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ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

「レポート」のカタチ

2005-08-20 | よもやま話
今年も担当させていただいている某大学の授業では、成績評価のために毎年レポート課題を出題しています。オムニバス形式で担当している4人の講師から各1題ずつ課題を出題し、このうちから一つの課題を選ばせているのですが、今年は、なんと4分の3以上の学生が私の出題を選択してレポート提出してきました。おかげで、合計100枚弱のレポートを見ることになり、ほぼ丸2日をかけて、なんとか採点を行いました。

さて、この大量のレポートを一度に見ていて一つ気になったことがあります。それは「形式的にレポートの体裁がきちんと整っていない」ものが大変多かったことです。その中でも、
「レポートとして提出した授業の科目名」が書かれていない。
「レポートである旨の言葉(単に科目名だけを表記)」がない。
「4つの課題からどれを選択したのか」が書かれていない。

という(私の感覚では)ごく基本的な部分が欠落しているレポートがあまりにも多く見られました。授業科目名がなければ、どの授業へのレポートか分かりませんし、「レポートである旨」が無ければこの文書が何であるのか相手に伝わりません。また、内容を読めばある程度推測できるとはいえ、どの課題を選んだのか伝わらなければ採点できない場合も考えられます。

この他、私の出題した課題は、ある事柄について(1)要約(2)原因分析(3)対策の3点を論ぜよという内容((1)~(3)について箇条書きに表現して出題)だったのですが、この(1)~(3)のセクションを番号付け等で分けてないレポートが約半分ありました。その多くは段落として(1)~(3)を分けていたものの、一部(約1割)は全く分離していないものもありました。

今回のレポート採点を通じて、今の学生には「(例え可だとしても)単位が取れれば良い」という意識を持っている人が多いのではないかと感じてしまいました。その根底には、「大学での成績評価が、その後に強い意味を持たない」ことがあるように考えます。確かに、大学でよい成績だったからといって、就職活動が特段有利に進むわけではないようですし、その後の就職試験等の内容と大学での授業がリンクしているわけでもありません。このことを短絡的に捉えて、レポート課題へ真剣に取り組むことに価値を見出せない学生が多いように感じます。

ちなみに、今回の採点では、形式的な部分に特段高い配点を行っていないのにも関わらず、高得点(A評価)を得た学生のレポート全て「カタチが整っている」ものでした。一人一人の取り組みの姿勢や(知識力ではない)本質的な力は、このような「カタチ」の部分に現れるのかもしれません

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