アテネの海の玄関口PireusのZEA Marinaで船の整備や補修、部品の調達などを行い、その間2日間ほどアテネ観光もしたため、このマリーナには一週間の滞在になってしまった。
タクシーで15分ほど、バスと電車を乗り継いでも40分で行けるアテネでは有名なアクロポリス遺跡や古代アゴラの遺跡などを見て回った。2年前にオープンしたばかりの新アクロポリス美術館には古代遺跡から発掘された様々な物が展示されてあり、パルテノン神殿をイメージした造形に神殿の壁画などが飾られている。日本ではまだ文化が形成されていない縄文時代に古代ギリシャでは既に高度な文明が存在していた様々な証を見ると、その質の高さに驚かされる。小高い丘の上に立てられていた巨大なアクロポリス神殿も、その時代にどうやってここまで資材を運びあの巨大な建造物を建てたのかと驚かざるを得ない。一方、これまで見てきたギリシャの町は皆そうだったが、イタリアやスペインで見なれた中世のままの街並がまったく存在しない。町のごく一部に古代文明の遺跡が残されているだけだ。 これはポリスと呼ばれた都市国家間の内紛や19世紀後半まで400年に渡るトルコの支配によるギリシャ人への虐待、その後も周辺各国の内政干渉などで揺れ動いたギリシャの悲惨な歴史の結果なのだろう。つい数十年前にようやく自由主義国家として自立したばかりのギリシャという国の現実を思い知らされる。有力な産業も無く、依然として官僚主義がはびこり経済的には苦しいようだが、歴史的な遺産を生かした観光立国として生きていく道を選択したギリシャの人々は親切で明るく、ギリシャ人であることに誇りを持って生きているように思える。
天然の良港・ZEAS港
我々が滞在したZEAS港は入口が狭く奥が広い、古代から利用されていた天然の良港だ。ZEA Marinaはその入口にありPiraerusの町の中心部までも近く、安全で便利なマリーナだ。
ここのところ毎日Meltemiと呼ばれるエーゲ海特有の北寄りの強風が吹き続いており一向に収まる気配が無い。アテネの町が風除けになるここPiraeusでも時折30ノット(約15m)を越える強風が吹くのでエーゲ海の真ん中はどのくらい吹いているかと思うと出航する気にならない。当初はロードス島、ミコノス島などの島々を先に回るつもりでいたがこの風のため予定を変更し、ギリシャ本土の東岸のEvia島に挟まれた海峡を北上して先にトルコのイスタンブールまで行くことにした。Meltemiは9月の中旬になると収まってくるらしい。また、その頃になれば人気のある島々でも訪れるプレジャーボートの数がかなり減っていることも期待できそうだ。
食文化の違い
スペイン・フランス・イタリア・ギリシャと回ってきて感じることは、やはり食文化の違いだ。日本にも進出したフランス資本のCarrefourというスーパーは何処の国でもちょっと大きな町にはあり、一見すると何処の店でも同じような商品が並んでいるように見える。Carrefourは安くて美味しいプライベートブランドの食品類が豊富にあるので重宝しているが、そのPB商品でも国によって種類や味付けが微妙に違うのが面白い。
パンはフランス・スペインは○だがイタリア・ギリシャは×。驚いたことにイタリアまでは豊富にあった生ハムがギリシャではまったく見かけない。野菜も国によってかなり異なる。ギリシャに入っていきなりキノコ類がほとんど無くなり、そのかわりにオクラが手に入るようになった。魚はスペインから東に移動してくるにつれて、種類も極端に少なくなりギリシャでは食指が動くような魚介類があまり見当たらない。我々が船で食べる食事は和食と洋食が半々ぐらいだが、食べ慣れている野菜類が入手できないと、真理は代替品を捜すのに苦労をしているようだ。オリーブとオリーブオイル、チーズは何処の国でも安くて確実に入手できるし、果物類も安くて豊富だ。
我々が好きなビールとワインは4カ国とも安くて美味しいので助かる。両方ともできるだけ地元のものを購入するようにしているが、ギリシャのワインンでも結構美味しいものがある。ビールは一缶40-80セント、ワインは4-9?位でそれなりのワインが楽しめる。
明日からは再び移動する船の生活に戻ります。
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