Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

北朝鮮で山火事? もし核実験だったら!

2005-05-21 22:01:31 | 国際
北朝鮮で山火事といわれても、これまでだとそれほど関心が湧くことはなかっただろう。だが、昨今、北朝鮮での核実験が取り沙汰されているわけだから、この山火事は放射能が漏れた場合の重要なシミュレーション実験と考えることもできる。

NASAが発表した衛星写真を見ると、核実験で一定量以上の放射能が漏れた場合、日本上空にはすぐにやってくることがわかる。

それにしてもNASAのこの発表は今月3~4日頃だったらしいが、ニュースにするのが遅過ぎるのではないか。


朝日新聞
北朝鮮で山火事か、煙が日本に届く NASAの衛星撮影
2005年05月21日17時39分

 北朝鮮の東岸一帯で広範囲に煙が発生し、日本海を越えて、日本付近まで流れている様子を、米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星「アクア」がとらえた。

 北朝鮮上空の写真は今月3日に撮影。焼き畑によるものが多いようだが、大きな帯状の煙は大規模な山火事が原因だと、NASAはみている。

 日本上空の写真は翌4日の撮影。煙が能登半島から新潟付近まで漂っている様子がわかる。

北朝鮮で発生した煙は能登半島北端から新潟方向にかけて帯状に流れた=NASA提供

北朝鮮の東岸一帯から煙が発生している様子。地上の点は発生場所を着色した=NASA提供


もっと詳しく見るには、次のリンク「NASA提供の映像」をクリックしてください。

なお、写真に見える数多くの赤い点は農業の野焼きと考えられる。しかし、刷毛で描いたように流れる煙は森林火災か、類似の天然火災であろう。

NASA提供の映像(横幅900ピクセル)

NASA提供の映像(横幅2,600ピクセル)


NASA
Fires and Smoke in North Korea

On May 3, 2005, the Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer (MODIS) on NASA’s Aqua satellite captured this image of smoke pouring from dozens of fires (marked in red) in North Korea. These fires could be related to agricultural burning; however, the huge plumes of smoke blowing eastward from some of the coastal fires suggest that those blazes are forest or other wildland fires. Much of the Korean Peninsula’s precipitation falls between June and September during the “wet” monsoon phase. Therefore, these fires are burning at one of the driest times of the year.
Image courtesy Jeff Schmaltz, MODIS Rapid Response Team, NASA-GSFC

対北朝鮮外交、アメリカは手詰まりか?

2005-05-21 17:23:54 | 国際
主権国家論争を脱し、新展開へ?」でも書いたように、アメリカ政府が北朝鮮外交では昨年(2004年)12月4日以来久し振りに「ニューヨーク・チャンネル」を使ったことは、中国政府と韓国政府にインパクトを与えたであろう。両政府はかなり動揺しているのではないか。

問題は北朝鮮の次の手である。北朝鮮は再び「ニューヨーク・チャンネル」を通じてアメリカと接触を試みてくるだろうか。あるいは「ニューヨーク・チャンネル」を黙殺するのか。

ここに核専門家の興味深い見解がある。

産経新聞が伝えるところでは、韓国国防研究院の金泰宇氏は北朝鮮の核実験の可能性について、「北朝鮮に二つの動機がある。第一の動機は、北朝鮮は核保有の野心を、50年間絶やさず燃やし続けてきた国家であること。第二の動機は、金正日政権を維持していこうとする強い意志だ。ブッシュ再選後、北朝鮮はみずからを取り巻く国際環境に強い不安を感じ、その結果、「我々の体制に触れるな」というサインとして「核保有」を表明した。ミサイル輸出や核開発の歴史から見れば、核実験の能力は十分にある」と述べた。

一方、北朝鮮の核戦略について金泰宇氏は、「大国は堂々と核実験をおこない核保有国となってきた。だが、弱小国は国際場裡に核を見せないことが核戦略の基本だ。イスラエルもそうだ。なぜなら、見せた途端、弱小国の核は制裁の対象となるからだ。北朝鮮がそうした基本を踏み外して「核保有」を宣言したのは、金正日政権がいま捨て身で、生きるか死ぬかと考えているからだ。だが、長期的には核保有宣言は自らの体制を脅かすだろう。北朝鮮の核への執着はアヘンと同じで、いまは魅力的だが、今後、対北制裁がおこなわれ、北朝鮮を締め付けるのは間違いない。従って、北朝鮮の崩壊が始まったとみるべきだ」と語った。

金泰宇氏このような見解に基づくなら、北朝鮮は「ニューヨーク・チャンネル」を黙殺すうるのではなかろうか。


毎日新聞
米朝接触: 「6カ国協議への復帰促した」と国務省報道官
2005年5月21日 0時00分

 【ワシントン笠原敏彦】 バウチャー米国務省報道官は19日、米国と北朝鮮の政府当局者が13日にニューヨークで行った実務レベルの接触について、「米国の(北朝鮮に対する)全体的な立場を伝え、6カ国協議への復帰を促した」と説明した。北朝鮮を「主権国家」と認め、攻撃する考えはないという米政府の立場を伝えたことを暗に認めたと言える。接触には、北朝鮮を協議の場に引き出すという当面の目的のほか、外交努力を示すことで協議が崩壊した場合の「他の選択肢」に関係国を結束させたいとの思惑もありそうだ。

 バウチャー報道官は、接触が米国の働きかけによるもので、「特別なことは何もない。さまざまなことが言われる中で、北朝鮮に米国の立場を理解してもらうことが目的だった」と接触の狙いを語った。

 しかし、北朝鮮が寧辺の実験用黒鉛減速炉から使用済み核燃料棒を取り出し、核実験準備情報すら飛び交う中で、米側から接触に乗り出すことは、ブッシュ政権の「脅しには屈しない」という原則に触れ、北朝鮮に譲歩したと受け止められるリスクを伴う。

 それでも、北朝鮮との接触に動いたのは、あくまで6カ国協議での事態打開を目指すブッシュ政権内現実主義派の危機感と、6カ国協議のパートナーである中国、韓国、ロシアから米政府への不満が強まっているからだ。

 デトラニ北朝鮮担当特使は18日、北朝鮮が協議復帰を確約すれば、2国間対話に「極めて柔軟」に応じるとのアメを示した。一方で、北朝鮮があくまで復帰を拒否すれば、「他の選択肢を検討しなければならない」とムチをちらつかせたが、中国はすでに安保理付託に反対を表明するなど、各国をムチで結束させるのは厳しいのが現実だ。

訳詩鑑賞『ルバイヤート』(7)

2005-05-21 00:14:49 | 文学
Edward Fitzgerald "Rubáiyát of Omar Khayyám"
矢野峰人訳 『四行詩集』から





   第十三歌

見よ、花園の薔薇のいふ―

「笑まひつつわれ咲き出づれ、

ただに財嚢かいやぶり

財宝たから惜しまず撒くわれぞ。」


       13

Look to the Rose that blows about us―"Lo,
Laughing," she says, "into the World I blow:
At once the silken Tassel of my Purse
Tear, and its Treasure on the Garden throw."



   第十四歌

世の人々のあくがるる

希望のぞみはむなし、さかゆとも

沙漠の上の雪に似て

しばしかがやきやがて消ゆ。




       14

The Worldly Hope men set their Hearts upon
Turns Ashes―or it prospers; and anon,
Like Snow upon the Desert's dusty Face
Lightning a little Hour or two―is gone.