バージン・エアの創業者 Richard Bransonの愛したバージン諸島
5月21日に日付が変わる少し前、錨を揚げてSt. Maartenを出航、2月末以来約3か月ぶりの航海がスタートした。目指すは80マイルほど西にある英領Virgin Gorda。大小150を超える小さな島々で形成されるバージン諸島の最東端に位置する島だ。バージン諸島は東側の半分がイギリス領で西半分がアメリカ領だ。
オートパイロットも、その他修理したところもすべて問題が無いようでホッと胸をなでおろす。軽い貿易風に乗って13時間ほどで目的地のGorda Soundに到着した。
ここは珊瑚礁と小さな島々に囲まれた広大な内海で、その中にいくつかのリゾートヴィレッジが開発されている。バージン航空の創業者で冒険家としても知られる、Richard Bransonが所有する小さな島を横目で見ながら、慎重にリーフの切れ目を捜して内海に船を進める。中に入ると湖のように静かな水面が広がっていた。潮通しが良いため水はクリスタルクリアーだ。Gun Creekという小さな村にある入国管理事務所で手続きを済ませたあと、目の前にリゾートコテージが点在するBitter End Yacht Club に移動、ブイを取って今日の宿泊地とする。オフシーズンのため何処もクルージングヨットの数は少なく混雑も無いので有難い。
騒音と暑さと埃、そして蚊の攻撃に悩まされた安アパートの生活から船に戻り、波が船をたたくかすかな音を子守唄に、心地よい貿易風に包まれて久しぶりにぐっすりと眠ることができた。
翌日はGorda Soundの別の泊地に移動して一泊。潜ってみると浅瀬には珊瑚が生息するきれいな海だった。
5月23日(土) 島を半周して、西側にあるこの島のメインタウンSpanish Townのマリーナに舫いを取った。その昔、英領バージン諸島の首都だったという町だが、歩いてみるとローカルフードを食べさせる食堂が数軒ある以外は全く何もないのに驚いてしまった。どうやら首都の機能だけでなく、町全体が引っ越してしまったようだ。
5月24日(日) 期待外れのSpanish Townを後に1時間ほど走って、現在の首都があるTortolla島と橋で繋がっている、Beef IslandのTrellis Bayに移動する。すぐ横にエアポートがあるが、珊瑚礁に囲まれた入り江は水がきれいで波もなく、沢山の係留ブイが用意されている人気スポットのようだ。
英領バージン諸島最大の島Tortollaに移動
5月25日(月)、英領バージン諸島の首都Road TownのあるTortollaの南西にあるNanny Cayのマリーナに入航。ここは、Road Townから5㎞ほど離れた入り江にある、ホテルとマリーナが一体になったお洒落なリゾート。気持ちが良い場所だ。マリーナ使用者はホテルのプールやビーチチェアが利用できるため、のんびりと泳いだり読書をして過ごす。
翌日、明日の出国手続きのためタクシーで首都Road Townに出かけた。首都と言ってもフェリーの乗り場以外に何もない小さな町だった。英領のバージン諸島は人口も少なく町らしい町がまったくないようだ。
英領バージンからUSバージンへ
5月27日(水)、Nanny Cayマリーナを出航し、西隣のUSバージン諸島のひとつ、St. Johnに渡る。首都Cruz Bayは島の西側にあるため、途中島の南岸沿いに走って良さそうな入り江に入りアンカリング、翌28日Cruz Bayで入国手続きを行う。上陸してみると、やはりここはアメリカの領土ということをどことなく感じる。パスポートコントロールのシステムは、指紋認証や顔の認証などまったくアメリカ本土と一緒だし、しっかりした標識やシステマチックな運営方法などもアメリカスタイルだ。入国手続きの後、国立公園の管理事務所で15ドルの係留費用を支払い、島の北側の係留地に移動する。島全体の2/3が国立公園に指定されており、その中の泊地には係留ブイが設置されている。その使用料が1泊15ドルという訳だ。
国立公園内の泊地は皆きれいな入り江で良く整備されており、気持ち良く停泊することができる。てまりが係留したブイのすぐそばの海底には全長2mほどのマンタが砂を掘りながらエサを漁っているのが見えた。
大西洋横断の助っ人が到着
5月30日(金)、St. John島からUSバージン諸島の首都があるSt. Thomas島のCrown Bay Marinaに移動する。このマリーナで、大学のヨットクラブ時代からの友人吉川君の到着を待つ。彼は大学卒業後もセールメーカーとしてずーっとヨットに関わってきた大ベテランだ。これから大西洋を渡ってヨーロッパ本土までしばらく乗ってもらう頼もしい助っ人だ。
USバージン諸島は左側通行
翌日、出国手続きがてら首都のCharlotte Amalieを散策する。さすがにバージン諸島一番の町らしく、メインストリートには免税店が立ち並び車の通行量も多い。
驚いたのは、英領だけでなくすべてのバージン諸島が左側通行なのだ。しかも走っている車はほぼ100%左ハンドル車。車はすべてアメリカから輸入されるため左ハンドルなのだそうだ。運転の下手なアメリカ人観光客が事故など起こさないか、他人事ながら心配してしまう。
明日は20マイルほど西の、Spanish virginと呼ばれるClebra島へ向かう。
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