10月16日(水)、Cartagenaを出航してスペインCosta Blancaの海岸を南下し、Aguilasのマリーナに舫いを取った。Aguilasは庶民的なリゾートタウン。マリーナ周辺にはマンションが立ち並ぶがほとんどの窓はシャッターが閉められていて人の気配がない。まだ日中は30℃近くまで気温が上がり、夏のような日差しが照りつけるが、さすがにこの時期は海岸もほとんど人が居ない。
町の中心部を歩いてみると、木々や草花が巧みに配置された気持ちの良い公園があり、周囲にはカフェが並んでいる。 ヨーロッパの町を歩いていて決定的に日本との違いを感じさせられるのは、一般の道路や公園、広場など行政が監理する場所に、当たり前のようにテーブルを並べるカフェやレストランが多いことだ。店舗は近くにあるのだが、お店の中はほとんど客がおらず、皆道路に並べられたテーブルで食事やカフェを楽しんでいる。どんなに小さな田舎の町でも、中心部には必ずそうしたお店があり、コーヒー1杯の値段は150円程度、ビールでもちいさいものは200円以下で飲めるから、お年寄りや主婦達の社交場となっているし、それがまた街角の雰囲気を盛り上げているのだ。
日本ではややこしい法律が色々とあって、公共の場にテーブルを並べてカフェなどをやることができないらしい。世界一の高齢化社会になりつつある日本では、地方都市中心街のシャッター通り化が叫ばれて久しいが、行政も規制緩和をして、ここヨーロッパのようにお年寄りが気持ち良く語り合い、気軽に時間を過ごせるようなアウトドアカフェを、町の中心部や広場にどんどん作れば良いと思うのだが。
今年最後の寄港地 San Jose
10月18日(金)、Aguilasを出航して50マイル弱先のSan Joseに向かった。San Joseは周辺をリゾートマンションに囲まれた、日本にもあるくらいの本当に小さなマリーナだ。San Joseから数マイル走ると、船乗りの間で有名なCabo de Gata(Gata 岬)がある。この岬からMalagaのあたりまでがCosta del Solと呼ばれる地域になるが、北側に高いシェラネバダ山脈が走っているため、強い西風が吹きやすく、「西に向かう船はCabo de Gataを超えたら要注意」と昔から言われている。従ってこのマリーナは、Almerimarまでのラストラン前に一服するには丁度良いロケーションなのだ。
2年5か月ぶりにAlmerimarに戻る
10月19日(土) 午後4時過ぎ、無事Almerimarのマリーナに入航することができた。幸いCapo de Gataを超えても、西の風はそれほど強くならず、タフなセーリングを強いられることもなかった。
マリーナには、日本人スタッフのフミさんがお休みの日にも関わらず迎えてくれて、色々と面倒を見てくれた。いつもながら有難い。夜はフミさんと定番のTapasをつまみながら話はつきなかった。Almerimarはてまりの実質的なホームポート。このマリーナにはクルーズ出発の時を含めて3回訪問し、述べ3か月近く滞在した場所なので故郷に戻ったような気持ちがした。
2011年6月にこのマリーナを出航し、足かけ3年でぐるっと地中海を回り戻ってきたのだ。
地中海クルーズに出かける前、テストセーリングでここAlmerimarから地中海の入口ジブラルタルまで往復してきたので、それを含めて地中海をほぼ完全に一周したことになる。
今年は4月末にイタリアからスタートし、175日間で5か国を回り79カ所に滞在した。3年間でトータル10,000マイル弱(約18,000km)を走破した。これは、ほぼ日本からアメリカ西海岸を往復する距離に匹敵する。
航海中大きなトラブルはほとんど無く、小さなトラブルは立ち寄ったマリーナですぐに対応してくれた。何処の国もマリーナ設備が充実しており、あらためて地中海はクルージングの初心者に優しいエリアだと実感している。
10月26日Almerimarにて
Almerimarに戻って、出発前に船の修理などでお世話になった、懐かしい顔ぶれに出会った。皆我々の事を覚えていてくれ、再会を喜んだ。Costa del Solにあるこの町はマリーナを中心に1970年代に開発された新しいリゾートタウンなので、周辺に見るべきものは何もないが、マリーナの周辺に大きなスーパーマーケットから雑貨店、幅広い種類のレストランやバールなど生活に必要なお店がほとんど揃っているため、ここに長期滞在するヨッティーにとってはとても便利なマリーナだ。
船を家代わりに生活している人たちも多く、3年前に居たヨッティーが今でも船で生活しているのを見かけてびっくりした。
このあと10月末までAlmerimarに滞在し、船の整備や帰国の準備をした後、フランスNantesの友人宅に立ち寄り、11月5日に日本に戻る。
来年は5月初めにスタートして大西洋沿岸を北上、ポルトガル、ビスケー湾のスペイン北部、フランス西部を回り秋にはカナリー諸島まで南下し、11月か12月に大西洋を横断してカリブ海に向かう予定。
今年のてまり航海記はこれで終了しますが、番外編としてフランス Nantes 滞在記を後日お届けする予定です。
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