残雪期の北岳を目指すのは四年ぶり三回目ですが、今回は大樺沢から八本歯へと
キタダケソウ咲くトラバース道への最短コースを登りました。
今年の雪解けは例年に比べ2,3週間遅れているとのこと。
前回(2010年)の記録を読み見返すと、この年もかなりの大雪だったようで、雪解けも一ヶ月も遅れていた様子です。
初日、広河原から二俣へは、樹木が雪の重みでなぎ倒され通行禁止となっていました。
八本歯へのルートは、持参した6本爪アイゼンでは許可が下りず、やむなく草すべりを登ったのでした。
今回も残雪が多いと聞いていたので、ダブルストックと12本爪アイゼンで臨んだのですが、
それでも上部の急傾斜ではズルズルと押し戻されピッケルが不可欠だったと反省させられました。
経験豊かな相方のも~りさんは12本爪にピッケルで難なくクリア、危なっかしい私の姿をハラハラしながら見ていたことでしょう!
小屋で同室だった方もダブルストックで登ったようですが、
朝一番で登った時はアイゼンもよく効いて登りやすかったとおっしゃっていました。
技術の差もありますが、雪渓登りは雪が締まっている早朝の方が登りやすいのかもしれませんね!
それと、気温が上がると落石の危険も一層高まります。
現に私たちが登っている最中もバットレス側から突然「ら~~~~く!!」の叫び声が…
振り向くと、数分前に通過した地点に大きな石が音もなく滑り落ちていく様を目の当たりにしました。
雪渓の登りで予想以上に体力が消耗し、八本歯に到着した時は心身ともにヘロヘロで体力不足を痛感させられました。
【コースタイム】
6/27 芦安(07:10/50)====広河原(08:40/45)-------分岐(09:07)-----二俣(10:55)-----左俣雪渓終点(12:40/45)
------八本歯のコル(13:20/30)-----トラバース分岐(13:50)----------北岳山荘(14:55)
6/28 北岳山荘(6:10)-----トラバース分岐(07:05)-----北岳山頂(08:00)-----肩の小屋(08:20)
------草すべり分岐(08:45/55)------御池小屋(09:45/10:05)------広河原(11:50)
【メンバー】
も~りさん、fu-co
6月27日(金)
最寄り駅で朝5時に待ち合わせ、中央自動車道を走り、予定したより時刻より早めの7時過ぎには芦安に到着しました。
乗り合いタクシーは定刻の07:50にならないと発車しないそうなので、
朝の貴重な時間だけれどブラブラと時間を潰すしかありませんでした。
乗り合いタクシーには7人が乗車して定刻に発車です。
運転手さんによると5時台の朝一の車窓からは北岳の山容を望むことができたそうですが、
今は雲が垂れ込め生憎の空模様、天気はやや下り坂のようですが、雨が降っていないだけでもまだ助かります。
このままお天気が持ってくれればよいのですが…
山オンナのも~りさんは当たり前のようにテントを担ぎあげますが、軟弱者の私は小屋泊りにして軽量化。
宿泊は別になりますが、道中は一緒なので心丈夫です。
08:45 広河原発
北岳はやはり分厚い雲の中です。
分岐を左に取り、二俣方面へと沢沿いをあるきます。
【タチカメバソウ】 【ヒメイチゲ】
暫く進むと、ミヤマハナシノブとオドリコソウが仲良く咲いていました。
まだ早いと思っていたミヤマハナシノブ、本当に綺麗です!!咲いていてくれてありがとう!!
【ミヤマハナシノブ】
【ミヤマハナシノブ】 【オドリコソウ】
10:05 広河原から歩き初めて1時間20分経過、二俣まではあと1時間です。
二俣に近づくと、夏道より雪渓の方が楽に歩けそうな気がしてアイゼンを履いて雪渓に下りました。
アイゼンを履くと、急に背中のザックが軽くなったように感じます。
が、その分一歩一歩を持ち上げるのが重くなりますね!
二俣での大休止を楽しみにしていたのですが、ゆっくり腰を下ろす場所がなさそうなので、
そのまま大樺沢を登ることにしました。
っていうか、雪のない場所に移動するのが面倒だったのです…^^;;
左俣コースの遥か遠くに先行者が数人登っているのが確認できます。何となく安心できますね!
ところが、遥か先を登っていたはずの先行の数人は、何やら登るのを躊躇っているで、どんどん差が縮まっていきます。
私たちもノロノロですから、先行者に何かあったのかと不安がよぎります。
結局、単独の方を雪渓上部で追い越しましたが、特に問題はなさそうだったので安心しました。
果てしなく続いた雪渓でしたがようやく開放され、次は恐怖の連続梯子です。
3年前の8月は雨の中、この丸木の梯子に泣かされました。
今回は、梯子は乾いているので少しはマシですが疲れた足にビンビン堪えました。
大樺沢を振り返る
梯子の写真を撮る余裕もなく、這うように登っていると空が少しだけ明るくなり、気分も晴れやかに…^_^
鳳凰のオベリスクがちょっとだけ顔を見せてくれましたよ~~
そうなると現金なもので、カメラを向ける気力が蘇ってきました^^;
咲き始めのキバナシャクナゲは色が濃くて綺麗ですね!
梯子の周りにはクロウスゴが可憐に咲いていますが、カメラを出すのが面倒で見送っているうちに
撮りそこなってしまいました~~
そして、ようやく八本歯のコルに到着!
ここでは雪渓を先行していたご夫婦が休憩中でしたが、こちらのご夫婦も私たち同様かなりお疲れの様子でした。
私たちは少し先の風が当たらない場所を探して大休止、いやはや疲れました~~
ここから岩場をひと登りでトラバースの分岐です。
トラバース道分岐
そして、
いよいよ キタダケソウ との対面の時がやってきました。
今年はトラバース道が通行可となっていたので、斜面いっぱいに咲き乱れるキタダケソウを存分に眺めることができました。
きつい登りだったけれど、花園を前に疲れもいっぺんに吹き飛ぶ見事な咲きっぷりに感激
生憎、展望は望めそうにないので、キタダケソウに集中…夢中でシャッターを切るだけ、ちょっぴり残念ですが。。。
ちょっと貼り過ぎですね(汗)
駄作ではありますが、きつい登りに耐えようやく出会うことができたのですから…^^;
ちなみに2010年は残雪をまとう間ノ岳とのコラボを楽しむことができましたよ~~その時のキタダケソウは こちら から。
この日も
たくさん撮ったのにまだ撮り足りなくて、翌日はさらに時間をかけて思う存分撮るぞ!!と言い聞かせて、山荘へと向かいました。
【シナノキンバイ】
【ミヤマタネツケバナ】 【キタダケナズナ】
【イワベンケイ】 【オヤマノエンドウ】
【ハハコヨモギの蕾】 【キタダケヨモギの葉】
【ハクサンイチゲ】
【ヤツガタケタンポポ】 【シロウマオウギ】
【キバナノコマノツメ】
【チシマアマナ】
【オヤマノエンドウ】
【チョウノスケソウ】
【ミヤマキンバイ】
14:55 北岳山荘着
山荘には私たちと同年代と見受けられる庄内地方からのツアー客が先着しており、
賑やかな笑い声が山荘内にこだましていました。
到着するなり「どこから登ってきたの?」「どのコースを登ってきたの?」と質問攻め^^;
「広河原からです。」と答えると、「お、ぉ~~下からですかぁ~凄い凄い、私たちは御池小屋からですよ~」
「健脚ですね!」と褒められ、ちょっといい気分^^;
ヘロヘロで登ってきた体力のなさに意気消沈していた気分が、いきなりシャキ~~ン!!
お世辞でも褒めていただけると、嬉しいものですね^^;
この日は、団体、女性、男性、カップル、それぞれに部屋割りをしていたので、私は広い部屋を単独の女性と二人きりでした。
午後3時過ぎには雨がポツポツ降り始めたたので、テント泊のも~りさんを誘って山荘でビールで乾杯
宿泊客の皆さんを交えての楽しいひとときでした。
そうそう、大事なこと書くのを忘れてました~~^^;
この日の事前情報によると、肩の小屋か北岳山荘のいずれかに、てばまるさんが宿泊予定と聞いていたので、
受付で尋ねてみると「はい、宿泊されてます!」との返事が…
ならばと、食事の前に待ちぶせ、声掛けして図々しくお隣で夕食をいただきました。
ただ、この時じわじわと頭痛が強まってきたので、薬を飲みたくて早めに席を立ってしまったのが
残念です。
てばまるさんは、とてもやんわりと穏やかな優しい方で、お陰様でとても楽しい夕飯になりました~
てばまるさんのブログには、お花、鳥、動物この日私が見ることができなかったたくさんの情報が満載です。
てばまるさんのブログはこちらからどうぞ!!
小屋では眠れないことが多いのですが、この日は珍しく8時の消灯とともに深い眠りに付くことができました。
6月28日(土)
翌日は、曇りの予報に反し朝から雨です。
朝露に光るキタダケソウを思いっきり撮るつもりだっただけに、テンションダウンです。
でも、雨の日ならではの、雫を蓄えた姿も良いもの、そう考えたのが間違いでした!!
なるべく濡らさないようにと、気を付けているつもりでもいつの間にかカメラもびしょ濡れ…
そして、ここで悲劇が…
キタダケソウを数枚撮ったところでカメラが突然ダウン、何故かシャッターが下りません
幸い、MFにすれば何とかシャッターだけは押せるのですが、ピントが合わず、
液晶で画像の確認もできないのでSDカードに画像が残っているのかさえわかりません。
私のカメラは防滴タイプではないにもかかわらず、乱暴に扱い、濡らしてしまったことでカメラが怒っているのでしょう
タオルで拭き、あれこれいじってみたのですが、全く反応しなくなりました。
帰宅後カメラを乾燥させたら復活したので、はやり濡れたことが原因だったようです。
という訳で、二日目はほとんどの写真がゴミ箱行きの残念な花旅となりました。
【クモマナズナ】
【ショウジョウバカマ】
【アカバナヒメイワカガミ?】 【クモイザクラ】
左は以前、草すべりで見たイワカガミがコイワカガミだったのですが、今回、トラバース分岐付近見たものは
葉の特徴からアカバナヒメイワカガミのように見えます。標高が高い場所なのでとても不思議なのですが…
右は、マメ(フジ)ザクラの変種で南アルプスなど限られた場所で咲くクモイザクラと思われますが、
ミネザクラとも違いが今ひとつ理解できてません。
※南アルプスに分布する高山型のもをクモイザクラという【山渓カラーガイド:日本の樹木より】
【キバナノコマノツメ&サンリンソウ】 【ツバメオモト】
レンズも曇っていたようですね~
【キソチドリ】
今回は残念ながら展望を得ることは叶いませんでしたが、咲きたての新鮮なキタダケソウに出会うことができました。
高山植物が咲き乱れる夏真っ盛りの北岳も魅力的ですが、きつい雪渓を登りきった後に出会えるキタダケソウには、
登りの辛さをいっぺんに吹き飛ばしてくれるパワーが秘められています。
防滴タイプでないカメラは決して濡らしてはいけないことも学習しました。
ただただ感心しながら拝見しています。
高嶺の花を楽しませて頂きました。
悪天候の中、お疲れさまでした。
キタダケソウの花の旬を見るためには、梅雨の時期に登るしかないですね。
でも、、北岳に登るなら大展望も見たい(笑)
さすがに北岳、この時期でも花は多いですね。
これから盛夏に向け、益々花の種類は増えていきますね。
カメラ、大事に至らなくて良かったですね。
乾いたら復活したということは、電気接点が雨に濡れ信号伝達に不具合でも生じたのでしょうか?
最近のカメラはレンズとカメラで情報のやりとりをしますのでマウントへの水の侵入には要注意ですね。....って、自分はレンズ交換するカメラを持っていませんが^^;
北岳は登るたびにしんどさを感じるようになりました。
歳なのかもしれませんね!
こうなったら、団体さんの真似をして御池小屋で一泊して翌日山頂へ上がるのも手かもしれません。
次は考えてみようと思います。
やまそだちさんも北岳へ、いかがでしょうか!?
でも、欲を言えばやはり間ノ岳とのコラボが欲しかったです^^
カメラは、おっしゃるようにマウント部分が濡れていました。
あの時、雨の中でレンズを交換するのが怖くて表面だけ水滴を拭っていたのですが、思い切って交換すれば故障の原因が分かったかもしれませんね!
次から注意します^^;;
ありがとうございます
北岳の素晴らしいお花の写真の数々、楽しませて頂きました。
私もこの日北岳を歩いていて、時間的に、左俣ルートの雪渓上部ですれ違い時に少々お話ししたかと思います。
落石の話、バットレスの話、そしてキタダケソウの話をしたように記憶しています。
(もし全く違った方でしたらゴメンナサイ;)
私もお花目当てで山へ行きますが、ここのHPは百名山をやられている頃から参考にさせて頂いておりました。
特にスミレの写真は毎回楽しみにしていました。
同じ日に北岳、そしてコースタイムの時間帯も合致!これは間違いない!!
と意気込んで初めてコメントさせて頂きました。
今後とも素晴らしい写真を楽しみにしています(^^)
雪渓を軽快に下っていかれた単独の男性の方ですね^^ よく覚えています!
「キタダケソウが満開ですよ」と声をかけていただいて、どれだけ嬉しかったことか…あの一言で俄然力が湧いてきて何よりの薬となりました^^;
そして、お話のように素晴らしいキタダケソウでした!
お互い、一番綺麗な状態で愛でることができてホントに良かったです。
日付を間違って記載していたのに、コメントを寄せてくださりありがとうございました!
大樺沢の雪渓 凄いですね。
旬で新鮮な満開の美しい!キタダケソウ他の花々
有難うございました。私は、もう真夏でも無理の様な
気がします。 カメラ 私も風雨の強い礼文で何度か
濡らしましたが、宿で一晩中乾かしましたら
事なきを得ました。
私の体力では無理ではないでしょうか?
宿泊数が増えてもかまいませんが、そんなコースがありますか?
カメラは無防備に濡らすのは厳禁ですね~
これまでは少々濡れても、レンズが曇るくらいで本体に影響がなかったので、交換レンズさえ持っていれば大丈夫と考えていました。
礼文島では宿で復活したとのこと、良かったですね~
私の場合、Hgさんのおっしゃるようにマウント部分に水滴が付いていたので、そっと拭き取れば良かったかも…
これもお勉強になりましたデス^^;
北岳は夏も含めると今回で5回目でしたが、いつ登ってもお花が多いので楽しむことができると思います。
是非、挑戦なさってください!!
もし不安でしたら、御池小屋に一泊し翌日山頂を目指したらいかがでしょう?、
この日も、御池小屋から出発された団体さんと数多くすれ違いました。
やまそだちさんが撮られた高山植物、是非拝見したいです。