「祈祷師の娘」中脇初枝
宮下奈都さんが薦めているの読んで、急に読みたくなった。
ずっと気になっていた作品。
読んで良かった。
今年最初の紹介作品を、この隠れた名作で始めたい。
中学生の春永が主人公。
親の職業は祈祷師。
しかし、両親も姉の和花も血の繋がりはない。
「家族」とは何か?
「繋がり」とは何か?
・・・もっと読まれて良い作品と思う。
P221
「わたし、なんにもしてあげられない。」
「そんなことない。」
おかあさんの声はどきりとするくらい鋭かった。軽トラックの狭い車内に大きく響いた。
「あんたが一番わかってあげてる。あの子を。あの子の支えはあたしらじゃない。あの子はあたしらなんかよりずばぬけている。乗りこえるためにあたしらがいるだけ。ましてあの子の親はあの子を苦しめてるだけ。あんたが一番」
おかあさんの声は涙がにじんでかすれた。
「あんたは、そういう器をもってる。みんな、あんたに救われてる」
【宮下奈都さんのコメント】
『祈祷師の娘』は「ここが大好き!」と感じる箇所がたくさんある本なんですが、あまり読んだという人を知らなくて。もっと読まれていい本だと思っています。
出典:第109回:宮下奈都さん
【ネット上の紹介】
祈祷師の家に暮らす中学生の春永は、父親とも母親とも血の繋がりがない。実の娘である姉の和花とは違い。自分だけが血が繋がっていないということを自覚し始めた春永は、なんとも言えない所在なさを感じるようになる。複雑な想いを抱えきれなくなった春永はある日、生みの母親を訪ねることに。そこで春永が目にしたあるものとは…。話題作『きみはいい子』で注目を集めている著者による隠れた感動作、待望の文庫化。
【関連作品】
【参考リンク】
小説『きみはいい子』著者・中脇初枝さんインタビュー:その1
小説『きみはいい子』著者・中脇初枝さんインタビュー:その2
小説『きみはいい子』著者・中脇初枝さんインタビュー:その3
小説『きみはいい子』著者・中脇初枝さんインタビュー:その4