MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『今宵、212号室で』

2020-08-14 00:58:35 | goo映画レビュー

原題:『Chambre 212』 英題:『On a Magical Night』
監督:クリストフ・オノレ
脚本:クリストフ・オノレ
撮影:レミー・シェヴラン
出演:キアラ・マストロヤンニ/バンジャマン・ビオレ/ヴァンサン・ラコスト/カミーユ・コッタン
2019年/フランス・ルクセンブルク・ベルギー

ファンタジーで問う浮気の原因について

 事の起こりは47歳の妻のマリアが浮気をしたことを50歳の夫のリシャールが知ってしまったことである。口論の後、マリアは家の向かいにあるホテルの212号室を借りて一晩一人で過ごすはずだったが、若い頃のリシャールや母親や過去の14人の浮気相手が現れ、ファンタジー映画の様相を呈する。
 25年の結婚生活の間、リシャールの方は浮気をしていなかったようだが、マリアと結婚するまで10歳年上のピアノ教師のイレーヌと交際しており、リシャールはリシャールでマリアの浮気をきっかけにもしもイレーヌと結婚していたらどうなっていたのかという妄想に悩まされるのだが、その時、イレーヌは二人の間に生まれたという男の子を抱えている。つまりマリアとリシャールの関係がこじれた原因の一つとして2人の間に子供がいないこともあったのかもしれない。
 マリアとリシャールが訪れたレストランが「ローズバッド(Rose Bud)」という名前なのが気になる。「若いうちに青春を楽しめ(Gather ye rosebuds while ye may.)」という諺があるからである。
 シャルル・アズナヴールが1969年にリリースしたシングル「デゾメ」を和訳しておく。本作のメインテーマである。

「Désormais」Charles Aznavour 日本語訳

これからは
もう誰も僕たちが一緒にいるところを見ることはないだろう
これからは
僕の心は
僕たちに見合った世界が時の流れで荒廃して
瓦礫と化した中で生きていくことになる
これからは
もう僕が声を出して「愛している」と言うことはないだろう
これからは
君の影になりたかった僕は
自分自身の影に徹するだろう
君の手と僕の手は離ればなれになってしまったんだ

僕たちが同じ果物を食べ合ったり
同じベッドで眠ることも
同じ態度をとることももう二度とないんだ
僕たちの幸せやそれ以上のことが消え去るのを見て
同じように恐れることももう二度とないんだ
これからは

これからは
僕たちは別々に友人たちと会うだろう
これからは
僕たちはそれぞれの習慣や
僕が僕たちのものだと信じていた言葉を変えるだろう
君は他の男たちの腕の中でその言葉を言うのだから
これからは
僕は閉まったドアを監視するだろう
これからは
僕は孤独の中に閉じこもって
いつも君のことを思い出させる物の中をさまようんだ

僕たちが同じ果物を食べ合ったり
同じベッドで眠ることも
同じ態度をとることももう二度とないんだ
僕たちの幸せやそれ以上のことが消え去るのを見て
同じように恐れることももう二度とないんだ
これからは

もう誰も僕たちが一緒にいるところを見ることはないだろう
もう誰も僕たちが一緒にいるところを見ることはないだろう
もう誰も僕たちが一緒にいるところを見ることはないだろう

Charles Aznavour - Désormais (Audio Officiel)


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「同じ内容」と「コピペ」の... | トップ | 『思い、思われ、ふり、ふられ』 »
最新の画像もっと見る

goo映画レビュー」カテゴリの最新記事