Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

真意掴めぬ 「陳水扁の言動」

2005-05-13 15:14:26 | 国際
台湾の陳水扁総統は、国民党主席・連戦にはそれほど恐れを抱いてはいなかったように思えるが、親民党主席・宋楚瑜には相当強い恐れを抱いていたのではなかろうか。

なにしろ、李登輝が総統だった当時、宋楚瑜は台湾省の省長というポストにあった。台湾省は中華民国の一行政区画だが、同時に中華人民共和国の一行政区画でもある。宋楚瑜はそのような微妙な地位を利用してさまざまな利権に関与した。

蒋介石、蒋経国という蒋家二代が総統だった時代に蓄積した国民党の莫大な資産は、宋楚瑜の手によっていつの間にかどこかに持ち去られてしまった。宋楚瑜はまさに悪の権化のような存在だった。

陳水扁総統が過去にそういう経歴を持つ宋楚瑜を恐れないはずはなかったが、その男が訪中するとなると、どのようにして首に鎖を付けておくか、陳水扁としては思案の為所だったのではあるまいか。

陳水扁総統は宋楚瑜をわざわざ総統官邸に呼び、何らかが書かれた書面を手渡して、両者は何らかの協定を結んだ。その上で陳水扁は宋楚瑜を中国に旅立たせた格好になった。

けれども、昨日(2005年5月12日)おこなわれた胡錦涛・宋楚瑜会談では、6項目のコミュニケが発表されたそうだ。そこには、かつて準政府機関ベースで口頭のみで交わされた「92共識(92コンセンサス)」が初めて明文化された形にされているといわれる。陳水扁総統としては、野党の立場でそこまでやられては困るのではなかろうか。

訪中する宋楚瑜を官邸に呼んで結んだ協定などについて、何らかの事由で陳水扁は逆手に取られるような事態になっているのではあるまいか。5月12日以降、陳水扁の言動はいささか不可解である。




宋会談訪中の成果


朝日新聞
胡・宋会談、台湾独立反対で一致 対中改善、陳政権に
2005年05月13日00時41分

 中国大陸を訪れた台湾の第2野党、親民党の宋楚瑜(ソン・チュー・ユイ)主席は12日、北京の人民大会堂で中国共産党の胡錦涛(フー・チン・タオ)総書記(国家主席)と会談した。「一つの中国」の原則を中台がそれぞれの立場で認めるとした「92年合意」を確認し、中台双方が早期に対話を再開するよう促すことで合意。台湾の独立や新憲法制定、住民投票など「台湾海峡の平和を破壊する活動」に反対することでも一致した。

 台湾の最大野党、国民党の連戦(リエン・チャン)主席も4月末、訪中して胡氏と60年ぶりの「国共首脳会談」を行い、台湾独立反対や中台の対話再開、経済交流の拡大で合意していた。宋氏は与党・民進党の陳水扁(チェン・ショイ・ピエン)総統と政策合意を結んでおり、自立化路線を進めていた陳政権は、対中関係改善をより強く迫られることになりそうだ。

 宋氏は当初、陳総統から胡主席あてのメッセージを伝えるとみられていたが、会談後の会見では陳総統からメッセージを託されたかどうか、明言しなかった。

 会談後に発表された6項目のコミュニケでは、口頭で交わされた「92年合意」について中台双方の主張を初めて明文化。「(台湾海峡)両岸は一つの中国」との認識に基づいて中台間の平和的な対話を回復させることをうたった。

 また「共同で台湾独立に反対する」としたうえで、台湾の国名化や住民投票、新憲法の制定なども「断固として反対する」とも明記。独立の意思を否定した陳総統の公約を指して「台湾の指導者が約束を守るよう希望する」と主張した。

 陳総統・民進党政権はこれまで「92年合意」の存在を否定していた。


中国情報局
胡錦涛・宋楚瑜会談:両岸関係の認識一致を強調
発信:2005/05/12(木) 17:31:04

 5日から中国大陸を訪問している親民党の宋楚瑜・主席は10日に北京入り。12日現地時間の午後3時すぎから、胡錦涛・中国共産党総書記(国家主席)と会談した。人民網が伝えた。

 両氏の発言のうち公開されたのは、胡・総書記による歓迎の言葉と、宋・主席による謝辞の部分。

 胡・主席はまず、「親民党と共産党が交流と対話を行うことは、両党にとっての大きな出来事であり、台湾海峡をはさんだ両岸関係の発展に必ずや影響を与えるだろう」と述べた。その上で「両岸の平和と両岸同胞の福祉を求める両党の決意を表すものだ」としている。

 また、(先に大陸を訪問した国民党と、親民党のように)「『一つの中国』の原則と、(互いに『中国』という言葉を使いながら、その内容は各自が判断するという)『九二共識』に同調するのならば、共産党は、いかなる人とも、どのような経歴を持つ党とも両岸関係の発展と平和統一の促進について話し合いたい」と述べた。

 これに対して宋・主席はまず、大陸を訪れての感想を「進歩と変化の大きさを実感した」と述べ、「両岸の平和な環境をつくることができれば、両岸の中国人はさらにすばらしいことを成し遂げることができるだろう」とした。さらに、共産党と親民党が「九二共識」を原則とし、「台湾独立反対」の方針で一致していることを強調している。(編集担当:恩田有紀)




陳水扁の言動


中国情報局
陳水扁 「しょせん野党、大陸訪問の効果望めない」
発信:2005/05/13(金) 10:03:56

 台湾の陳水扁・総統は12日夜、地元テレビの取材を受け、中国大陸を訪問した連戦・国民党主席と宋楚瑜・親民党主席について、「訪問によって台湾海峡両岸の距離を縮めるという考えは単純で、その期待は過度だ」「野党はしょせん野党であり、政府の公権力に取って代わることはできない」という趣旨の発言をした。中国新聞社が伝えた。

 また、「与党・民進党の議員ら数名が両岸関係の『密使』となっている」との情報については、「両岸に『密使』はいない」と否定した。(編集担当:恩田有紀)


毎日新聞
台湾総統: 胡総書記と会談の宋氏発言を批判せず
2005年5月13日 1時00分

 【台北・庄司哲也】 台湾の第2野党・親民党の宋楚瑜主席と中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)との会談について、テレビに出演した陳水扁総統は12日、「宋氏は訪中の間、2度台湾の主権を示唆したが、中国側に注意を受けた。会談では主権に触れなかった」と述べた。与党の民進党内は、台湾の主権にこだわっており、この日の会談や宋氏の発言を「台湾の権利を奪うものだ」と非難している。陳氏の煮え切らない態度に、党内圧力が強まる可能性がある。

 台湾側では、会談で宋氏が使った「両岸(中台)は一つの中国」という言葉の解釈も問題となりそうだ。92年合意をもとに使ったが、新たな解釈か、従来の合意の枠内かの見解が分かれるためだ。民進党内は宋氏の「一つの中国」発言について「中国側への投降と同じ」と否定的な見解だ。一方、すでに訪中している最大野党、国民党は会談について「われわれが切り開いた道だ」と肯定的にとらえている。


中国情報局
陳水扁 「台湾人民の同意あれば独立も選択肢」
発信:2005/05/12(木) 10:20:00

 台湾の陳水扁・総統はドイツメディアのインタビューに答え、「2300万人の台湾人民の同意があれば、両岸の統一も独立も選択肢となる」との旨の発言をした。香港メディアの報道を引用して、中国台湾網が11日付で伝えた。

 発言はこれまでの見解を再度強調したもの。また、連戦・国民党主席と宋楚瑜・親民党主席の中国大陸訪問については「大陸側のすべての期待に応え、要求されたすべての条件をのむものだ」と重ねて批判した。

 さらに「両岸問題を解決するのはそれぞれの指導者と政府であり、その他は、ただ見ているだけ、または将棋の駒であるに過ぎない」とし、「両岸の政府が対話、協議を行うことができるのならば、胡錦涛氏と会うことも当然可能だ」と述べた。(編集担当:恩田有紀)


中国情報局
陳水扁: 国共トップ会談の共同声明、一部に不満
発信:2005/05/09(月) 11:46:52

 台湾の陳水扁・総統は、胡錦涛・国家主席と連戦・国民党主席の共同声明について、「台湾当局が賛成できず、納得いかない部分がある」と指摘。

 しかし同時に、「連・主席の大陸訪問を禁止するいかなる法律も存在しない。これは、個人の言論の自由であり、当局は連・主席の身柄を拘束することはできない」と述べた。「納得いかない部分」が具体的にどの部分を指すのかは明らかになっていない。8日付で中国新聞社が伝えた。

 陳・総統は、「連・主席の大陸訪問に対する私の態度が、二転三転していると指摘する声もあるが、それは誤解だ。都合のいいように解釈している」と強調。

 さらに、「大陸訪問前に、連・主席と電話会談した際、連・主席は今回の大陸訪問について、個人そして民間レベルのものであり、公権力には及ばないことを誓った」などと述べた。(編集担当:田村まどか)

米ミサイル防衛網、日本は裸ではないか!

2005-05-13 14:22:27 | 国際
北朝鮮の核弾頭搭載弾道ミサイルの脅威が現実化しつつある中、アメリカ軍のミサイル防衛システムの運用に関して、アメリカ上院の公聴会が開かれた。

その席上でカートライト戦略軍司令官は、ハワイやアラスカが狙われたとして、「行き先など脅威の性質を見極めるのに3~4分、撃墜するかどうかの判断を次の3~5分でする必要があると説明。双方を合わせて「重大な決断をするのは7分前後になる」と述べた。

このような短時間に対処するには、敵ミサイルの撃墜権限をハワイを所管する太平洋軍司令官か、アラスカを所管する北方軍司令官(コロラド州在勤)に委ねざるを得ないとした。

発射7分前後で決断するとしても、日本上空での撃墜がぎりぎりであり、あるいは間に合わないかもしれないと思われる。しかも、撃墜権限を各地域軍の司令官に委ねるというなら、その権限は厳しく制限されるから、当然、日本本土に向けたミサイルの撃墜権限はそこから抜け落ちてしまうだろう。

北朝鮮からのミサイル攻撃に関しては、日米安全保障条約のシステムによる我国防衛はそもそも機能しないのではないか。我国ではこれらの事実がどこまで正しく認識されているのか。



朝日新聞
撃墜決断は7分 北朝鮮の弾道ミサイル攻撃で米司令官
2005年05月12日11時00分

 大量破壊兵器による攻撃への対処やミサイル防衛(MD)の作戦・運用を担当する米戦略軍のカートライト司令官は11日、米上院公聴会で証言し、北朝鮮から米国に弾道ミサイルが発射された場合、撃墜するかどうかの決断を約7分以内にする必要があることを明らかにした。決断に当たっては大統領または国防長官の直接の了承を得る余裕がないことから、太平洋軍などの地域司令官に判断の権限をゆだねる方針を示した。

 カートライト司令官は、国防総省が研究開発と運用を同時に進めているミサイル防衛システムのなかで北朝鮮が2~5発のミサイルを米国に発射する「限定的な脅威」への対処システムにふれた。米本土より北朝鮮との距離が近いハワイやアラスカに到達するケースを想定した場合、行き先など脅威の性質を見極めるのに3~4分、撃墜するかどうかの判断を次の3~5分でする必要があると説明。双方を合わせて「重大な決断をするのは7分前後になる」と述べた。米本土をねらった場合、数分長くなる程度とみられる。

 撃墜の許可に当たって大統領、国防長官、または太平洋軍司令官らと数分以内に会話し、了承を得るのは現時点では極めて困難なため、決断のルールなどについてラムズフェルド国防長官、ミサイル防衛局(MDA)のオベリング局長らと協議を始めた。同司令官によると現時点では、行き先など脅威を分析し、撃墜のための武器を使用する権限をハワイの太平洋軍、またはコロラド州にある北方軍の司令官にゆだねて対処する方針だという。

 米議会では、米国防総省の情報部門のトップ、ジャコビー国防情報局長が先月末、米本土に到達可能な弾道ミサイルの弾頭に核兵器を搭載する能力があるとの見方を明らかにしたことを受け、北朝鮮による米本土への核攻撃を想定した議論が高まっている。


讀賣新聞
北朝鮮のミサイル攻撃、迎撃決断は7分で…米軍司令官
2005年5月12日 21:42

 【ワシントン=伊藤俊行】戦略核やミサイル防衛網を運用する米戦略軍のジェームズ・カートライト司令官は11日、上院歳出委員会の国防小委員会で証言し、北朝鮮の長距離弾道ミサイルがアラスカ州やハワイ州を標的にした場合、迎撃の決断をするまでの時間は約7分だと指摘、この時間内に大統領や国防長官、軍司令官と対応を協議するのは困難だとして、意思決定のルール作りを急いでいることを強調した。

 また、2004年に始まった実戦配備では、アラスカ州の米軍基地フォートグリーリーに6基の迎撃ミサイルが設置されるなどしたが、この初期配備についてカートライト司令官は、「限定的な脅威に対する基本的な備えで、その脅威とは北朝鮮から飛来する2~5発の弾道ミサイルだった」と述べた。そのうえで、運用開始に向けた兵士の訓練が続く現状でも、「緊急事態があれば対処できる」と強調、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃に対応できるとの考えを示した。フォートグリーリー基地では、年内に迎撃ミサイルを16基態勢にする予定だ。