Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

9月14日~9月25日 フランス・ProvenceからLyonまでレンタカーの旅 14/09-25/09 Travel from Provence to Lyon by the rental car.

2017-09-24 | 旅行

天空の村Chateau des Beaux-de-Provence

 

9月17日(日)船の後片づけや複数のリペアショップに修理の相見積を依頼するなどの後処理が終わり、プロバンスの小旅行に出かけた。Provenceは海沿いこそフラットなローヌデルタが広がっているが、少し内陸に入ると起伏に富んだ地形になっている。Les Plus Beaux Villages de France (フランスで最も美しい村)に認定された村落が沢山あるのもこのエリアだ。そのひとつ、Chateau des Beaux-de-Provenceに出かけた。そそり立つ石灰岩の山肌が見える道路に車を止めて階段を上っていくと、そこは車も通れない狭い坂道にひしめき合うような街並みがあった。

その町並から更に登っていくと、山のてっぺんに15世紀に造られたという広い城塞が残っていた。城塞からは北側に美しい集落、南側はプロバンス平原の素晴らしい景色が広がる心地良い場所だ。

ゴッホの絵で有名な町Arleと中世の面影を残すAvignon

9月18日(月)てまりの修理を依頼する業者との打ち合わせも終わり、Port Napoleonを後にする。最初に立ち寄ったのが、ローマ時代の遺跡が残るArle

そして半分だけ橋脚が残された橋で有名なAvignonは城壁に囲まれた旧市街が魅力の町。ともにローヌ川沿いにあり、てまりで訪れる予定だったところだ。両方とも小さな町だがProvenceで人気の観光地のためにぎわっていた。

その二つの町を経て午後4時前、今日の宿泊地Orangeに到着した。

ローマ時代の巨大劇場が残るOrange

小さな田舎町という風情のOrangeには世界遺産の歴史的建造物がある。ローマ時代に造られた高さ40m近い構造の円形劇場がそれだ。ローマ帝国滅亡後かなり破壊されたようだが、一万人が収容できるというその劇場は、現在でもコンサートや演劇が上演され現役として利用されている。

オーベルジュでの夕食はスーパーで買った惣菜

9月20日(水)今日の宿泊はプロバンスの田舎にあるオーベルジュ。もちろん美味しい食事を期待して選んだのだが、なんとこの日は夕食が出せないというメールが宿から届いた。予約をしたネットサイトをもう一度確認すると、たしかにページの下の方に書いてあった。予約した宿は、ど田舎の一軒宿で、一番近いレストランまで18㎞も車で走らないといけない。安いところを探して返金不可の宿を選んでしまったためキャンセルできず、仕方なくスーパーに立ち寄って惣菜を買って行った。宿の方でも気を使って、電子レンジや食器・ワイングラスなどを部屋に用意してくれていたので助かったが、オーベルジュで出来合いの夕食を摂ることになるとは・・・とんだ失敗をしてしまった。

プロバンスの田舎道のドライブを楽しんで、巡礼の町へ

ヨーロッパは大都市を除いて渋滞も少なく車の運転がまことに楽しい。フランスは普通の道路でも速度制限は90㎞か70㎞、高速道路は130㎞だ。何よりもうれしいのは信号が少ないこと。交通量の多い町に入らない限り信号は無く、ほとんどの交差点はRound About(ロータリー)になっている。Round Aboutは頻繁にあるが、慣れてしまえば停車することなく通過できるので信号待ちのイライラが無い。起伏に富んだプロバンスの田舎道を、旧いたたずまいの小さな村を通りながらのドライブは快適だ。

断崖絶壁の上に建つ城塞跡

途中、「フランスの最も美しい村」の1つ、ARLEMPDESを訪ねた。この村のシンボルはそそり立つ絶壁の上にあるシャトー。15世紀に建てられたというシャトーは天然の要塞として17世紀までその地の領主によって活用されていたという。このような断崖の上に構築された城塞はプロバンスだけでもいくつも見ることができる。

9月21日(木)今日の宿泊地は、プロバンス北部にあるLes Puy-en Velay。中世の頃は、スペインのガルシア地方にあるキリスト教3大聖地の1つ、サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼の出発地として栄えた町で、今でもこの町の大聖堂からピレネー山脈を越える過酷な巡礼の旅をする人たちが数多くいるという。同じレンガ屋根で統一された旧い家並みが美しい、巡礼者を迎えるにふさわしい落ち着いたたたずまいの町だ。この町にも切り立った山のてっぺんに造られた城塞が残っていた。

ローヌアルプスの中心都市LYON

9月22日(金)巡礼の町Les Puy-en-Velayを後にLYONに午後3時過ぎに到着。レンタカーを返し、フランス滞在最後の3日間を過ごすアパートメントホテルにチェックインした。

LYONはフランス第二の都市だが、町の大きさは銀座を中心に東京駅から新橋あたりまでの感じ。ソーヌ川とローヌ川にはさまれた新市街と、ソーヌ川西岸にある旧市街は十分に歩いて回れる大きさだ。ローマ時代から繁栄したというLyonはDijon同様美食の町と言われ、市が認定したローカル料理を安く提供するレストラン、Bouchons Lyonnaisをはじめとして数千件ものレストランがあるという。世界文化遺産に指定され、レストランやカフェが立ち並ぶ旧市街はいつも観光客でごった返している。

リヨンの人たちのお腹を満足させるため、ほぼ毎日オープンするマーケットが町のあちこちに開かれる。その一つをのぞいてみたが、やはり美食の町と言われるだけあって、惣菜から肉・魚貝類・チーズなどバラエティー豊かな食材が並んでいる。マーケットを見るとその町のグルメ度がわかる。

丘の上に建つノートルダム寺院の庭からはLyon市内が一望できる。フランス第二の都市なのに、高層ビルは2棟しか見当たらず美しい街並みが広がっている。Lyonに3日間滞在したがとても魅力的な町だった。

いよいよ明日夜の飛行機で4か月ぶりに帰国する。アクシデントもあって、すべてが順調だったわけではないが、7年目のてまりクルーズの旅が終わろうとしている。

その他の写真は、こちらからごらんいただけます。

てまりブログも今年はこれで終了となります。ご愛読ありがとうございました。

 

 


8月31日~9月14日 ヨットてまり陸上を地中海へ 31/08 - 14/09 TEMARI run down on land to Mediterranean sea

2017-09-14 | 旅行

8月31日(金)、早いものでDeluzに来て2週間近くが過ぎた。お店が一軒もない過疎集落で時間を持て余していたため、陸送会社に再三電話やメールで催促した結果、ようやくトラックが来る日が9月9日(土)と決まった。これで今後の予定を組むことができる。

9月に入ると突然夏が終わり秋に変わった

9月2日(日) 一昨日夕方、雷とともに猛烈な雨が降り、その雨を境に突然夏が終わり秋になった。8月末まで最高気温が30℃を越える日が続き、午後はその暑さに参っていたが、今日は最高気温20℃、最低気温8度前後で朝晩は寒さに震えるぐらいだ。周囲の山は紅葉が始まっており、天気予報でもこれからは30℃越えの暑さはなさそう。あまりに急激な気温の変化に体がついて行けない。

美食の町Dijon

9月6日(水)昨日Deluzから1時間半ほど電車を乗り継いでDijonにきた。中世の頃、ブルゴーニュ公国の首都として繁栄したDijon、。現在は美食とワイン、そしてMailleに代表されるマスタードの町として人気の観光スポットとなっている美しい町だ。

マスタードやワインの専門店が多く並び、随所に中世の面影を残す町Dijonは徒歩で散策するのに程よい大きさだ。ブルゴーニュワインはボルドーワインと比較して、絶対的に生産量が少ないこともあり値段が高い。Gevrey-Chambertin, Vosne-Romanee, Pommardなど村の名前が冠される赤ワインは安くても一本数千円から高いものは数万円もするが、レストランではワインショップで買う値段の2割増し程度の破格の値段で提供されていてうれしくなる。

500年以上前の家が今でも使われているのに驚く

町を歩いていて、土産物とカフェを営業しているかなり旧い家を見つけた。店の主人に、この家はいつごろ建てられたのかと聞くと、良く聞いてくれたとばかりに、にやりと笑いながら、「コロンブスがアメリカ大陸を発見する9年前だよ」と言う返事が返ってきた。ということは、今から530年程前の1483年ということになる。当然何度も改修されているだろうが、中に入ってみると、柱や天井の梁などは初期の設計どおりのようだ。肉屋だったらしい中世当時の家が描かれた絵が飾られたカフェでコーヒーを飲みながら過ごしたひと時は、中世にタイムスリップしたようで心が癒された。

レンタカーでDeluzに戻る

9月7日(木)Dijonに2泊し美味しいワインと食事を堪能した後電車に2時間ほど揺られてレンタカーを借りるためLyonに行く。てまりを置く予定のPort Napoleonとパリ・シャルルドゴール空港のほぼ中間に位置するLyonは帰国の事を考えると丁度良い場所なのだ。

てまりトラックで地中海に向かう

9月9日(土)昨日になって、てまりをトラックに積み込む予定の場所が村のイベントで使えないことがわかり、日程を変えるか場所を変えるかですったもんだのやり取りがあったが、最終的に3㎞ほど先の川沿いの駐車場でクレーン車から直接トラックに積み込むことで決着がついた。そこに行くにはロックを通らなければならない。ロックを操作するリモコンは既に返却してしまったため、Fannyに連絡して持ってきてもらった。

最後までロックの故障に悩まされる

朝8時のロックオープンに合わせて、3週間滞在したDeluzを出航、ゆっくりと慎重に船を進めた。

ダブルになっているロックはすぐに開き、すんなりと通過できると思ったら、二つ目のロックの扉が開かない。すぐに緊急電話でVNFを呼ぶが、今日は土曜日のためスタッフの数が少ないらしく中々人が来てくれない。またまたFannyにも電話をして待つこと1時間。彼女が来てロックの扉を開けてくれた。結局最後までFannyの世話になってしまったが、フランス行政機関の対応の悪さにはあきれてしまう。

ロックから1㎞ほど下るとそこに巨大なクレーン車とトラックが待機していた。心配していたトラブルも無く、2時間ほどで無事てまりをトラックに積み込むことができた。これでようやく終わった。我々はレンタカーでフランスの旅を楽しみながらPort Napoleonに向かう。

絵本から抜け出したような町Annecy

てまりを無事トラックに積み込むのを見届けた後、レンタカーで午前11時半過ぎDeluzを出発、Annecyへ向かう。途中国境を越えてスイスの町Lausanne, Geneveを通り、Annecyには午後3時過ぎに到着した。周囲を山に囲まれたAnnecyはパラグライダー発祥の地と言われている。有数の透明度を誇るアヌシー湖から流れ出た川が町の中を流れる、絵のように美しい町だ。

9月10日(土)アヌシー湖の遊覧船に乗った。芦ノ湖を少し大きくした程度の湖だが周囲の景色はヨーロッパアルプスそのもの。空を見上げると、雲の間に何機ものパラグライダーが見えた。

てまりの待つPort Napoleonに到着

9月12日(月)、昨日はRhone川沿いにある美食の町Valenceに一泊し午前10時過ぎに出発したが、途中高速道路の渋滞に巻き込まれ2時間近くをロス、午後3時過ぎPort Saint LouisにあるPort Napoleonに到着した。このあたりはローヌデルタと呼ばれる広大なエリアで、Rhone川西岸はカマログ湿原と呼ばれる大湿原が広がる。東岸は大小様々な湖沼があるが乾燥したフラットな土地で、工場や倉庫、海と陸の貨物輸送の巨大なターミナルなどが殺伐とした中に設置されている。

てまりの係留契約をしたPort Napoleonはそのはずれにあるマリーナで、巨大な陸置き場は500艇近い大型ヨットが置けるが、周辺はまったく何もない場所だ。広大なマリーナの一角にてまりは無事到着していた。

 

9月14日(水)我々が借りたアパートメントホテルはSaint Mitre Les Rempartsという町の高台にあり、部屋からはベール湖が眺められる素敵なところだが、マリーナからは35㎞も離れているため、毎日片道40分のドライブを強いられる。3日目の今日は午前中、保険会社の調査員と、マリーナにあるリペアショップのスタッフを交えて事故の詳細報告と、別便で届くマストのセッティングや今後の修理に関する打ち合わせを行った。9月25日の帰国便まで、残る日々は船の後片付けなどをしてLYONまで南仏の旅を楽しむ予定だ。その他の写真はこちらからご覧いただけます。