Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

8月5日~8月14日 ポルトガル・Portoからスペイン北部ガリシア地方へ

2015-08-15 | 旅行

ポルトガル第二の都市PORTO

8月5日(水)、水の都AVEILOを出航して北に約40マイル、Douro川の河口にあるDouro Marinaに舫いを取った。

このマリーナはポルトガル第二の都市PORTOには一番近い場所にあるが、てまりで使っているデジタルチャートにも載っていない、まだオープンして3年目という新しいマリーナだ。

マリーナのある小さな村はPORTOの対岸にある。恐らくマリーナができるまでは何もない鄙びた漁村だったのだろう。マリーナのすぐ隣には、まだ新しい村共同の洗濯場と干場がある。そこではおばあちゃんたちが自宅から持ってきた洗濯物を手でごしごし洗い、隣の干場にはたくさんの洗濯物が風にゆらめいていた。

歴史の刻まれた町、ポルト

ポルトワインで有名なPORTOは現在ポルトガル第二の都市だが、ポルトガルという国の名前もこの町からつけられたという、かつてはポルトガルの栄光を担って繁栄した町だ。リスボン同様坂の多い街。Azulejo(装飾タイル)が壁面一杯に使われた教会や家々がたくさん残る旧市街は「歴史地区」と呼ばれ世界遺産に指定されている。まるで中世にタイムスリップしたような街並みだ。そこを、木の内装が美しい旧式の路面電車がゴトンゴトンと走る姿は誠に絵になる。リスボン以上に素敵な町で、見所がたくさんある旧市街やポルトワインのワイナリーが並ぶDouro川の対岸は世界各国から来た観光客であふれ返っていた。

町の中心近くにあるPortoの駅舎は、壁面一杯に描かれたAzulejoの壁画が圧巻だ。壁画だけを見ているとここが駅舎であることを忘れてしまいそうだ。

ワイナリーでワインのテイスティング

Douro川の対岸にはワイナリーがずらりと並び、有料でワインのテイスティングができる。一番はずれにあるChurchillワイナリーはDouro Marinaに船を停泊していると言うと、タダでテイスティングができるとマリーナスタッフに教えられて行ってみた。ポルトワインは普通のワインと異なり、発酵を抑えてブランデーを加えた酒精強化ワインだ。従って甘みがありアルコール分も20度前後と強い。「どんなワインを試飲してみたい?」と聞かれたので「甘いポルトワイン以外は無いの?」と、ポルトワインのワイナリーにも関わらず聞いてみると、「OK、それでは普通のワインを味見してください」と言われ、白も赤もドライなワインを試飲させてくれた。赤ワインは深みのある味わいの美味しいワインだった。どちらもポルトワインと同じブドウで作っているという。その後ポルトワインも試飲させてもらったが、ヴィンテージポルトという、20年ほど寝かせた高価なポルトワインは別格に美味しかった。タダ飲みはさすがに気が引けて、赤ワインを2本購入して帰る。

PORTOより旧い街、Viana do Castelo

8月9日(日)、とても素敵な町PORTOを離れ北に進路を取り、次の寄港地Viana do Casteloに向かう。午後1時半LIMA川を1.5マイルほど遡ったところにあるViana do Casteloのマリーナに到着した。マリーナ入口には何故か歩行者用のスイングブリッジがかかっており中に入れない。入口に設置された桟橋に舫いを取りほかの船に話を聞くと、ランチタイムだから2時すぎないと橋は開かないと言われた。

橋が開いて中に入るととても小さなマリーナで、ビジター用のバースは4-5艇分しかない。なんとか場所を確保してホッとする。町の中心部はマリーナから10分ほどの距離。小さな町だが、かつてはインド貿易の拠点として繁栄した時期もあったという。しかし、河口が砂で塞がれて船の出入りができなくなり、代わってPORTOが貿易港として発展を遂げたという。町を歩くといくつもの美しい教会があり、路地裏にも昔の繁栄の面影が残されている。

8月10日、夕食を食べに出かけようとすると、並んで停泊しているフランス人たちから、安くて美味しいレストランがあるから、一緒にどう?と声がかかり、ショッピングを済ませて合流する。シングルハンダーが二人とカップルが二組、全員フランス人だ。楽しい会話と一人10€という格安のディナーを楽しんだ。

我々の旅もここがポルトガル最後の町となり、明日からはスペイン北部に入る。アゾレス諸島に到着してから40日ほどポルトガルの各地を回ったが、とても素敵な国だった。治安もよく、物価は驚くほど安い。新鮮な魚貝類がどこでも手に入るので、日本にいる時のように刺身や干物を食べることができた。レストランの食事もシンプルなものが多いが、ワインとともに安くて旨い。英語をしゃべる人も多く、ツーリストにやさしい国だ。

強力な助っ人・ブッシュが帰国

8月12日(水)、昨日Viana do Casteloから北に40マイルほど走り、スペインのVIGOに到着した。ガリシア地方の中心地でスペイン最大の漁業基地と言われるだけあって、旧市街には生ガキなど新鮮な魚貝類を売り物にするレストランが並び、観光客でごったがえしている。昨日は3人で最後の夕食を囲み、生ガキやこの地方名産のタコ料理などを食べた。

今日の飛行機で2か月ちょっと船での生活を共にしたブッシュこと吉川さんが帰国。すべてに手慣れたプロセイラーが居なくなると、しばらくは二人だけで船を動かすことに慣れるまで大変だが頑張るしかない。

夏とは思えない寒さに震える

8月13日、VIGOから次の寄港地Vilagarciaに移動する。

ポルトガルに入って以来涼しくて快適な夏を過ごしてきたが、真夏にも関わらずこの数日間は寒さに震えている。特に今日は夜半から降り出した雨が止まず、日中でさえフリース上下に合羽を着た完全武装でも寒い。最低気温13℃、最高気温17℃ぐらい。日本の猛暑を考えれば贅沢かもしれないが、もう少し「暖かく」なって欲しい。

キリスト教徒の聖地・Santiago de Compostelaへ

8月14日(金)、Vilagarciaから電車で30分ほどのところに、エルサレム・ローマに次ぐキリスト教三大聖地のひとつSantiago de Compostelaがあるとわかって、さっそく行ってみた。旧市街を大聖堂に向かうと、杖を持ってトレッキングの格好をした人たちをたくさん見かける。四国のお遍路巡りと同様、中世から続く巡礼路を歩く人たちが目指す最終目的地がこの町の大聖堂なのだ。夏休みのこの時期、バックパックを担いだ若者たちも沢山見かけた。

圧倒的な迫力の大聖堂

スペイン最高のロマネスク様式の教会と言われる大聖堂は、その広さと言い内装の豪華さと言い圧倒される。丁度毎日の礼拝直前に教会の中に入ることができ、礼拝の一部を見ることができた。十字に広がる教会は礼拝の人、巡礼の人、そして我々のような観光客で埋め尽くされていた。ざっと見て数千人だ。

これでキリスト教の三大聖地を回ることができた。我々はキリスト教徒ではないが、とても良い経験ができたと思う。

週末の15・16日に、船を停泊しているVilagarciaで、年に一度の世界的に有名なビッグイベントが開催されると聞き、滞在を一日延ばして見学することにした。

そのレポートは次回お届けしたい。

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