無名会

連 句 で 遊 ぼ う!
楽しくなければ連句ではないよね。

無名会10月

2010-11-12 22:00:50 | Weblog
無名会10月2010年11月12日発行

世の中には不思議な体験をされる方がいるようですね。今回は明子さんのお話を読んで「へぇー」と驚きました。皆さんもこんな体験おありですか?

ある夏のこと     星 明子

  今年はいつもより熊の被害が聞かれますが、私も避暑地の山で散歩に出た折、十米位先のガードレールをくぐって突然熊が顔を出し道を横切って崖下に下りて行くのを見ました。熊の他にも隣の敷地からがさがさと猿が列をなして歩いて行くのやら、かもしかが一匹ゆっくり草を食べながら下りて行くの等を見ました。以前は栗鼠や兎なども沢山いて雪解けの後ほうほうと兎を追って上がって来る勢子の声を聞いたりしましたが近年村の人が狐やテンを放したとかで、此の所姿を見ません。
もう二十年位前の話ですが放し飼いのようにして飼っていた家の犬が兎を追って行って困った事もありました。兎は人に出会うと叢に飛び込んでにげますが私と犬に出会うと本能的に私の方に逃げて来て私が犬を抑えている間に逃れるのでその咄嗟の判断に感心します。
 ある日その犬と散歩していた時急に崖下に走り下りて行ってしまい遠くでキャアンという声がしたきり上がって来ないので、大声で名を呼び乍ら、うろうろしていると暫くして崖を這い上がつてくるなり道に倒れてしまい、すぐ獣医の所に連れて行きましたが出血多量という事で外傷は無く胸に一つ突き傷があるだけで原因も解らず死んでしまいました。この話を聞いた友達(その人は真面目で常識的な人だと思っていましたのに)それはU.F.Oだというのです。その後すぐその道の先にある古いお寺の管理人さんが飼っていた犬も全く同じ傷跡で死んでいるのが見つかりました。
 或夜、月があまり明るいのでベランダに出て見ると木々の間に青い瓦が月の光を反射したように光輝いているのが見えたので何かしらと戸口に廻って出てみたら外は何時もの月夜の晩でそんな所に青瓦の屋根の家など無かった事に気が付きました。私は其の時【未知との遭遇】を作った人は実際に見たことのある人ではないかと思いました。   今でもその情景ははっきり思い出す事が出来ますが昔のことで何か見間違えたのかも知れません。毎年7月、「今年はどんな夏が待っているのだろうか、どんなことが起こるだろうか」と思いながら長野に行きます。


     二十韻「一円玉」
  拾いたる一円玉や昼の虫         玉木  祐
   曲れる道に咲ける紺菊        おおた 六魚
  月仰ぎ宇宙への夢語り居て        峯田 政志
   椅子に腰掛け煙草ぷかぷか       星  明子

  健康に役立つ値上げあら不思議      梅田  實
   イケメンコーチ憧れのひと       藤尾  薫
  昨日まで年下好きと言ったじゃない    古賀 直子
   とはいえやはり結婚もせず           祐
  聖護院大根白く洗い上げ             魚
   地獄極楽身酒三昧               志
ナオ
  スーパーのオープンセール人のなみ        明
   立止ってはつきぬお喋り            實
  趣味の会老いらくの恋あちこちで         薫
   ちょっと濃すぎた襟の香水           直
  安保デモ遥かに悼む夏の月            祐
   デスクの電話直すテニオハ           魚
ナウ
  沖をみて龍馬像立つ凛凛しさに          志
   風やわらかに堰の口開け            明
  故郷の花の便りに招かれて            實
   寝坊しながら聞く黄粉鳥            薫


平成22年 10月17日首尾 於関戸公民館


    二十韻「物産展」    膝送り

   秋晴れや物産展の店並び         梅田 實
    篭の茸を照らす宵月          藤尾 薫
   捕まえた閻魔こうろぎ鳴きだして     玉木 祐
    後の正面園長先生           古賀直子

   共稼ぎいつの間にやら日を重ね      星 明子
    思いますます深まって行き          實
   亡き夫の遺品に混じるウイスキー     峯田政志
    さまよう湖に風も光も        おおた六魚
   牛を追う少年かぶる麦藁帽           薫
    お神楽あげてちょと三尺寝          魚
ナオ
   じゃんけんぽんデイサービスのリハビリで    直
    鬼太郎アニメTVのはしり           祐
   初恋の重い荷物をひょいと負い         實
    彼は私のさんたくろーす           直
   山の端を上り来たりて冴える月         志
    大八車がらがらと過ぎ            魚
ナウ
   固唾呑む救出ニュースチリ炭鉱         薫
    彼岸夢見て菩薩に祈る            祐
   ゆったりと花に舟行く橋の影          明
    のどらかに経つ午後のひと時         志


  平成22年10月17日  於聖蹟桜ヶ丘関戸公民館