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「アローンオンザウォール」アレックス・オノルド/デイヴィッド・ロバーツ

2016年10月15日 21時51分14秒 | 読書(山関係)


「アローンオンザウォール 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡」アレックス・オノルド/デイヴィッド・ロバーツ/堀内瑛司/訳

フリーソロで有名なアレックス・オノルド。
読んでいて、指先から汗が出る。
文字通り、手に汗握る内容だ。
ヨセミテの歴史も語られていて、知識の確認にもなる。
お薦めです。(図書館には入荷しなかったので購入した)
クライマーなら、読んで良かった、と感じるはず。

P18
「ぼくはいつもリスクのことを”実際に墜落する可能性”と呼んでいる。結果とは、実際に落ちたときに起こることだ。つまり、ぼくはソロで登るときのリスクを低く抑えようとしている。もし落ちたら本当に重大な結果になるとしても、落ちる可能性が低くなるようにしているんだ」

P25
ぼくはヨセミテに行った。狙っていたのは二つの名ルート――240メートルの美しい花崗岩の壁、ロストラムのノース・フェース(5.11c)と、ワシントン・コラムにある試金石というべき330メートルのアストロマン(5.11c)だ。
 1987年にピーター・クロフトが両ルートを1日でフリーソロし、クライミング界を震撼させた。それから20年、同じことを成し遂げた者はいない。
(アレックス・オノルドは2007年9月19日、両ルートフリーソロに成功…う~ん、ロープを使ってもRPは困難と思う。なお、ディーン・ポッターも2000年、アストロマンをフリーソロしている、2015年5月16日ベースジャンプに失敗して死亡。合掌…)

P37
「しばらくクライミングをしないこともあるんですか」「もちろん」とぼくは答えた。
「では、例えば1カ月ほどまったく登らずに過ごすことは?」
「それはありえない。1カ月なんて想像もつかないよ。”しばらく”っていうのは3日くらいのことかと思ったんだ」

P46
ぼくはドラッグには生まれてから一度も手を出したことがない。アルコールについては、味見をしてみたことはあるけれど、グラスを飲み干したことはない。コーヒーも飲まない。

P261
ある場所でトミー(コールドウェル)が石を拾ったかと思うと、10センチほどのクラックに嵌め込んでアンカーにした。「前にもこうやって下りたことがあるのか」と訊くと、トミーはぼくを安心させるように言った。「大丈夫、絶対に抜けやしないさ」

【参考リンク】
【PR・動画特集】『ALONE ON THE WALL アローン・オン・ザ・ウォール

アレックス・オノルドのこれまでを綴った自叙伝『ALONE

【おまけ】
しかし、よくこの本を出版したものだ。確かにすごい内容だけど、一般ウケするとは思えない。ただ、何パーセントかの読者には、興奮して唖然とする中身になっている。こいつは、ただ者ではない、と。
訳も自然な感じで良かった。それなりの経験のあるクライマーでないと、この翻訳はできない。

【ネット上の紹介】
ロープなし。落ちたら最後。男はなぜ、極限のフリーソロに挑むのか―クライミング界で今、最も気になる男の「魂」の書。これまでのクライミングの常識を覆し、驚異的なフリーソロの記録を出し続けてきたアレックス・オノルドが半生を振り返り、自らのクライミング哲学を語る。自身も登山家で山岳ノンフィクション作家として知られるデイヴィッド・ロバーツが共著に加わり、極限スポーツのさらなる極限に挑み続ける男の人物像を描き出す。

[目次]
第1章 ムーンライト・バットレス
第2章 独りきりの地獄
第3章 恐怖と愛
第4章 世界を旅する
第5章 ヨセミテ・トリプル
第6章 スピード記録
第7章 アラスカとセンデロ・ルミノソ
第8章 フィッツ・ロイ
第9章 さらなる高みへ 

オノルド,アレックス (オノルド,アレックス)   Honnold,Alex
1985年カリフォルニア州生まれのアメリカ人ロッククライマー。10歳のときにクライミングを始める。カリフォルニア大学バークレー校に入学するも19歳で中退し、車上で暮らしながらクライミングに専念する。ハーネスやロープなど安全確保のための道具を一切使わずに登るフリーソロクライミングで数々の記録を打ち立て世界の注目を集める。2010年に、世界で最も優れたクライマーに贈られるゴールデン・ピトン賞を受賞。2015年には、その年の最も優れたアルパイン・クライミングを顕彰するピオレドール(黄金のピッケル)賞も受賞した

ロバーツ,デイヴィッド (ロバーツ,デイヴィッド)   Roberts,David
1943年生まれ、マサチューセッツ州在住。クライミング関係の著作物が多く、クライマーとしても名高い。特にアラスカではマッキンリー山のウィッカーシャム壁の初登攀を含め、数々の記録を残している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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