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問題は加速度ではなく、力積の筈!!

2011-04-02 22:55:31 | 気になった理系ニュース
2011年4月2日 朝日新聞 夕刊東京本社版3版2面に以下の記事があった。

福島第一の揺れ、耐震設計の想定超える 2・3・5号機

一部を引用する。
【公表されたのは最下階の地震計のデータで、2号機が想定の438ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)に対して、1.25倍の550ガルを記録。5号機で548ガル(想定452ガル)、3号機でも507ガル(同441ガル)が観測された。

 新指針は「極めてまれで施設に大きな影響を与える地震動」を想定するよう求めている。東電は、今回の地震の規模に近いとみられている「貞観(じょうがん)地震」(869年)の揺れでも超えないと想定。超える場合もその確率は1万年から100万年に1回と評価していた。 】

加速度で550ガルとは5.55m/毎秒/毎秒≒0.55G
である。

この程度の加速度は、地震計を拳骨で叩く程度で簡単にでる。

今回の地震の特徴は揺れた時間がとても長かったことにある。 これを力学では力積と言う用語で表す。

高校の物理で習う用語であるが、普段あまり使われることがないので、忘れている人も多いであろう。

地震の専門家以外にも分かり易いから記事は加速度で書いているし、多分、ニュースソースもそうしたのであろうが、物が変形したり、壊れるには力積で評価すべきである。 多分、耐震指針もそうなっているのだとは思うが、単に加速度が想定を超えたからだと言うのは安易過ぎる。

第一、絶対に壊れないと言って造っていた筈の原発の安全係数(想定した力に対する余裕)が、まさか1.25倍であるわけが無い。 飛行機だって、この程度の安全係数は持っている。

それから、地震は振動と言うよりも衝撃に近いが、衝撃加速度は瞬時に変化する。 よって、単に550ガル(この単位は好きでないが)印加されたというだけでは、物理現象として何のことか分からない。 ピーク加速度が550ガルなのか、揺れていた間の実効値か分からないということである。

こんな問題もある。地震の揺れは精々数Hzであろうから、地震計がデジタルで記録されるなら、そのサンプリング周波数は精々50Hzから100Hz程度であろう。 50Hzなら25Hzまで評価できる。 でも、サンプリング周波数を1000Hz(1kHz)にしたら、50Hzでは鈍って見えなかった高い値まで見える。 

新聞屋の記事にいちいち突っ込みを入れてたら切りが無いが、この記事の数字だけで、原発の耐震性が不足していたと語ることは出来ない。 どうせ記事にするなら、耐震指針の正確な表現を一緒に記載してくれないと、起きた事故原因が誤って理解される。

Wikipediaの加速度力積の説明は非常に分かりにくいが、この機会に用語だけでも覚えてもらいたい。

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