Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

3月7日~3月16日、 カリブ海からロスアンジェルス、そして日本へ一時帰国

2015-03-19 | 旅行

日本人ヨッティーと3年ぶりの再会

3月9日(月)、St. Maartenのマリーナで帰国準備の最中、懐かしい人と会う事ができた。ヨットARCOIRISの垣見さんは、てまりより早くヨーロッパでヨットを購入しフランス沿岸から地中海をクルーズ、2年前にブラジルまで足を延ばして、最近はカリブ海に船を置いている。垣見さんとは3年前にシチリア島でランデヴーしたことがあり、その後も我々がARCOIRISの後を追う形で航海をしていた。カリブ海での再会を楽しみにしていたが、我々の突然の帰国でそれも諦めかけていたところ、数日前から同じ島のフランス側マリーナに居る事がわかり、再会することができたのだ。垣見さんも家の事情で中々航海が進まず、日本とカリブ海を行ったり来たりしているようだ。何年にもわたる長距離航海では、船の故障や家庭の事情などでクルージングの計画変更を余儀なくされることが多い。それは仕方がないことで成行きに任せて柔軟に対応するしかない、というのが我々の一致した見解だった。

5か月ぶりに、てまり陸に上がる

3月11日(水)、ラダーのガタツキの修理のため2週間ほどお世話になったLagoon Marinaからすぐ隣にあるMegayardという陸置場に船を移動。クレーンで船を吊り上げてみると、思った以上に船底は汚れていた。これでは、船底塗料も塗り直さないとだめだ。この際不安材料のあるところはすべて修理してもらおうとリストアップし、業者と打ち合わせを行った。

ひとつき半ほど船を空けるための後片付けをし、12日に近くのホテルに移動する。気が付いてみれば、2月23日にこの島に到着してから20日近くが過ぎていた。フランスとオランダが仲良く島を分割支配するSt. Maarten (フランス側はSt. Martin)は、小さい島だがカルチャーミックスによるユニークなライフスタイルが形成されている、飽きのこない島だ。

3月13日(金) オランダ側の空港から飛行機に乗り、マイアミ・オーランド経由でロスアンジェルスに向かう。

2回の乗り継ぎでロスまで15時間ほど。日本まではそこから更に11時間のフライトだ。日本と13時間の時差ということは、ほぼ地球の裏側になる訳だ。今回はロスに居る友人、北澤君の家で一休みできるので良いが、やはり日本とカリブ海は遠いということを実感する。

久しぶりにアメリカに来てみると、セキュリティーチェックの厳しさと円安のせいでモノの値段が高いのに驚いた。マイアミ空港で入国手続きを行ったが、両手の指紋認証と顔写真の登録にはじまり、係官からはかなり色々と質問を受け、入国検査に要した時間はゆうに1時間を超えた。911事件以降アメリカの入出国検査は非常に厳しくなったと聞いていたが、厳しいことで知られるイスラエルとあまり変わらない入国時のチェックだった。

マイアミ空港でランチ。空港内のレストランは値段が高いと覚悟していたが、たかがハンバーガーとビールで二人分50ドル取られたのにはびっくりした。アメリカは15%程度のチップを置く必要があるので、それを加えると6000円以上になる。スペインの安いタパスに慣れていた我々には信じられない値段だ。

ロスアンジェルスの友人宅で2日間、潮気を落とす

3月13日と14日、ロスアンジェルス郊外にある北澤邸でのんびりと過ごさせてもらった。緑に囲まれた丘の中腹にある彼の家からは、起伏にとんだロスアンジェルス郊外の山間の美しい光景を眺めることができる。使い勝手の良いキッチンやリビング、ダイニングと広々としたアウトドアテラスを持つ、我々のドリームハウスを具現化したような素敵な家だった。

北澤君の愛車、トライアンフTR4でドライブ

半年ぶりに日本に戻る

3月16日、昨年9月15日以来半年ぶりに日本に戻ってきた。

今回の帰国は色々と片付けなければならないことがあるため、慌ただしい時間を過ごすことになりそうだ。

その間に、美味しい食事や温泉を楽しみながら、5月以降のクルーズプランを再構築し、4月末に再びカリブ海に戻る予定。

てまりの現在地はこちらからご覧いただけます。

次回の「てまりブログ」は再びカリブに戻る5月以降にお届けします。


2月23日~3月6日、 カリブ海クルーズ Part Ⅵ. St. Barth’s ~ St. Maarten

2015-03-06 | 旅行

オートパイロットが故障する

2月23日(月)、St. Kittsを出航して43マイル北のフランス領St. Barth’sに向かった。途中、突然ビニールが燃えるような嫌なにおいがした。外からの匂いかと思っていたら、バッテリー残量低下というエラーメッセージとともにオートパイロットが作動しなくなった。どうやら配線がショートしたようだ。

その後は強風の中、交替で舵を取りながら次の目的地、フランス領St. Barth’sに午後2時過ぎに到着。無線でポートコントロールとコンタクトすると、係留ブイもマリーナも満杯なので、自分でアンカーを打てと言う。アンカレッジは依然として風が強く、アンカーの効きが悪い。この島は小さいが魅力的な島という評判で是非立ち寄りたかったが、不安が残るため錨泊を諦めすぐ北にあるSt. Maartenに向かい、Philipsburgのマリーナに舫いを取った。

島の北半分がフランス領St. Martin、南半分はSt. Maartenと呼ばれオランダ領だ。

オランダ側マリーナで、そのケチさにうんざり

入ったマリーナはスタッフのサポートも無く、自分で舫いをとるのに値段は電気・水道・シャワー・WIFI別で一泊$77。今までのカリブで一番高い料金だ。更にシャワーを浴びにいってびっくりした。個室に入るのに25セント、お湯を出すと1分ごとに50セントづつコインを入れなければいけないのだ。あまりのケチぶりに腹が立って船に戻ってシャワーを浴びた。

Philipsburgはオランダ側の首都。クルーズシップが4隻も停泊しており、ビーチ沿いにはレストランや免税店が立ち並ぶ華やかなリゾートタウン。オランダらしい雰囲気はあまり感じられず、むしろアメリカのビーチリゾートの感じだ。

2月24日(火)、高いマリーナを一泊で退散しフランス側のMarigot Bayにあるマリーナに移動する。こちらは無線の呼びかけにもすぐ対応し、スタッフが舫いを取るのをアシストしてくれた。当たり前の対応だが、昨日の今日なので妙にうれしくなってしまう。

オートパイロットの修理のため、再びオランダ側に移動

フランス側のマリーナに移動した一番の目的はオートパイロットの修理だ。マリーナから修理業者を聞いて電話をすると、数時間後にはメカニックのアレックスが船に来てくれた。どうやら心臓部のコンピューターに問題があるらしい。しかし、彼の仕事場はオランダ側のSimpson Bay Lagoonにあるため、そちらで修理をした方が良いと言われた。確かに何か不足の部品などがあってもすぐ対応できるし、修理代は時間いくらでカウントされるのでその方が安上がりだ。仕方なく再度オランダ側に移動することにした。アレックスからは島の外を回ってくるようにアドバイスされたが、時間短縮のため広大なSimpson Bay Lagoonを通ってショートカットする。ラグーンの平均水深は1.5m位。浚渫して航路を確保しているが、ちょっとはずれると浅瀬があるので十分な注意が必要だ。ラグーンの入口と中間に橋があり、決められた時間だけオープンする。そのタイミングに合わせてマリーナを出航、ラグーンに入るといきなり浅瀬に突っ込んでスタック、到着直前に再びスタックしたが、2回ともキールとラダーをアップして脱出した。出航から1時間後、ラグーンの内側にある小さなマリーナに舫いを取る。周辺にはアレックスの会社を含めて様々な修理会社や巨大なマリーンショップがある。この島はデューティーフリーなので、ヨットのメンテナンスが大きなビジネスになっているようだ。

2月28日(土)、気晴らしにレンタカーを借りて島をドライブ

この島は北半分がフランス領、南がオランダ領だが、国境も検問所も全くなく人も車も自由に往来でき、まるでひとつの国のようだ。しかし通貨も異なり両方に国際空港がある。もちろん、フランス側の表示はすべてフランス語だ。レストランやスーパーの品ぞろえもそれぞれの国柄が反映されていて面白い。3時間ほどあれば車で一周できる小さな島に人口9万人、カリブ海では人口密度が高い島だ。それに加えて生活している人も観光客も、二つの違う国を自由に往来できるメリットを最大限に生かそうと、しょっちゅう行き来しているためか、いたるところで交通渋滞が起きていた。

フランス領の北西部にあるGrand Caseは、ビーチ沿いに様々なレストランが並ぶグルメタウンとして有名な町。土曜日とあって地元の人達で賑わっているカジュアルなレストランで昼食。グリルで焼きたてのスペアリブやチキンはジューシーで美味しく、しかも値段も安く大満足だった。

帰りがけに、有名なMaho Bayのビーチに立ち寄った。このビーチはすぐ後ろがオランダ側のエアポートのため、ランディングする飛行機が轟音と共にビーチの真上を滑空してくる。飛行機がアプローチしてくるたびに、ビーチに居る人たちは立ち上がって目の前に迫る飛行機を仰ぎ見て大騒ぎしていた。

オートパイロットのトラブルは予想外に深刻、一旦帰国を決意。

オートパイロットが動かなくなった直接の原因は、コントロールするコンピューター基板のショート。てまりで使用しているコンピューターはかなり古いものなので、心臓部の部品をすべて交換する必要があると言われた。一日かけて主要部品を交換し配線し直してテストしたが動かない。コンピューターをショートさせた原因が他にあるとわかり、今度は舵を動かす油圧シリンダーを取り外してチェック。それを制御する電磁スイッチに不具合があるために交換したがまだ問題がある。運悪く、この島のビッグイベントであるハイネケンカップヨットレースと重なって、整備スタッフは大忙しで、我々の修理は常に後回しにされてしまい、あっという間に一週間が過ぎてしまった。ラダーの取り付け部分のがたつきが問題らしく、これを修理するには船を上架する必要があり、更に時間がかかりそうだ。

結果として思わぬ出費と時間を費やことになってしまったが、オートパイロットやラダーは船の生命線。この先の長距離航海を考えると、安心して修理を任せられるところで直すのが一番だ。この際悪そうなところはすべてここで修理をしてもらうことにして、その他の事情もあるため、予定を早めて一旦帰国することにした。

せっかくロスアンジェルスから遊びに来てくれた北澤君には申し訳ないことをしてしまった。

3月13日こちらを出発、ロスアンジェルスで一休みして帰国、 4月末にこちらに戻りクルージングを再開する予定。 てまりブログは次回でいったん中断させていただきます。

今後の航海計画も大幅に変更になる予定です。

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