Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

閔妃虐殺事件、明治天皇の責任糾明?

2005-05-11 20:10:28 | 国際
「明成皇后」とは李朝26代高宗の王妃で、日本史では「閔妃」と呼ばれている。つまり、韓国史における「明成皇后殺害事件(1895)」とは日本史における「閔妃虐殺事件(1895)」のことだ。

次に示した韓国紙「中央日報」の報道は、閔妃虐殺事件発生の2ヵ月後、当時駐韓していた日本領事から宮内省侍従長を経て事件の詳細が明治天皇に報告されていたにも拘らず、明治天皇は犯行責任者たちが免訴釈放されるのを黙認したことが明らかになったという韓国研究者の研究業績を紹介しているのである。

こういうことは明らかに「日帝強占下反民族行為真相究明特別法」や「過去史整理基本法」などという昨今の韓国での反日運動を盛り立てようとするお先棒担ぎなのではあるまいか。

当時、事件の経緯は当然明治天皇にまで報告されていただろう。だが、不完全とはいえ日本の司法は既に立派に独立していたのだ。明治天皇にまで糾明の矛先を向けようとするのが彼ら韓国人の陰険な意図だとしたら、私たちはもはや身構えて掛らなければ対抗し切れないのではなかろうかとさえと思う。

もっとも、「こういうのが韓国社会特有の未熟さだね!」と哄笑することもできるが...。


中央日報
明成皇后殺害、天皇陛下に報告されていた
2005年5月11日 14:49:06

明成(ミョンソン)皇后殺害事件が天皇陛下に報告にされていたという事実を示す文書が10日、ソウル大学イ・テジン教授(62、国史学)により初公開された。

イ教授は「当時、京城(現在のソウル)駐在日本一等領事内田定槌氏が殺害事件発生後、2カ月過ぎた1895年12月21日に報告書を作成した」とし「報告書は次官と大臣が決済した後、1896年1月11日、宮内省侍従長(秘書室長)を通じて天皇陛下に伝達された」と明らかにした。

また「天皇陛下に報告書が上奏されたにもかかわらず、その後に下された判決は全員無罪であった。事件の真相を知っている天皇陛下が殺人犯に対する無罪判決を黙認したと見るべきだ」と主張している。


閔妃虐殺事件とは、1895年、日本公使三浦梧楼の指揮の下で、日本軍の軍人と大陸浪人の手で高宗王妃の閔妃が殺害された事件である。

三国干渉を契機として復活した閔氏政権の排日政策に対抗し、勢力恐回を図ろうとした三浦梧楼公使は、1895年10月8日早朝、ソウル駐在の日本軍守備隊および、岡本柳之助、安達謙蔵ら、日本人壮士のグループに命じ、景福宮を襲撃させた。

宮殿内に乱入した彼らは、閔妃を斬殺し、死体を奥庭に引きずり出し、凌辱した上、石油をかけて焼き払い、同時に大院君を担ぎ出し、金弘集を首班とする親日開化派政権を成立させた。

三浦は朝鮮軍隊の内紛を装ったが、王宮内部にいた外国人の目撃などから、国際的な非難を浴びた。そこで日本政府は、三浦以下48名を召喚し、形ばかりの裁判をおこない、翌年1月、証拠不十分として全員を免訴・釈放した。

三浦梧楼(1846-1926)は維新元勲のひとりで、当時は貴族院議員でもあったが、以後、官を辞して政界に入り、やがて政党政治の重鎮をなすようになった。1910年には枢密院顧問官にも就任し、政界における黒幕的存在として護憲三派内閣の成立などに奔走した。

岡本柳之助(1852-1912)は、竹橋事件(1878)に際し大隊長として責任をとり免官となった元軍人である。釈放後は大陸浪人として暮し、辛亥革命に際し上海に渡り、彼地で客死した。

安達謙蔵(1864-1948)は、免訴後、政党人として活躍し、1925年加藤高明内閣の逓相、1929年浜口雄幸内閣、1931年第2次若槻礼次郎内閣の内相を歴任した。1931年満州事変が起ると挙国一致を唱え、協力内閣運動を起して政党政治崩壊の一因となった。1940年には大政翼賛会に参加した。

日韓両国における歴史認識の違いを論ずるなら、閔妃虐殺事件は重要テーマのひとつであり、触れないわけにはいかない。しかしながら、閔妃事件を強引に明治天皇の責任追及にまで結びつけようとする韓国社会の風潮は、「反日」というドグマに衝動されて動いているとしかいえないと思う。

日韓各紙社説から見た北の核実験

2005-05-11 18:28:04 | 国際
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、2005年5月10日付で初めて自国の地下核実権問題に触れたようだ。しかし、その語り口はアメリカを虚仮にするものだった。


朝日新聞
北朝鮮、「地下核実験説」に初めて言及 実施には触れず
2005年05月10日18時59分

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は10日、核問題をめぐる6者協議に関する論評で、「米国は、我が国が6月に地下核実験を行うかも知れないとの自分なりの見解を国際原子力機関(IAEA)や日本など関係国に通報して騒いでいる」と報じ、米国の姿勢を批判した。北朝鮮メディアが、最近米国などで報じられる「地下核実験説」に言及したのは初めて。だが、実験が実施されるかどうかには触れていない。朝鮮中央通信が伝えた。

 論評は「ブッシュ(米大統領)の集団は我が国をあくまでも核の犯人に仕立て、国連で集団的制裁の対象にし、圧殺しようとする本心を露骨に示している」とし、「我が国は『圧制の拠点』という汚名を着たまま(6者)協議に臨むことはできない」と主張した。


我国の大手全国紙、「朝日新聞」、「毎日新聞」、「讀賣新聞」の社説は、いまだ北朝鮮の核実験問題を取り上げていないが、「労働新聞」の記事を受けて、「日本経済新聞」が初めて「北朝鮮の核実験を許すな」という社説を掲げた。しかしながら、その社説の内容たるや、「核実験を断固許さないとの毅然(きぜん)たる対応をとれ」と言っているだけで具体性に乏しい。

一方、韓国紙では「朝鮮日報」が2005年5月11日付で「北核脅威のなかの「奇妙な平穏」」という社説を掲げた。これもボヤきというしか言いようのない社説だった。

まあ、金正日にかかっては各紙とも社説の書きようがないのかもしれない。ジャーナリストの常識を超えているのが金正日の毎度のやり口なのだから...。


日本経済新聞社説
北朝鮮の核実験を許すな
2005年5月11日

 北朝鮮が核実験の準備を進めているとの情報が広がり、国際社会が警戒を強めている。実験の可能性をちらつかせて米国に直接交渉を求めるいつもの瀬戸際政策との見方が多い一方、米国が応じない場合は本当に実験に踏み切り、核保有国としての認知を国際社会に迫るのではないか、との観測もある。

 米国が6カ国協議の再開期限とする6月にかけて米朝の駆け引きが本格化するだろうが、北朝鮮に核実験を許してはならない。日米韓、中ロの5カ国は北朝鮮が核実験を行った場合の制裁強化にむけて結束すべきだ。また米国は6カ国協議の枠組みを維持する一方で、北朝鮮の求める米朝二国間協議の場を併設するなどして、北朝鮮を交渉の場に引きずり出す必要がある。

 北朝鮮は昨年6月の第3回6カ国協議を最後に協議再開を拒み、2月10日に「核兵器の保有と6カ国協議への参加の無期限中断」を宣言した。米国政府はその後、北朝鮮の咸鏡北道吉州で地下核実験の準備とみられる作業が進んでいることを偵察衛星を通じて把握した。

 作業の進行状況をみて、4月後半には日中韓など関係国に実験の可能性を通告。今月4日にはローレス米国防副次官が「北朝鮮がいつ核実験をしても驚かない」と発言するなど、北朝鮮の核実験情報がにわかに現実味を帯びてきた。

 10日付の北朝鮮紙「労働新聞」は、「米国はわが国が6月に地下核実験を行うかもしれないとの勝手な見解を関係国に通報するなどして騒いでいる」と論評したが、その可能性を否定も肯定もしていない。

 金正日総書記の狙いは、地下核実験の準備を進めていることを偵察衛星を通じて米国に知らしめ、これをカードに米国との不可侵協定締結を求めることにある。米国が応じなければ、国際社会の制裁覚悟で実験に踏み切り、核保有国としての立場から対米交渉を求めるという“二段構え”の戦略とみることもできる。

 来月にかけてこのための米朝の駆け引きが先鋭化することが予想される。北朝鮮の最大支援国である中国や韓国が核実験を断固許さないとの毅然(きぜん)たる対応をとるか否かが、状況を大きく左右しそうだ。


朝鮮日報社説
北核脅威のなかの「奇妙な平穏」
2005年5月10日 19:55

 北朝鮮の核問題が切羽詰った状況にある。核実験実施を予告したり、推定する関連国家責任者の発言と外信報道が相次いでいる。

 北朝鮮発の核爆発の地震波と“政治波”が、いつ韓半島や北東アジアを揺るがしてもおかしくない状況だ。北朝鮮の核実験を防ぐための関連国の最後の試みと協議も急がれている。緊迫した状況だ。

 しかし、理解に苦しむのは、北朝鮮の核にもっとも近く、北朝鮮の潜在的なターゲットでもある大韓民国の平穏だ。

 「北朝鮮が核兵器の保有を狙うことも、北朝鮮の立場からすれば一理ある」と述べてきた現政権の平穏はさておき、国民のこの平穏はいかに説明すればよいのか戸惑いを覚える。

 北朝鮮が核実験に乗り出す場合、放射能降下物と政治的降下物は、韓半島に降り注ぐだろう。米朝の対決は秒読みの段階に入り、証券市場の外資は直ちに流出されるだろう。韓半島全体が予断を許さぬ政治、経済的パニック状態に陥ることは火を見るより明らかだ。

 もちろん、危機が来るとして、過度に慌てることは状況をさらに悪化させるという懸念はある。しかし、危機にき然として対処することと危機そのものを感じないことはまったく異なる問題だ。

 現在、韓国国民は危機を認識しながら、き然と対処しているのか。それとも「まさか」と思い、楽観論に陶酔しているのか。北朝鮮の核という言葉が10年以上も取り沙汰されながら、われわれは核に対する感覚が鈍ってしまった。

 しかし、それだけではない。「北朝鮮の核問題は解決されるはず」とか「金正日(キム・ジョンイル)総書記は合理的な指導者」といった政府高官らの繰り返される発言が、われわれが自分でも気づかないうちに「まさか」を信じるよう煽り立てたことも否定できない。

 しかも、核をめぐる国際政治の冷酷かつ厳しい論理に気づかず、「北朝鮮が核兵器を保有したとして、何が問題だ」といった誤った民族感情まで加わっているとすれば、05年の大韓民国の平穏は危険極まりない平穏だと言わざるを得ない。

 懸念される点は、国民が今のように北朝鮮の核問題の展開について警戒を緩め、すべてを「まさか」と思い込んでいたところ、結局、核問題が現実化した場合、取り返しのつかない状況を迎えるかもしれないという事実だ。

 今や政府は事実をそのまま国民に知らせるべきだ。国民も知るべきことは知るべきであり、それでこそ、備えることもできるのだ。政府は国民がそうするよう自分の位置で役目を果たすべきだ。


東亜日報社説
北朝鮮核問題の重大局面、国民も実態を知らなければならない
2005年5月4日 23:14

潘基文(バン・ギムン)外交通商部長官は定例会見で、「北朝鮮の核問題の平和的かつ外交的解決過程が重大局面を迎えている」と述べ、「あらゆる可能性を念頭に置いて対策を講じている」ことを明らかにした。状況がどのように動いたために、外交部長官が「重大局面」という言葉まで述べるに至ったのか不安である。

北朝鮮の再三の6カ国協議の拒否で、米国がついに会談をあきらめ、北朝鮮核問題を国連安保理に付託することを決めたということか、それよりも力強い対北経済制裁や海上封鎖などを考慮しているということなのか、政府は国民の前に明らかにしなければならない。

政府は、第3回6カ国協議の決裂以来1年近くを「6カ国協議再開の可能性」にのみエネルギーを消耗し、他の代案については、「北朝鮮を刺激する」という理由で取り上げることすらしなかった。今年に入って、北朝鮮の核保有宣言、原子炉稼動中断、短距離ミサイル発射などが続いたが、たった1度の遺憾表明すらしなかった。そうして今になって「重大局面」と言っては、国民が何の心配もせずにいられるだろうか。

潘長官の「重大局面」の表明は、遅きに失したというのが我々の判断である。ジェセフ・デトラニ米対北交渉担当大使は昨日、「米朝関係正常化のためには、核問題はもとより、人権、弾道ミサイル、麻薬密売などの北朝鮮のすべての犯罪行為が解決されなければならない」と宣言した。「核問題さえ解決されれば、関係を正常化することもできる」と言っていた従来の方針からかなりの変化を見せたのだ。この言葉は、すなわち現在の金正日(キム・ジョンイル)政権とは関係の正常化をしないという話のように聞こえる。

状況がこのように深刻化するだけに、政府は最悪の事態に備えなければならない。6カ国協議が不発に終わり、北朝鮮核問題が安保理に付託されればどうするのか、開城(ケソン)工団を含む対北経済協力事業は続けるのか、北朝鮮が核実験を強行する場合にはどうするのか、韓米協力は心配しなくてもいいのか、などについて説明と対策がなければならない。

北朝鮮核問題をめぐる韓半島状況は、もはや国民が願おうと願わずとも、「実際状況」に突入しつつある。

盧武鉉大統領への疑惑

2005-05-11 11:32:44 | 国際
盧武鉉・韓国大統領が金大中前大統領の「太陽政策」を継承していることは当然だろうが、このところ、金大中の敷いた路線を更に北に向けて大きく逸脱した様相を見せており、盧武鉉とはいったい何者なのか? あるいは更に、盧政権はもはや金正日の傀儡か? とすら思わせるようになってきたようだ。

そこで思い出すのは、「韓昇助・西岡力対談(『正論』3月号)の中に、次のような驚くべき指摘があったことである。(下に抜粋コピーを掲げた)

まず、この対談で韓昇助氏は、「盧武鉉は貧困家庭に育ち、高校しか出ていなかったにもかかわらず、あるときから突然司法試験の勉強に専念できるようになった。これは誰かから資金援助を受けていたからだろうが、その誰かというのは北朝鮮に繋がっていたのではなかろうか」という意味の発言をしている。

また、盧武鉉の妻の父親は南朝鮮労働党(南労党)の幹部だった人物で、朝鮮戦争で釜山以外の韓国全土が北朝鮮に占領されたとき、盧武鉉の義父は処刑すべき人間を指名し、11人を虐殺したという事実を西岡力氏が紹介している。韓昇助氏もこのことを肯定しているから、韓国ではよく知られている事実なのだろう。韓昇助氏は、「(盧武鉉の)義父の虐殺についてのビデオ、DVDがあるのですが、その制作者が逮捕されてしまいました」という発言もしている。

そこで、私自身の推測を述べることにしよう。

私の推測とはつまりこういうものだ。

若き日の盧武鉉は、釜山商業高校を卒業後、しばらくして兵役(1968~1971)に就いた。除隊後1年半ほど経った1973年1月、彼は同郷の権良淑と結婚した。結婚後、彼は職業に就かず、司法試験の勉強を始めた。つまり、彼が司法試験の勉強に専念することができたのは、妻の実家からの資金援助があったからだ。前述のように妻の父親は南労党幹部だったから、この援助資金の源泉は北朝鮮の息の掛ったものだった可能性が高い。

突拍子もない推測だと言われればそれまでだが、このような推測が頭の片隅に少しでもあるなら、もはや盧武鉉に対する疑惑を払拭することはできなくなる。隣国の元首である盧武鉉にこんな眼差しを向けなければならないとは大変困ったことではあるが...。しかし、韓国の現実とはぴったりでもあるのだ。

北朝鮮からの資金で弁護士になることができ、人権派弁護士としての活躍を足場にして政治家を志すことができ、そして遂には大統領にまで上りつめたわけである。だとしたら、若かった頃受けた北朝鮮からの支援への恩義を忘れることはできないだろう。しかしながら、いまのところ、拠り所の乏しい私の推測は、ここあたりまでで止めておくのが無難かと思う。しかし、疑惑は疑惑として抱き続けなければならない。

盧武鉉権良淑


なお、次に示すリンク「盧武鉉・韓国大統領の人生歴程」は「青瓦台」、つまり韓国大統領官邸公式サイトからコピーしてきたものである。語られていないことがあまりにも多いと思われるけれども、そこは大統領府公式サイト「青瓦台」という舞台だからやむを得ないだろう。虚偽記載が含まれていることはなさそうだ。


盧武鉉・韓国大統領の人生歴程



韓昇助・西岡力対談」 から抜粋
 盧大統領は北朝鮮のエージェントではないけれども、金正日や金正日支持勢力から使う価値があると見られたのではないかと推測しています。左派革新勢力が前大統領の金大中の後継者を選ぶ段階では、盧武鉉という人は実績もなく知名度も低かったんですよ。

西岡 日本でいうと盧大統領は、社民党の辻元清美・元衆議院議員に似たタイプの政治家です。国会で全斗煥前大統領らを激しいことばで糾弾し、ついにはものを投げつけるまでして、それがテレビに繰り返し放映され、人気が上がった。

 盧大統領の当選を後押ししたのは、「ノサモ(「盧武鉉を愛する人の集い」の略称)」と呼ばれる若い支持グループのインターネットや携帯電話を使った集票活動でした。そのノサモの核心層は、運動圏(学生運動、労働運動グループ)の中でも最も過激で、北朝鮮の主体思想を信奉する主思派です。彼らは盧武鉉を左派の統一候補とするという意図的な計画、北朝鮮または北と直接通じる勢力の戦略に基づいて動いたのだと思います。共産主義には自由な行動などなく、すべてが計画されて、指導層の指令によって動くからです。

西岡 日本で言えば厚生大臣に当たる金槿泰・現保健福祉部長官が当時、大統領選出馬に名乗りを上げていたけれども取り止めました。実は金長官は国会でブッシュ大統領を「悪の化身」と攻撃した反米親金正日派です。北朝鮮とつながっている疑いがあるという説すらもソウルの政界では流れている。七〇年代から学生運動、いや正確に言うと「職業的革命家」であって何回か投獄経験がある。そして彼の身内が北朝鮮にいるといいます。金長官は不正な政治資金をもらっていたとして自ら選挙から降りましたけれど、誰かの意図にそって左翼の票を盧大統領に集めたのだと思います。

 金正日は金長官を大事にしているはずです。これに対して元来職業的革命家ではなかった盧武鉉は勝てばもうけものだし、負けても惜しくない。彼は弁護士で、ヨットに乗って日本に遊びに来るようなブルジョア的な生活をしていました。その後人権弁護士になりましたが、マルクス主義を体系的に勉強したことも組織活動をしたこともなく、本当の職業的革命家ではありません。しかし、大衆へのアピール力があって当選してしまった。こういう流れだと思います。

 左翼運動で盧大統領とは比較にならない経験を積んでいる金長官がなぜ譲歩したのか。金長官は過去の左翼運動歴があまりにも有名で、投獄されたことも知られています。それに比べて左翼運動歴のない盧武鉉のほうが幅広い支持を得られると考えられた可能性がある。

 盧大統領は経済的に恵まれない家庭の出身で、本来なら司法試験の勉強に専念する時間も経済的余裕もありませんでした。だから、誰かにサポートを受けて司法試験の勉強をしていたのです。金日成が側近や幹部に伝えた政策伝言集「秘密教示」には、「南朝鮮(韓国)では高等試験に合格さえすれば行政府、司法府にいくらでももぐり込むことができる。頭がよくてしっかりしている子らはデモに駆り出さず、高試準備をするようにしなさい」(一九七三年四月)という指示があり、それに従って、北と通じる勢力が生活費の面倒をみて勉強させた可能性もあります。そうなら、盧大統領には北に忠誠を尽くす義務があることになります。

西岡 北につながる勢力が大統領候補に盧武鉉を選んだとするなら、その理由には、北朝鮮でいう「成分」がよいということもあると思います。大統領夫人の父親が南労党(日本による統治終了後、韓半島南地域で活動した共産主義政党)幹部なんです。そして朝鮮戦争で釜山一帯を除く朝鮮半島の全土が北朝鮮に支配され、各地で地主や名士らいわゆる「反動分子」が処刑された際、この義父も処刑する人間を指名して十一人を虐殺したんです。

 もちろん韓国は自由民主主義国家ですから、家族連座制のある北朝鮮のように盧武鉉が大統領になる資格はないというつもりはありません。しかし、盧武鉉は大統領候補に選ばれたとき義父の墓参りには行きながら、義父が虐殺した十一人の墓参りに行ったり遺族に慰労の言葉をかけたりはしなかった。そのことを批判されると、「また私を左翼だとレッテルをはっている。妻と別れればいいのか。妻のことを愛しているんだ」と強弁した。それがまた若い人たちから拍手を浴びたんですが、結局、義父の大韓民国を転覆させようとした行動を一切批判しませんでした。「義父と自分の思想は違う」という弁明もしていません。

 つまり革命のために、「反動分子」が粛清されることを否定していない。ということは、極端な言い方をすれば韓国が再び北朝鮮軍に占領され赤化統一されたら義父と同じことをやる可能性すら皆無ではないということです。だから、北から見れは大変望ましい大統領候補と評価されるに十分な資格があった。

 義父の虐殺についてのビデオ、DVDがあるのですが、その制作者が逮捕されてしまいました。

西岡 韓国の若手保守派が、インターネットの世界で我が物顔をしていた左派勢力に対抗していこうと、「インターネット独立新聞」を運営しています。三十代の若い人たちで、スポンサーもほとんどなく手弁当で活動していて、盧大統領の義父のビデオやDVDを制作したのは「インターネット独立新聞」の代表ですが、十六年十二月上旬にソウル市内で野外放映集会を開く計画をしていたら逮捕されてしまったんですね。

 直接の逮捕理由は、十月のソウル市役所前での二十万人集会後のデモ行進の際に警察と小競り合いになったことです。事前の交渉で警察は短い距離の行進を許可していたらしいのですが、その場になってだめだと規制したので集会参加者と揉めたんです。彼はその先頭に立っていました。そして、その時は収まっていたのに、ビデオ放映集会の計画が広まったら逮捕されてしまった。集会責任者は逮捕されておらず、これは別件逮捕による言論弾圧だと保守派から強い非難が出ています。


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ノサモ

英語表記; nosamo
ハングル表記; 노사모
韓国における漢字表記; 盧思慕(注;当て字)
片仮名表記; ノサモ

ノサモとは、大韓民国の大統領、盧武鉉の支持団体の名称。ウェブサイト「NOSAMO

「ノサモ」とは盧武鉉を支持する勝手連的なインターネットを中心に組織した集団「ノムヒョヌル・サランハヌン・モイム」(盧武鉉を愛する集まり)の頭文字を取った略称。大統領候補ですらなかった2000年に、地域対立解消を掲げながらも国会議員選挙で落選を喫した盧武鉉に共感した支持者によって結成された。これは韓国の政治家として始めてのインターネット上のファンクラブであった。後に、大統領候補の党内予備選でも苦戦を強いられていた盧武鉉がじわじわ支持を拡大するにつれ、ノサモも注目を集めた。

2002年の第16代大統領選挙ではこの「ノサモ」による活動が大きく影響したといわれる。立候補表明していた鄭夢準との候補一本化は世論調査を通じて行われたが、僅差で競り合う鄭夢準との差を決定付けたのは「ノサモ」による市民への呼びかけであったとする分析もある。また投票日前日に鄭夢準は盧武鉉への支持を撤回したが、そのダメージを撥ね退けたのも、やはりノサモの投票呼びかけであったといわれる。

このようにインターネット時代の新しい形の選挙活動として注目されたが、半透明プラスチック製の豚型貯金箱を市民から募るカンパが選挙違反にも問われたこともある。

インターネットを使う386世代と呼ばれる「30代 の80年代大学卒業 60年代生まれ」、及びさらに若い層が構成員の中心であり、対立する陣営から盧武鉉の紅衛兵と手厳しく批判された。

ただし、ウェブを用いた支持獲得法自体は対立陣営からも注目を集め、第16代大統領選挙では対立候補の李会昌陣営も「チャンサラン」という同様のコンセプトのウェブサイトを開設した。この流れは後にハンナラ党党首となった朴槿恵の支持団体、「サランヘ」に受け継がれている。

死の灰が降ると株価大暴落???

2005-05-11 01:08:06 | 国際
産経新聞にワシントンポストの記事が「北核実験なら「死の灰で東京、ソウルの市場混乱」CIA元高官」という見出しで紹介されていたので、元の記事( Washington Post )を読んでみた。日付はちょっと古くて2005年5月6日付、David Ignatius のコラムであった。

英文の当該記事を読んでみると、この記事がいわんとしていることは産経新聞が紹介する放射性物質が外部に放出され、東京やソウルの市場は大混乱に陥る」ということにあるのではなく、次の箇所にあることがわかった。

産経新聞の紹介内容とはかなり力点が違っている。確かに東京の金融市場のことなども書いてはあるが、産経新聞のような記事だと疑問符を三つも付けたくなってしまう。

つまり、CIAの元高官は金正日の行動分析をしているのである。


Kim Jong Il is often seen as a reckless madman, as in President Bush's description of him last week as a "tyrant" and "dangerous person" who "starves his own people" and has "huge concentration camps."

But Brown argues that however brutal Kim's policies are, he has pursued what in his context is a rational course.

"Kim sees only two options -- Baghdad or Islamabad," says Brown.

In other words, he can wait for an American attack or he can move quickly to show his nuclear cards -- hoping he can then bargain for a deal that ensures his regime's survival.

In Brown's view, "the chance that Kim Jong Il will negotiate away his nuclear option is close to zero."



産経新聞
北核実験なら「死の灰で東京、ソウルの市場混乱」CIA元高官
2005年5月10日 05:37

 【ワシントン=近藤豊和】米紙、ワシントン・ポストは、米中央情報局(CIA)の元高官が米主要企業を対象に、北朝鮮が核実験を強行した場合の最悪のシナリオとして、「放射性物質が外部に放出され、東京やソウルの市場は大混乱に陥る」などと説明していた、と伝えた。

 6日付同紙によると、この元高官は、昨年末に東アジア部門責任者でCIAを退職、現在、コンサルティング会社、コントロールリスクグループの上級副社長を務めるアーサー・ブラウン氏。

 機密情報に基づく同氏の分析によると、最悪の場合、北朝鮮の核実験施設は、「死の灰」である放射性物質の放出を防ぐ十分な措置が取られていないため、同物質が漏出して風に乗り日本まで到達する可能性がある。

 その結果、東京やソウルの株式市場などは大暴落を引き起こし、特にソウルに進出している外国企業は撤退か規模縮小を迫られることになる。

 ブラウン氏はまた、「金正日(総書記)は核クラブ入りを最終目標にしており、すぐに核兵器実験を行うと確信している」と断言している。【2005/05/10 東京朝刊から】


Washington Post
Pyongyang's Bomb

By David Ignatius

Friday, May 6, 2005; Page A23

Here's a chilling scenario from the CIA's former top Asia hand: Within a year, North Korea is likely to test a nuclear weapon, probably in a cave or mine shaft somewhere in the barren northeast of the country.

A small amount of radioactive fallout will leak from the test site and drift toward Japan. Financial markets in Tokyo and Seoul will be rocked by the news. Foreign companies in South Korea will weigh whether to pull out dependents or reduce their operations. And Washington will debate whether to impose a blockade or other tough measures to contain the North Korean nuclear breakout.

That's the essence of a briefing being given to some major U.S. companies by Arthur Brown, who retired in December as chief of the East Asia division of the CIA's clandestine service. He's now a senior vice president for the consulting firm Control Risks Group. He says the briefing is based entirely on unclassified material. It mirrors concerns in intelligence circles.

Brown argues that the North Korean test is the next step in a nuclear weapons program that has been underway for nearly 50 years. The country is already a "declared" nuclear state after announcing this year that it has weapons. It wants to become a "recognized" nuclear state, like China, India or Pakistan. But to achieve that status, it must first make itself a "demonstrated" power by conducting a nuclear test. Or so goes Brown's analysis.

Pyongyang's nuclear efforts began in 1956, just three years after the end of the Korean War, when the country signed an agreement with the Soviet Union to train nuclear scientists; the Soviets helped build North Korea's first reactor in 1965. In 1974 the North Koreans added a nuclear training agreement with China. They built a second small reactor in 1986 at Yongbyon, and the United States detected a third, larger reactor there in 1989; these reactors could enrich plutonium fuel rods to the levels necessary to make a bomb. The North Koreans agreed to freeze their plutonium program in 1994, and they put 8,000 fuel rods at Yongbyon under seal. But they continued covertly along another bomb-making route, using highly enriched uranium created in special centrifuges apparently obtained from Pakistan.

What convinces Brown that North Korea will soon test a weapon is that the country's leader, Kim Jong Il, has been increasingly open about his goal of joining the nuclear club. When the United States found evidence of the covert uranium enrichment program in 2002, the North made no effort to deny it -- and promptly resumed reprocessing the plutonium fuel rods as well. In October 2003 North Korea warned that it was "willing to physically display nuclear capability," its code phrase for testing. Last year a senior official said his country "needs nuclear weapons for self-defense." And in February the North Koreans announced that they "have manufactured nuclear weapons and will retain them under any circumstances."

A model for the coming nuclear test, says Brown, was North Korea's 1998 test-firing of a three-stage Taepodong-1 missile over Japan and into the Pacific. That test was announced by the North Korean news agency, just as Brown expects the coming nuclear test will be. And North Korea hasn't made any effort to deny last week's statement by Vice Admiral Lowell E. Jacoby, head of the Defense Intelligence Agency, that it now has the technology to produce an actual warhead that could fit atop missiles which, by U.S. intelligence estimates, could reach parts of the United States.

Kim Jong Il is often seen as a reckless madman, as in President Bush's description of him last week as a "tyrant" and "dangerous person" who "starves his own people" and has "huge concentration camps." But Brown argues that however brutal Kim's policies are, he has pursued what in his context is a rational course. "Kim sees only two options -- Baghdad or Islamabad," says Brown. In other words, he can wait for an American attack or he can move quickly to show his nuclear cards -- hoping he can then bargain for a deal that ensures his regime's survival. In Brown's view, "the chance that Kim Jong Il will negotiate away his nuclear option is close to zero."

The only perverse benefit of a North Korean nuclear test is that it would force neighboring states -- such as China and South Korea -- to end their denial and face reality. A nuclear North Korea poses a deadly and destabilizing threat for Asia. Dealing with that threat will require more active cooperation between the United States and its Asian friends. A nuclear test is one hell of a wake-up call, but in this case maybe it's a necessary one.