2011年6月8日、スペイン南部にあるAlmerimarマリーナを出航、足掛け8年間に及ぶヨットてまりの航海が始まった。
コリントス運河
ギリシャs教の聖地 Mount. Atos
イスタンブール
2011年 Almerimarからバレアレス諸島、バルセロナ、コルシカ・サルディニア・シチリア島を経てトルコ・イスタンブールを訪問、トルコ・Didimに船を置いて帰国。
航海日数 142日、訪問国数 5か国、航海距離 3,200マイル
EMYR(東地中海ラリー)
エルサレム 嘆きの壁
クロアチア
2012年 トルコ・Didimからエーゲ海を南下、東地中海ラリーに参加しトルコ南岸からキプロス島を経てイスラエルを訪問。その後エーゲ海まで戻り、ミコノス島などエーゲ海の島々を訪れたあと、アドリア海を北上、クロアチアからイタリア・ベネチアまでクルーズ、イタリア南部Brindisiに船を置いて帰国。
航海日数 182日、訪問国数 6か国、航海距離 3,600マイル
マルタ島
チュニジア
2013年、Brindisiからシチリア島を経てマルタ島に渡る。シチリアに戻ったあとチュニジアを訪問、サルディニア島からコルシカ島を経てイタリア・フランス沿岸を西に向かい、バレアレス諸島を経て、スペイン・Almerimarマリーナに戻る。
航海日数 182日、訪問国数 5か国、航海距離 2,600マイル
2014年は秋からスタート、大西洋を横断してカリブ海へ
カナリー諸島Las Parmasの日本人会
カーポヴェルデ
前年末スキーで複雑骨折をしたため夏のクルージングを断念し2014年11月1日、スペイン・Almerimarを出航。地中海を出てモロッコ西岸を南下、カナリー諸島・カーポヴェルデを経てカリブ海のグレナダへ。出航が遅れたため年越しの航海となり、グレナダ到着は翌年1月3日となった。
航海日数 61日、訪問国数 4か国、航海距離 3,950マイル
グレナダからプエルトリコまでのカリブ海クルーズを楽しんだあと、再び大西洋を横断しバーミューダ島・アゾレス諸島を経てヨーロッパに戻る
グレナダからアイランドホッピングをしながら北へ向かう。2月末船の修理のためSt. Maartenに寄港、身内の不幸もあり一時帰国しクルーズの再開は5月20日からとなる。カリブ海の北の島々をクルーズ後、6月10日プエルトリコを出航しバーミューダ島・アゾレス諸島を経て、7月21日ポルトガルのリスボンに近いCascaisに到着。
その後、ポルトガル・スペイン・フランス西部沿岸を北に進み、9月末ブルターニュ地方のArzalにあるメーカー指定整備工場に船を預けて帰国。
航海日数 183日、訪問国数 20か国、航海距離 5,440マイル
フランス・ブルターニュからイギリス南部・ベルギー・オランダを経て北欧へ。寒い夏を過ごす
6月10日、フランス北部を出航、イギリスの南岸を東に向かう。この辺りは潮の干満差が大きく、大潮では水位差が12mに達するところもあり、潮の流れが速い。多くのマリーナには堰があり、干潮時は船の出入りができない。
ブリッジが開くのを待ってうろうろするヨット
オランダ・ドイツの運河を通りバルト海へ
イギリス南部からベルギーを経てオランダへ。オランダ・ドイツにはすべての橋が跳ね橋となっており、マストがあるヨットでも通過できる運河がある。そのルートを通ってバルト海へ入り、スェーデン・デンマークをクルーズ、ドイツ北部の町Flensburgにある整備工場に船を置いて9月初旬帰国。
この夏は25℃を超える夏日は2日間だけで、あとは寒い夏を過ごした。地中海で北欧の人たちをたくさん見かけるのは、この寒さで納得。
航海日数 83日、訪問国数 9か国、航海距離 1,800マイル
この年はマストをはずして、ヨーロッパ運河の旅を楽しむ
船を置いた場所はドイツ北部、バルト海沿岸のデンマークに近いところ。そこから3日ほどバルト海を南下し、ドイツ・Lubeckから運河に入る。その後オランダ・ベルギー・フランスの河川や運河を通って地中海に向かった。海とは全く異なる運河の旅は別世界の旅。とても貴重な体験だった。
残念ながら、ゴールまで残り600㎞ほどのフランスの川で座礁し舵を大きく損傷、走行不能となり船はトラックで地中海まで運搬されることとなり、8月半ばで運河の旅は終了となった。
航海日数 70日、訪問国数 5か国、航海距離 1,090km
最後の年はフランス・Port Napoleonからリビエラ海岸・コルシカ・サルディニア島・バレアレス諸島を巡り、ホームポートのスペイン・Almerimarに戻る
6月10日、ローヌ川河口近くにあるマリーナを出航し、地中海で最もセレブな町が集まるリビエラ海岸を東に向かう。その後はコルシカ島・サルディニア島・バレアレス諸島の島々を巡り9月下旬スペインのAlmerimarに戻って8年間のクルージングを終えた。
航海日数 96日、訪問国数 3か国、航海距離 1,350マイル
日常と非日常が混じるヨットでの生活
ヨットのクルージングと言うと、青い海を風任せで優雅に走る、あるいは波をかぶりながら大海原を航海するというところがイメージとして浮かんでくるに違いない。しかし、それはほんの一部でしかない。クルージング中はヨットが家となり、年間5か月あまりをそこで暮らしているのだから、日常生活そのものだ。その日の航海を終え、目的地に着いてまずやることは買い出し。市場やスーパーを捜して食料品や生活用品を仕込むことから始まる。逆に言えば、家と共に移動しているからこそ、長期間にわたって旅ができるのだ。飛行機や列車を利用する旅ではせいぜい2-3週間が限度ではないだろうか? 一方、クルージングは旅そのものでもある。初めて訪れる国や町での新しい出会いと感動は、非日常の世界。ヨットの旅の良いところは、気に入った場所に好きなだけ居られること。自由に予定を組めること。悪い点もある。船には、厳しい航海にも耐えられるよう様々な機器が搭載されているが、そうした機器がかなりの頻度で故障する。トラブルへの対応はクルージングの宿命だ。地中海や西ヨーロッパに居る限り、大きなマリーナに行けばほとんどの故障は修理可能だが、僻地ではそうはいかない。応急処置だけして、修理可能なところまでなんとかたどり着くといったこともある。てまりもカリブ海で様々なトラブルが発生し、結局きちんと修理ができたのはヨーロッパに戻ってからだった。
海の上での耐乏生活、沢山の出会いは貴重な経験
マリーナに居る限り日常と変わりない生活ができるが、いったん海に出るとそこには厳しい制約が待っている。水も電気もふんだんに使えばすぐになくなるため、ケチケチにならざるを得ない。久しぶりに上陸し、たっぷりのお湯でシャワーが浴びられることの幸せ感は普通の人にはわからないだろう。
我々は8年に及ぶクルージングを通じて、色々な国で沢山の人たちと出会い、普段の生活や普通の旅では得られない貴重な経験や体験をさせてもらった。この経験を生かして、残り少ない人生を少しでも世の中の役に立つことを考えながら生きていきたいと思っている。
これで、「ヨットてまり」のブログは終了とさせていただきます。皆様から沢山の励ましや、暖かいコメントをいただきました。ブログを通じて知り合った方々もいます。このブログが少しでも皆様の役に立てたと思うとうれしさでいっぱいです。ご愛読ありがとうございました。
2018年10月10日 関山 光二