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政策分析 ~ 自民党(1)

2005-08-20 | 国政選挙SP
本日は、19日に公表されました自民党の政策分析です。

自民党の政策は「政権公約2005 120の約束」にまとめられています。5つのテーマを軸として、120の政策各論が発表されていますが、民主党政策分析と同様国家制度並びに国民全体に関する政策として、「テーマ1: 日本の改革 」「テーマ3: 安心・安全 」「テーマ4: われわれの子どもたち 」を今回の分析対象とします。

なお、自民党の政権公約については、
http://www.jimin.jpにてご確認ください。

自民党の政策分析(1)~テーマ1:日本の改革


まずはじめは、「日本の改革」です。政府・国家制度の改革を中心に、27個の政策が書かれています。


◆「大きな政府」志向と判断される政策
社会保障給付全般に要する費用の見直し等を踏まえつつ、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現(009-7)
健康フロンティア戦略の更なる推進(健康寿命の伸長)
医療制度改革の断行(新たな高齢者医療制度の創設、地域医療機能の適切な分化・連携、小児救急をはじめとする救急医療体制の確保)
基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げ(014)
非正規労働者が厚生年金加入できる制度改正(014)
障害者の自立した地域生活を支援するための施策を推進(016)
仕事を中断した女性の再就職や起業を支援(021)
NPOの健全な育成のための制度改正、税制優遇策の抜本的検討(023)
政治資金規正法を改正(027)

◆「小さな政府」志向と判断される政策
郵政民営化に再挑戦(001)
規制改革の強力な推進(002)
行政スリム化プログラムの推進(市場化テスト、官業の民間開放、地方支分部局の見直し、IT活用による業務改革により内部管理要員の3割以上削減)(003)
政府関係法人の合理化及び効率化を実施(政策金融機関、独立行政法人の整理縮小・非公務員化、行政代行法人の見直し)(007)
サラリーマンの年金制度の一元化の推進(014)
社会保険庁改革の断行(社会保険庁の事実上廃止、政管健保の公法人化による運営切り離し)(015)
道州制の導入の検討を促進(※国家制度のスリム化と判断)(019)
地方の行政改革を徹底して実施(地方公務員総定員の純減)(020)
妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止(※公平競争条件の整備と判断)(021)
女性坑内労働に対する規制の緩和(021)
公益法人の設立許可制度の廃止と、新たな非営利法人制度の創設(022)

◆「現状維持」志向と判断される政策
持続可能な社会保障制度の構築(010)
介護保険制度改革の着実な実施(※制度全体としてのバランス調整と判断)(013)

◆いずれとも判断されない政策
簡素で効率的な電子政府の実現(004)
国家公務員に関する改革を実施(005)
国会・裁判所などの組織改革を推進(006)
省庁再編レビューの実施(008)
歳出・歳入一体の財政構造改革(009)
三位一体改革の推進(地方への税源委譲)(017)
市町村合併をさらに促進(018)
新憲法制定への取り組みを本格化(024)
子どもたちの未来のために教育基本法を改正(025)
国会改革を推進(026)

自民党では、今回の解散・総選挙に関する報道を通じて「小さな政府」を目指すことを発表しています。テーマ1について、この動きを裏付けるものとして浮かび上がってくるキーワードが「公務員の削減」と「規制の緩和」です。公務員の削減については、「人件費の抑制」だけでなく、「公務員数そのものの削減(非公務員化含む)」にまで踏み込んでいます。また、国家行政だけでなく、地方行政についても公務員の削減を政策として掲げている点が注目されます。

一方、社会保障や医療制度については、現行の給付水準を(拡大しないまでも)維持するという考え方から、増大する給付への対応として、現状からの負担の拡大を求めています。(この点において「大きな政府志向」と判断しました。)また、障害者や女性、NPO活動に対する支援施策に、国家が積極的に関与する姿勢が見られます。

自民党の政策分析(2)~テーマ3:安心・安全


次は、「安心・安全」です。治安・危機管理・健康・生活環境を中心に、24個の政策が書かれています。


◆「大きな政府」志向と判断される政策
災害に強い国づくりの推進(監視・観測・情報伝達体制の強化、堤防等公共施設整備の推進。住宅等建造部の耐震化)(069)
緊急事態発生時の国民保護体制を強化(070)
緊急消防援助隊の増強(071)
公共交通の安全対策を強化(072)
犯罪被害者等に対する援助・支援・被害回復防止に向けた計画策定と実施体制の整備(077)
簡易・迅速・柔軟な救済を行う人権救済制度の確立(078)
情報セキュリティの確保(080)
民間企業の従業員個人の情報漏えいに対する罰則の整備(081)
住民基本台帳の閲覧目的の限定化(081)
がん対策、自殺予防対策の推進(082)
食品安全対策(BSE/鳥インフルエンザへの対応、トレーサビリティシステムの導入促進、食品産地表示の充実適正化)(084)
安全な水の確保(水質管理の強化、地震・渇水対策の推進)
新興・再興感染症、難病対策の充実・強化(086)
医療安全対策の強化(087)
医薬品・医療機器の安全対策(088)
アスベスト問題対策の迅速な実施(089)
産業廃棄物対策、環境基準の徹底(090)
動物愛護管理行政の推進(091)
外来生物対策の推進(092)

◆「小さな政府」志向と判断される政策
消費者団体訴訟制度の整備(※民間による監視機能の促進強化と判断)(079)

◆いずれとも判断されない政策
「犯罪・治安対策」の幅広い実施(※治安に関する事項は国として放棄できない権能と判断)(073~076)
食育の推進(083)

このセクションは、「安心・安全に対して国がどのように関与するか」という内容であることから、ほとんどが「大きな政府志向」と分類されます。特に、防災・保健医療を中心に国が積極的に関与する姿勢が見られます。また、犯罪被害者対策やアスベスト被害対策についての言及も見られます。個人情報保護についても、国として積極的な関与の姿勢を示しています。

また、このセクションで唯一「小さな政府志向」と判断されたのが、「消費者団体訴訟制度の整備」です。消費者保護については、国による規制強化等積極的な関与ではなく、民間主導の自律的な動きを支援する姿勢をとっていることが注目されます。

「テーマ4: われわれの子どもたち 」及び、全体的な分析まとめについては、明日のblogにてご紹介します。

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