写真上 アポロン神殿にある、有名なメデューサの顔 写真下 Didimのアポロン神殿
DIDIMという町
てまりの冬期係留場所に決めたDidimと言う町の歴史は古く、紀元前16世紀頃からDidymaという名前で発展し立派なアポロン神殿の遺跡も町のはずれに残されている。しかし、その後は衰退したようでいわゆる旧市街が存在しない町だ。周囲に高い山が無いためか年間を通して雨が少なく年間平均最低気温12℃という温暖な気候に恵まれ、1980年代からビーチリゾートとして開発が進んだ。
マリーナに近いアパートメントホテルはイギリス人オーナーが多く、周辺のお店の値段表示もトルコリラではなくポンドのところが多い。町のあちらこちらで再開発が進められており、住宅もビルも道路も新しく、まだ工事中のものも多い。町から2kmほどのところにあるDidim Marinaは、トルコの大手コングロマリットが5000万ドルを投資して2年前に完成したばかりの新しいマリーナだ。贅沢なほどゆとりを持って作られたマリーナ周辺の広大な空き地は大型ホテルやショッピングセンターなどが建設される予定という。海に面したちいさなリゾートタウンがマリーナの建設を契機にリッチでお洒落なリゾートタウンに変身しようとしているところと見える。しかし、まだリノベーションは始まったばかりでCesme, Bodrum, Marmarisなどエーゲ海に面した人気のリゾートタウンのようになるにはまだかなりの年月がかかりそうな発展途上の町だ。
写真左 1か月前に来た時はガラガラのドライドック 写真右 大型艇を中心にかなり埋まってきたDidim Marina
11月19日(土)
今日1日遅れでてまりをドライドックに上架した。昨日上架の予約をしておいたのだが土壇場になって今日は上架ができないという。事務所の説明によると、入荷予定の船を上架中支えるクレードルが来なかったそうだ。丁度1ヶ月前始めてDidim Marinaに到着した頃は、後楽園球場がすっぽり入る広大なドライドックは実際に野球ができそうなほどガラガラだったが、今はメガヨットをはじめすごい数の船が上架されており、クレードルが足りなくなるのもわかるような気がした。Didim Marinaには巨大な屋内整備工場を持つ会社を始め15ものマリーンサービス会社がオフィスを構えており、安心して船の整備を任せられる。他で見たことが無い広大なドライドックと併せて多彩なリペアサービスの提供がこのマリーナの大きなセールスポイントの一つなのだろう。
上架した船での生活は色々と不便なので、我々は一昨日から近くのアパートメントに住まいを移した。ここのところの急激な冷え込みで、夜は暖房の無い室内の温度が15℃位に下がる船の生活がしんどくなっていたので丁度良いタイミングだった。11月はオフシーズンのため、マリーナから徒歩15分ほどのところにある80㎡ぐらいの2LDKアパートメントを1日75TL(約3,500円)で借りることができた。
11月22日(火)
Didimでの生活も今日で最後になってしまった。船の上架後各給排水管の洗浄など残った作業を行い、てまりの整備と追加工事を委託した業者との最終確認を行った。てまりは進水後10年が経過しているが、予想以上に傷みが少なかった。船はエンジンの部分補修が必要な以外大きな修理個所は見当たらず、心配したアルミの電蝕もほとんど無いようだ。我々は3200マイルに及ぶ今年の航海で、大時化の海や強風のダウンウィンド・アップウィンド、4ノットを越える逆潮など様々な条件の海を走り、この船の安定性と信頼性の高さを確認することができた。従って今回の整備はエンジンを除いて、更に快適にクルージングするための追加工事がメインだ。
今年の航海中色々なマリーナで沢山のヨッティーから「良い船だね」と声をかけられた。ALUBAT OVNIという船を知っている人も知らない人も、長距離航海向きに作られた頑丈で使い勝手が良さそうなてまりを見て、その良さを分かってもらえてとてもうれしかった。
来年は5月から6月中旬まではEMYR(東地中海ラリー)に参加、キプロス・シリア・イスラエル・エジプトなど中東各国を回り、その後はエーゲ海からイオニア海に入りクロアチア・イタリア・マルタ・チュニジアなどを訪問する予定でいる。最近のニュースではエジプト・シリアの国内情勢が不安定だがEMYRコミッティーの判断を見ながら最終的な参加の可否を決めるつもりだ。
今年のヨットてまりのクルージング写真はこちら、今年辿った航跡はこちらでご覧いただけます
☆明日船を置いてDidimから離れ日本に帰国するため、てまりブログは来年3月までしばらくお休みします。独断と偏見で色々と好き勝手な事を書かせていただきましたが、お付き合いありがとうございました。このブログについてご意見やご希望などがあれば遠慮なくご一報ください。
来年は出来る限りそうしたご意見を取り入れて、楽しいブログにして行きたいと思っています。
ヨットてまり キャプテン 関山 光二