5月18日(金) 68マイルの長丁場のため、まだ暗い4時過ぎにKEMERを出航した。8時ごろから風が吹き始め、10時過ぎには良い風になり予定より早い午後3時過ぎにALANYAに入航。ポンツーンにはここからてまりに乗ってもらう、僕のスキークラブの先輩で日本ではヨットのオーナーでもある岡野さんが待っていた。
5月19日(土)~21日(月) 世界遺産CAPPADOCIAへ小旅行
朝4時、以前に行ったことがあるという岡野さんを船に残して他のEMYRメンバー達とともにバスで600㎞離れたCAPPADOCIAへ出発した。EMYRのオプショナルツアー最大のイベント、2泊3日のカッパドキアツアーの始まりだ。
途中。扇舞教団として知られ彼らの儀式であるセマー(扇舞)は今でも伝統的な舞踊として続けられているメヴレヴィー教団の霊廟であったメヴラーナ博物館に立ち寄った。現在のトルコはイスラム教が主体の国だが政教分離と完全に宗教の自由が認められている。同時に政治的な思想を持つ宗教は厳しく取り締まられており神秘主義のメヴレヴィー教団は解散させられ現在は博物館として一般開放されている。しかし熱烈な信者が今も数多くいるようで沢山の信者がかっての霊廟に礼拝に訪れ、メヴラーナの棺やムハンマドの髭が飾られたガラスケースに群がり、そこに手を触れて泣き叫ぶ人たちも数多くみられた。
カッパドキアはイスタンブールと並んでトルコで最も人気のある観光スポットとして知られている。自然の生み出した様々な造形、数千年の昔からその恵みを生かして、暑さ寒さや外敵の攻撃から身を守る居住空間として利用してきた証が残されている、驚くほどのスケールの大きさと見たこともない造形群にただ目を見張るばかりだ。
旅行2日目は一番やりたかった熱気球でのカッパドキア見学。 夜明け前の午前4時半にホテルを出発し気球の離陸地点に向かう。標高1000mの高原の朝は寒い。熱風を吹き付けて次々にバルーンが立ち上がる。一つのバルーンに乗客最大24人が詰め込まれ、熱風で膨らんだバルーンはゆっくりと空に浮かぶ。周囲を見ると次から次へと気球が上昇していく。その数60数機。地上で待っている間は寒かったが、狭い空間に詰め込まれ、すぐ近くで焚かれるガスボイラーの熱で飛行中は思いのほか暖かい。
空から眺めるカッパドキアの不思議な造形美とその中に溶け込んで浮かぶ沢山の熱気球の姿は本当に絵を見るような情景だった。
更に驚いたのは熟練パイロットの操縦技術だ。 気球は風任せで何処に降りるかはその日の風次第だと思っていたのだが、高度や様々な地形の変化によって作られる大気の流れの変化を的確に知り、時には上昇し時には深い谷間に入りながらあらかじめ決められたランディングスポットに気球を運んでいくのだ。そして、そこに待っているわずか数メートル四方の車に牽かれた台の上にピンポイントでランディング。パラグライダー歴20年、「ベテランパイロット」を自称する僕の目から見ても、そのテクニックは驚嘆するものだった。カッパドキアで遊覧飛行をする気球のパイロットになるためには、500回以上の飛行履歴が必要なのだそうだ。
5月23日 ALANYA から BOZYZIへ (63マイル)
昨晩はALANYA MARINAの招待でドレスアップが要求される2回目のディナー。いつもの通り食事の中盤から参加者たちのダンスが始まる。やはり欧米人の楽しみにダンスは欠かせないのだろう。
我々はBOZYZIまで63マイルの長丁場が控えており、カッパドキアツアーは連日朝4時起きというハードスケジュールだったため早々に退散してベッドに入った。
朝5時40分出航。まったくのべた凪の海をエンジンで走る。1時間ほどすると風が出始め、最初は陸からの風が10時ごろには南に変わりその後南西に回って時間を追って強くなった。途中から目的地までは完全な追い風。ブローで最大50ノット(約25m)の風が吹きマックス10ノットを超えるスピードで快走し午後3時過ぎBOZYAZI のちいさな漁港に到着した。次々と先行艇を追い越すてまりの安定したダウンウィンドセーリングに、入港後沢山の人たちから「すごい走りだね」と声をかけられ満足。
5月25日(金) BOZYAZIからTASUCUへ (53マイル)
今日は53マイルと前回より短いレグだが午後から強風が予想されたため全艇早めの到着を指示された。
ほとんどの船は朝5時から6時過ぎにスタート。午前中は風が強くなったり弱くなったり安定しなかったが昼を過ぎると西寄りの風が徐々に強まり時折40ノットを超えるようになった。コースはほぼ東なので追い風。早々とメインセールを降ろし、ジブとステースル2枚で快走する。港が見える頃には突風が50ノットを超えるようになった。
チームキャプテンからの指示で、当初の予定を変更して同じTASUCUにある大きい方の商業港に各自アンカリングをすることになった。港の中もものすごい風が吹いており安全なアンカリングポジションを探すのに苦労した。
強風のため上陸もままならず、今日のウェルカムパーティーはキャンセルになり皆船の中で過ごすしかなかった。
5月26日(土) TASUCU ハーバー
朝7時過ぎ、昨日の風が嘘のように収まり静かになったTASUCUの商業港から西側にあるレジャーボート用ハーバーに移動する。岸壁にずらりと並んだEMYRの参加艇はなかなか壮観だ。
TASUCUは小さな漁港の町でリゾートタウンではないが、年に一度のこのイベントのために町を挙げた歓迎体制が敷かれているようだ。
明日は64マイル走ってキプロス島に向かう。
その他の写真はこちらからご覧いただけます。