい。しかし昨日までより少し暖かくなったとは言え、気温は20度を超えたくらいなので、我々は上下合羽を着用、防水キャップをかぶった完全武装で出かけた。そんな恰好をしているのは我々ぐらいなもの。皆ずぶ濡れ覚悟で裸同然のスタイルだ。嫌でも目立つ我々は標的にされて、四方から水を掛けられた。中にはコーラや、バケツで路上に溜まった水をすくって掛けてくるのもいて、こちらも防戦に必死だった。

世界遺産のある町・La Coruna

イベリア半島の北西端に位置するガリシア地方は、海流と地形の影響で一年を通じて雨が多く、夏涼しく冬暖かいところ。冷たい北風のため7・8月は霧が多く発生し、我々も早朝出航した際、午前中いっぱい深い霧に悩まされたことがたびたびあった。天気も地中海のように晴れの日が続かず曇って寒い日が多い。

水祭りの終わったVilagarciaを出て小さな漁村Camrinasに立ち寄ったあと、8月19日(水)、ガリシア地方最大の港湾都市La Corunaに入港した。てまりが舫いを取ったReal Marinaは旧市街の真ん前の便利な場所にある。白い壁と、壁面いっぱいに並ぶ小さなガラス窓が特徴のビルが立ち並ぶマリーナ通りは「ガラスの街」と呼ばれる独特の景観だ。

町がある小さな半島を回り込むと大型船も停泊できる天然の良港になっており、はるかローマ時代から海の拠点として栄えてきたという。半島の西端にある「ヘラクレスの塔」と呼ばれる灯台は、紀元2世紀、ローマ時代に造られた灯台。18世紀にオリジナルを生かして補修されたが、現存する世界最古の灯台として世界遺産に登録されている。Camrinasからこの町に向かう途中真っ先に目に飛び込んできたのがこの灯台だ。灯台のてっぺんに上ってみるとはるか先の海まで見渡せて、外敵の侵入を防ぐ見張り台としての役割も果たしていたことがよくわかる。

日本とスペインのコラボ料理を堪能

8月21日(金)、ネットで見つけた評判のレストランに出かけた。昨日電話したところ、夜は週末まで満席と言われランチを予約したのだ。HOKUTOという名前の日本食レストランは、4か月前にオープンしたばかりというのに、ネットサイトでこの町のトップ10レストランの3位にランクされていた。4か月ほど東京の料理学校で勉強し、その後マドリッドの寿司屋で4年ほど修行したという、まだ30代のカルロスがオーナーシェフだ。この店の特徴は単なる寿司屋ではなく、寿司をベースにスペイン料理の良さを生かしてアレンジしているところ。カルロスにお任せで頼んで出てきた料理は、どれも日本で食べる寿司と一味違う素晴らしいものだった。

ビスケー湾に入る

8月22日(土)、La Corunaからイベリア半島最北端の岬を通過してスペイン北岸の町Viveiroに入港。ここからはスペイン北岸に沿ってビスケー湾の最奥まで東に進路を取ることになる。

写真はRibadeoのマリーナ

8月24日(月)、ViveiroからRibadeoに移動する。丘の上にある町は12世紀に建てられたという教会を中心に広がっている。マリーナは川を少し遡った西岸にあり、町に行くのに便利なようにエレベーターが備えられていた。この町が、我々が立ち寄るガリシア地方最後の町。次はアストゥリアス県に入る。ガリシアはバスクやカタルーニャ同様、独自の文化を持つエリアで、ポルトガル語に近いというガリシア語は公用語として認められている。ガリシア地方は雨が多く夏の最高気温が22度前後と涼しいが、美味しい料理と独自の文化のある楽しいところだった。

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