Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

1月14日~1月23日、 カリブ海クルーズ Part Ⅱ 

2015-01-24 | 旅行

GrenadaからSt. Vincent & Grenadinesへ 

1月14日(水) 午前10時、11日間過ごしたGrenada本島を後に、北にあるCarriacau島に向かう。東からの貿易風はそれほど強くないが、Grenada本島の北に出ると西に向かうかなり強い潮の流れを感じた。

午後4時半、CarriacauのTyrril Bayに錨を降ろした。Tyrril Bayは西に向いた広大な湾で、安全な泊地を形成しており相当数のヨットが停泊していた。

小さな町で大きな収穫

翌日、メインタウンのHillsboroughにバスで出かける。端から端まで10分ほどで歩けてしまう、ほんとうに小さな町。期待もしないで小さなフィッシュマーケットを覗いてみると、大きなロブスターがあった。値段を聞くと、30EC$(約1,500円)というので即購入。巨大なロブスターは3人でもたっぷり食べる事ができた。更にこちらではポピュラーなConckと呼ばれる、ほら貝のような大きな巻貝の身を仕入れた。食べてみると適度に歯ごたえがあり美味しく、色々な料理に使える。二つともとても良い買い物だった。

Conckは身を叩いて筋を切りやわらかくする

このあたりは島と島の間の距離が短いため、数時間の航海で次の目的地に着いてしまうのだが、別の国の領土に入る場合は、必ず出入国手続きをしなければならない。朝9時前にCarriacauを出航し昼前、St. Vincent & Grenadinesに属するUnion Island・Cliftonの入り江に投錨。

Union Islandは人口2000人あまりの小さな島だが、人気の高いリゾートアイランドらしく小さな空港もあり、アンカレッジには沢山のヨットが停泊していた。しかし、島の南東にあるこの泊地は風上にリーフがあるため、うねりは入ってこないが、すぐ目の前で沢山のカイトサーフィンが走っているほど風がダイレクトに吹き抜ける。あまり居心地が良くないため入国手続きを済ませて、一泊で退散することにした。

静かでのんびりしたCanouan島

1月17日(土)朝9時前にUnion Islandを出航、8マイル先のCanouan島Charlestown Bayに投錨した。

St. Vincent & Grenadineは本島以外に大小32もの小さな島で形成されており、その中には個人所有の島もあるそうだ。

この泊地は、西に開いた広大な湾だが東側に山があるために貿易風はまったく入ってこない。水深も4-5mでアンカーの効きも良く極めて安全快適な泊地だった。その割に、Union Islandに比べると停泊している船が少ないのに驚く。目の前に広々としたビーチが広がっており、お洒落でリッチなリゾートホテルがある素敵な場所だ。ホテルを経営する企業は、この島の北半分を所有し、ゴルフ場もある豪華な大規模リゾートを運営しているそうだ。

こんな小さな島にも飛行場があり、小さな飛行機が発着していた。

次に投錨したBequiaも小さな島だが、Admiralty Bayには大小100隻近いヨットが係留している人気のアンカレッジ。湾を囲むように広がる町の随所にテンダー(足船)を係留する桟橋があり停泊する船に便宜を図っている。更に湾内には水・軽油・食料の販売からランドリーサービスまで様々な小舟が走り回り、ヨットに売り込みをかけている。完全に外来のヨットやクルーズ船で成り立っている島だ。

1月21日(水)、Bequiaから北に9マイルほど走り、St. Vincent本島の南東部にあるBlue Lagoonのマリーナに舫いを取った。ここは文字通りちいさなラグーンでチャーターヨットのベースになっているが、シーズン真っ盛りのためか、マリーナに係留している船はほとんどいない。プチホテルと一体となったコンパクトなマリーナで、スタッフの対応も良くとても気持ち良いマリーナだ。

バスで、8kmほど離れたSt. Vincentの首都Kingstownにバスで出かけた。こちらのバスは、日本のちょっと古いミニバンが多く、定員は無制限。乗りたい客が居ればできるだけ詰め込む。我々の乗ったバスは最大21人乗って、車掌は座る所も無い。そのバスが曲がりくねった狭い山道を滅茶苦茶に飛ばすのだ。必死になって掴まっていると、更にそのバスを追い越していく別のバスがあった。客の奪い合いをしているためなのか、なんとも恐ろしい体験だった。

映画・Pirates of Caribbeanのロケ地に停泊

1月22日、St.Vincent最後の寄港地Waililabouに移動する。

シャワーを浴びに上陸すると、映画Pirates of Caribbeanの写真や出演者のサインなどが沢山貼ってある。周りを見ると、絞首刑台や大砲、海賊の住家などのロケセットが当時のまま残されており、中には当時のロケーションスケジュール等ロケ隊が使った書類が展示されていた。ここがあの有名な映画の主要なロケ地だったのだ。

トローリングでビッグフィッシュをゲット

1月23日(金)、St. Vincentから次の寄港地St. Lucia島に向けて朝7時に出航。いつもの通りトローリングの仕掛けを流す。すると30分もしないうちに魚がヒットした。かなり大物なので慎重に引き寄せ、最後はギャフをフックして引き上げた。1m20㎝もあるWahoo(沖サワラ)だった。カリブに来て初めての釣果で、こんな大物がかかるとは嬉しい。今日は久しぶりに刺身が食べられる。

午後3時、St. LuciaのMarigot Bayに舫いを取る。これで、カリブ海3か国目に入ったことになる。

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2015年1月3日~1月13日 カリブ海GRENADAにて

2015-01-14 | 旅行

カリビアンスタイルの生活

1月3日(土)、アフリカ沖のCapo Verdeから16日間の航海を終えて到着したのは、島の南東側にあるGrenada Marineというボートヤード。陸揚げして整備をするのが主体の、マリーナと言うより整備場だ。運悪く到着したのが年明けの土曜日だったため、4日・日曜日までは正月休みですべてお休みだった。Grenada Marineは町からも離れた場所にあるために、歩いて行けるところには何もない。初日の夕食はヨッティーから聞いた評判のレストランに、タクシーを呼んでもらって出かけた。レストランは料理も雰囲気も値段もよかったのだが、タクシーはボッタクられた。マリーナに戻って値段を聞くと、わずか5-6kmの往復で40US$と言う。ヨッティーから聞いていた値段は片道6-7ドルだったので文句を言うと、色々と言い訳をして譲らない。結局30ドルに値切ったが、それでも通常の倍近い料金を支払ったことがあとでわかった。グレナダのタクシーはすべてメーターが無く、事前にしっかりと料金交渉する必要があることを学習。

カリブ海らしい、お洒落なマリーナに移動

1月6日、Grenada Marineを後に4マイルほど南にある、Le Phare Blue Marinaに移動した。ここはリゾートコテージと小さなマリーナが一体となった、とても素敵なリゾートだ。マリーナフィーはそれなりに高いが、ビーチサイドのチェアーやプールも無料で利用でき、夕方のHappy Hourにはレストランで、ローカルビールが6本24EC$(約1200円)で楽しめる。桟橋には100年前に北欧で建造された灯台船が係留され、トイレ・シャワーなどのスペースとして利用されている。ヤシの木陰でのんびりと本を読んでいると、カリブ海に居るということをじわじわと実感してくる。

グレナダの首都、St. Georges に近いマリーナに移動

1月9日(金) 昨日14マイルほど走って、島の南東部にあるPort Louis Marinaに移動した。このマリーナはグレナダの首都St. Georgesまで近く、メガヨットも停泊している大きなマリーナだ。

今日はバスでSt. Georgesまで出かけた。山が迫っている地形のため、ものすごく急な坂道が多く、外から見る以上にちいさな町だった。

宗主国がイギリスだったグレナダは左側通行。そのため走っている車のほとんどが日本車で、日本ならとっくに廃車になっている10年以上前の車が多い。まだ十分走れても日本では二束三文にしかならない中古車が、こういう国で利用されているのだ。

グレナダはスパイス・アイランド

1月11日(日)、タクシーをチャーターして観光に出かけた。島には1,000mを超える高い山は無いが、ほとんど平坦な部分も無いため、少し島の内側に入ると島とは思えない深く入り組んだ山あいの景色が広がっていた。雨が多いため緑が多く、その中にはナツメッグ、シナモン、クローブ、ターメリックなど沢山のスパイスツリーがある。それらは皆開拓者たちによって持ち込まれたものだそうだが、環境になじんで島のいたるところに自生している。

グレナダは2004年巨大ハリケーンに襲われ、大きな古木が軒並み倒され、首相官邸を含む多くの家の屋根が吹き飛ばされたが、昼間の出来事だったため死者は37人にとどまったという。10年経った今でもその爪痕が随所に残されていた。

山道を進んで国立公園に入ると、Mona Monkeyの生息地域があった。餌付けされているため、バナナを見せると近寄ってくる。この猿は西アフリカに広く生息する尾長猿で、18世紀に奴隷と一緒にグレナダに連れてこられて繁殖したそうだ。

まるで雨季のような天候が続く

1月13日(火) St. Georgesにやってきてからというもの、連日激しいスコールに見舞われている。昨日からはほとんど晴れ間も見えなくなり、どんよりとした曇り空で時折猛烈な風と雨が降る不安定な天気だ。突然土砂降りの雨が降り出すので、ちょっとシャワーを浴びに行くのにも傘が欠かせない。島の人に聞くと、いつもはクリスマス頃から乾期に入り安定した晴れの日が続くが、今年は異常だという。グランドカナリー島のラスパルマスでも同様の事を言われた。やはり世界的に異常気象の傾向があるようだ。

前回のブログで紹介した、アブナイヨットで大西洋横断にチャレンジした山口さんは、26日かかってトリナートトバゴに到着したとメールが来た。我々のアドバイスで覚悟はしていたが、想像していた10倍も厳しい航海だったとのこと。何はともあれ、無事生還できて良かった。山口さんにとって、ものすごく貴重な経験だっただろう。

昨日メインセールの修理が終わり、今日懸案だったオートパイロット(自動操舵装置)のエラーも原因がわかったため、明日ここを出航して北にあるCarriacou島に向かう。これからしばらくは、短距離でアイランドホッピングしながらのクルーズとなる。

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2014年12月18日~2015年1月3日 カーボヴェルデからカリブ海へ

2015-01-04 | 旅行

カーポヴェルデのマリーナでアブナイ船に乗る日本人女性と会う

カーポヴェルデのMarina Mindeloで出発準備中、日本人らしい女性を見かけた。長尾さんが声をかけてみると、アメリカ人のヨットでカリブ海に向かう関西出身の山口さんだった。山口さんは世界を見て歩こうと思い立ち、既にアフリカからヨーロッパ、アジアをヒッチハイクやバスで走破した経験を持つたくましい女性だ。たまたまARCの事を知り、どこかの船に乗せてもらおうとラスパルマスまで来て、クルーを捜していたヨットを見つけたという訳だ。ところが、話を聞いてみると大変な船だった。全長24フィートというと、日本でもかなり小さな船だ。自動操舵装置・トイレ・ガスコンロ・冷蔵庫などは無いかあっても使えない状態で、一番大事な航海計器や海図、安全備品も満足に揃っていないようで、ラスパルマスからここまで大変な思いをしてきたらしい。我々はその船が、すべての点で外洋航海の基準を満たしていない、いかに危険な船かということを伝え、今後の航海に乗るのを止めるようにアドバイスした。彼女自身ほとんどヨットの経験が無いため、我々の話を聞いて、いま乗っている船の状況をようやく理解したようだが、ここまで来た以上なんとか頑張ってカリブ海まで行くと言っていた。事故なく無事に大西洋を渡りきることを祈るばかりだ。

大西洋横断2,200マイルの航海へ出発

12月18日(木)午前11時半、4日間滞在したカーポヴェルデ Sao Vicente島を後にする。

島を出た直後は、島に滞在中吹き続けていた北東の強い風に乗って快走したが、島から離れると風は落ち、東に回って不安定になってしまった。その傾向は夜半まで続き、風の強弱やシフトに合わせてセールの調整に忙しく、それでも時として3ノットを切るスピードまで落ちてしまい、初日のデイランは120マイルに留まった。デイラン150マイルを維持できれば1月2日頃には目指すGrenadaに到着できる見込みだが、初日からこのペースだとやや不安が残る。

12月20日(土) 航海3日目

2日目・3日目は北東~東北東の風12-24ノットで安定し、ジェノアジブ1枚で6ノット以上のスピードをキープ。デイラン150マイルを記録した。このペースが続いてくれることを祈る。1週間分の気象予報は出航前に入手しているが、それ以降の分は契約してある気象情報サービス会社から、衛星携帯電話経由のメールで入手することになっている。ところが、衛星電話のデータ通信が何度やっても繋がらない。ダメな場合通信経費はかかるが、直接電話で聞くしかない。

12月23日(火) 航海5日目

ここ2日間で大型のシイラが2匹獲れた。その前には夜中にトビウオがデッキに数匹飛び込んできた。こうした魚は貴重な食材だ。今日でようやく全行程の1/3ほど消化したが、昨夜半から風が落ちスピードダウン。昨日のデイランは115マイルに留まった。入手した気象予報ではクリスマスあたりまでこの微風が続くようなので、風を拾うため少し南下することにした。かなり西に移動したので、船内の時計を1時間遅らせる。これで日本との時差は11時間となった。

長距離航海はサバイバル生活。 

外洋で小さなヨットは常に前後左右に揺れている。帆索がこすれる音、食器がぶつかる音、ドアのきしみ音などが、船が風や波を切る音に混じって絶え間なく聞こえてくる。揺れる船内ではロクな食事も作れないし、楽しむ余裕もほとんどない。揺れがひどい時は自分の体を確保しながら、ただ食事を掻き込むだけ。水の節約のため、頭や体を拭くのは2日に一度。昼も夜も3時間交代でワッチにつかなければならないため、狭いヨットの空間で暇さえあれば横になって体を休めワッチに備える。こんな生活が延々と続くのだ。

しかし人間の生活順応性は高く、こうした不自由な生活も1週間たつと、それなりに楽しめるようになってくるのが面白い。真理も4日目ぐらいから船酔いも無くなり、普段通りの生活ができるようになった。

12月25日(木) 航海7日目

昨日クリスマスイブの夕食はちょっぴりと豪華に、スペイン産生ハムサラダ、ピミエントとイカの炒めにペンネアラビアータを添えてCAVAとロゼワインを合わせた。丁度風も穏やかで、それほど船の揺れも気にすることなく、三日月を眺めクリスマスソングを聞きながらゆったりとディナーを楽しむことができた。

昨日あたりから、かなり気温が上がってきた。緯度的にはそれほど南下していないが海流のせいだろう。夜も寝苦しいくらいだ。

12月26日(金) 航海8日目

一昨日ぐらいから徐々に落ち始めた風は昨日・今日も変わらず東南東平均10ノット以下。セーリングだけでは艇速3ノットにも届かないためほとんどエンジンを回している。燃費を押さえるため1500回転で、艇速は4.5ノット程度。デイランは120マイル平均だ。気象予報では明日から徐々に本来の北東貿易風が吹いてくるようなので、それまでじっと我慢するしかない。現在ようやく航程の半分を消化したところ。まだ先は長い。

12月28日(日) 航海10日目

ようやく貿易風が戻ってきた

気象情報サービスから入手した予報どおり、昨日の明け方からしっかりとした北東の風が吹き始めたのだが、夕方には再び弱まり今朝まで再度エンジンのお世話になってしまった。

ようやく本物の貿易風が吹き始めたのは今日の昼ごろから。空には貿易風雲が浮かび、ドライで腰のある北東風は間違いなくトレードウィンドだ。セーリングだけで6ノット+のスピードをキープ。目的地Grenadaまでは残り850マイル。30日頃からは更に風が強まるとの予報なので1月3日頃には到着できそうだ。

12月31日(水) 航海13日目

29日以降、デイラン140M+を記録。順調に距離を稼いでいる。時折30ノットを超える貿易風のためうねりも次第に大きくなり、時折大波が後ろから襲いかかる。目的地まで残り430マイル。3日の航程だ。 

2015年1月1日(木) 航海14日目

年が明けた。紅白歌合戦も除夜の鐘も無い静かな年越しは、そばを食べて祝った。昨晩は大波を一発食らい、コックピットと窓を開けてあったクォーターバースがびしょ濡れとなった。今日も風・波共に強いので正月気分はお雑煮を食べることで我慢。目的地まであと2日、時計を更に1時間遅らせて現地時間に合わせる。これで日本との時差は-13時間となった。

カリブ海の島・Grenadaに到着

2015年1月3日午前9時30分、GrenadaのSt. David’s HarbourにあるGrenada Marine Serviceの岸壁に舫いを取った。ケープヴェルデを出てから16日目、カナリー諸島ラスパルマスからケープヴェルデまでの6日間を加えると22日間の大西洋横断航海だった。強風あり微風ありの航海だったが、全体としては良い風に恵まれ、大きなトラブルも無く無事大航海を終えることができてホッと一安心。

しばし長旅の疲れを癒したあと、カリブ海の島々をアイランドホッピングしながら航海を続けていく。

てまりの航跡と現在地はこちらでご覧いただけます。