コンサルタントのネタモト帳+(プラス)

ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

報道に見る:「赤福問題」と「亀田問題」

2007-10-16 | ケンカイ
久しぶりのブログの更新になりました。

現在「今日の夕食」シリーズは一時停止しを余儀なくされています。というのも、キッチンの蛇口が破損してしまい、料理が出来なくなってしまっているためです 修理にはパーツ交換が必要な状況なのですが、これがまた取り寄せに時間がかかっており、しばらく自炊はお休みとなってしまいそうです

さて、今日は久しぶりに「報道に見る」シリーズ。最近マスコミをにぎわせている「赤福問題」と「亀田問題」ですが、私としてはどちらの問題についても「報道姿勢に対する疑義」を感じています。

まず赤福問題から。この問題では、各種報道の通り、伊勢名物の赤福が冷凍等を用いて製造年月日を改ざんしていたとされています。この問題では、報道ではさも「利益至上主義・消費者無視の極悪人」のように取り上げられていますが、実際のところ「では何がどのように問題だったか」というところを冷静に考えると、報道の取り上げ方があまりに一方的ではないかと感じてしまいます。

まず、今回の問題は消費期限など直接的に食品衛生を規制する「食品衛生法」ではなく、品質についての表示のみを取り扱っている「JAS法」に対する嫌疑です。それも、「どの時点を製造年月日とすべきか」という一見わかりやすいようで実は様々な解釈が行い得るところでの話しです。つまり行政と事業者の間では法解釈をめぐっての「見解の相違」に関する問題といえます。

本来であれば行政と事業者で相互の見解を出し合い、すり合わせを行って「正しい表示とは何か」についてよりよい形を模索すべき事案であるはずです。しかし、たまたま別の土産品で賞味期限の改ざん(こちらは食品衛生法違反)の問題があったので、「こいつも同じ穴のムジナだ」と決め付け的に報じられてしまっているのが今の現状ではないかと感じます。

特に、今回の赤福のケースの場合には「冷凍→解凍」というプロセスを経ていますので、解凍前後の温度管理が適切であれば、古い製品だからといって食中毒になるケースは理論的にありません(冷温下では細菌は繁殖しないことから、腐敗は進みません。アイスクリームに賞味期限が設定されていないのはこのためです)また、冷凍によって生じる品質劣化も冷凍方法の工夫でほとんど無かったようです。少なくとも私が知る限り、この問題が発覚するまでの間で「赤福で食中毒になった」という話しはもちろん、「味の落ちる赤福がある」という話しすら聞いたことがありません。

赤福問題を全く別の側面から見れば、むしろ「冷凍しても品質を落とさず安全にコントロールし、企業努力を通じてお客様に対して安価に商品を提供している」ともいえます。製造年月日の表示方法について確かに改善すべき点はあるにせよ、本来はこれほどバッシング的な報道にするようなことではないと私には感じられて仕方ありません。あるキャスターが「この報道を見ていると、なぜか赤福が食べたくなる」と言ったのは実は本音ではないかと感じます。

この問題と同様の印象を持っているのが、いわゆる「亀田問題」です。亀田一家については、先の世界戦での反則行為やセコンドと言うポジションで反則をそそのかしたとされる行為が集中砲火のような批判の的となっており、今日の報道では、ライセンス停止を含む非常に厳しい処分が行われたとのことです。

この問題については、TVで試合を観戦していましたが、たしかに挑戦者である亀田大毅選手の力量は、チャンピオンである内藤選手に及んでいるものではなく、判定になれば負けとなって已む無しという印象を持ちました。

しかし、試合内容を冷静にふりかえって見ると、「オールドスタイル・突進型の亀田大毅選手」と「アウトボクサーでポイントを稼ぐ内藤選手」のスタイルがどこまでもかみ合わないまま終わったという印象で、特に12R終わった後で亀田大毅選手の顔が試合前とほとんど変わらずきれいなままだったたのが「あぁ、しょっぱい試合だったな~」という気持ちをより強いものとしました。

現在の報道では亀田大毅選手の「レスリング行為」に批判が集中していますが、あの試合で先に反則減点を取られたのはチャンピオン内藤選手ですボクシングルールの中にはっきりと書かれている「一方の手で相手を押さえながら片方の手で加撃すること」という反則行為を1Rから12Rまで繰り返していたのは、内藤選手に他なりません。

私はボクシングについてはズブの素人ですが、先の試合は「両選手ともにボクシングになっていなかった」と感じました。スタイルの違いによるかみ合わなさもあったのでしょうが、それでも、ボクシングをしていなかったという批判は亀田家だけではなく、両者均等に与えられてしかるべきであると感じます。少なくとも、あの試合内容をみると、内藤選手自身が試合内容や反則行為についてクレームやアピールを出来る資格はないと私は感じます。

赤福問題にせよ、亀田問題にせよ、いずれもそれぞれの当事者に反省すべき点はあると思いますし、それぞれの当事者を擁護するつもりはありません。しかし、現在の報道での取り上げられ方は正直申し上げて「度が過ぎている」感が否めません。どちらの問題についても「悪者を作り出す一方的な報道」の構図が本質的な部分を見えにくくしてしまっているように私は感じます。