Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

韓国紙が伝える北の状況

2005-05-23 10:12:02 | 国際
南北次官級協議では、春蒔用肥料20万トンを韓国から北朝鮮に緊急援助することが決り、協議終了後ただちに陸送が始められたらしい。

朝鮮日報は、協議が始まった初日の5月16日、北朝鮮側は「主に肥料が急を要するという話だったが、「切迫」という表現は異例だ。現在北朝鮮はどんな状況なのだろうか」という表現で記事の冒頭を切り出し、北朝鮮の現在の窮状を紹介した。

だが、紹介されたその内容(下記にその記事を掲げる)はといえば、私たち日本人にはそれほど耳新しいものとはいえず、かえって韓国人は北朝鮮の窮状をあまり詳しく知っていないのではないかと疑わせる内容であった。

そういえば、私たち日本人も、北朝鮮のあれほどの窮状をはっきり認識するようになったのは、横田めぐみさんなどの日本人拉致事件が、被害者家族の方々が長年主張してこられた通り、”事実”であったと信ずるようになり、更に小泉首相が平壌に乗り込み、5人の拉致被害者を連れ戻してきた頃からのことだった。

韓国の場合、日本で実際に起ったこういう劇的な真実開陳と新規世論形成が、いまだおこなわれていないわけだ。金大中前大統領、盧武鉉現大統領と、2代10年にわたる「太陽政策」は韓国国民に北朝鮮の窮状をほとんど知らせず、夢のような「南北融和」、「南北統一」を煽っているのだ。


朝鮮日報
「切迫した状況」の北朝鮮は今…?
2005/05/22 17:51

 南北次官級会談の初日の16日、北朝鮮側は「切迫した事情を説明」しながら、肥料とコメ支援を要請したと李鳳朝(イ・ボンジョ)統一部次官が伝えた。

 主に肥料が急を要するという話だったが、「切迫」という表現は異例だ。現在北朝鮮はどんな状況なのだろうか。

 最近北朝鮮を脱出した脱北者と中国の北朝鮮消息筋は、飢えに対する住民の不満などにより北朝鮮社会が戦争のような状況だと伝えた。金正日総書記の危機とまで言われている。最近北朝鮮を脱出した人々の話を集めて見た。

平壌市民のコメ供給も中断

 平壌外郭の市民は今年初めから、平壌中心部の市民は4月初めからコメの確保が難しく、大変な状態だという。住民たちがコメを買っている供給所のコメが底をついたためだ。

 供給所とは、国が決めた価格(1キログラムあたり46ウォン)でコメを売る所だ。供給所にコメがないため、チャンマダン(農民市場)の価格は急騰している。

 労働者の1か月の給料が2500ウォンなのに、今平壌の市場のコメ価格は1キログラムあたり1000ウォンを突破している。これに対し、国家情報院の某関係者は「供給制が正常に運営されているが、季節的要因により一部蹉跌をきたしているようだ」と話した。

軍人もコメ確保できず

 咸鏡(ハムギョン)北道・清津(チョンジン)に司令部を置いている第9軍団幹部らも、3月からコメを確保しようと必死になっている。第9軍団軍官(将校)に会ったという某脱北者は「3月からコメが切れ、トウモロコシも十分でないため、15日分ほどしか買えない状態だ」と話した。この脱北者は「先軍政治を標榜している国で軍人がコメを確保できないというのは、大変な事件」とした。

武装脱営まで

 3月初め、前方の軍部隊の隣近で発生したことだ。監察に出た保衛司令部第5処長(大佐・韓国の大領)が銃弾に撃たれ死亡する事件が発生した。

 第5処長は車に乗っていたが、道路で武装した兵士を乗せいろいろと話をした。この兵士は武装した脱営兵だった。第5処長が逮捕しようとすると、脱営兵が先に拳銃を発射したのだ。この事件以後、非常事態となった。

 前方で一人で歩いている兵士に対する大々的な取り締まりが行われた。最近この地域の軍人に会った某消息筋の説明だ。
 
 この消息筋は「後方地域でも、飢えに耐え切れなくなった兵士らが脱営し、民家を襲う事件まで発生しており、頭を抱えているという話を聞いた」と話した。

義賊団出現のうわさも

 北朝鮮当局は4月初め、全国人民班に講演資料を送った。資料は「盗賊団を暴力組職とみなし、これに加担したり、これらを支援する人は厳しく処罰する」という内容だった。

 最近、江原道の北部地域で実際に義賊と名乗る若い盗賊が多く出沒しているという。これらは党幹部や富裕層の家を襲い、財物を盗んでは、貧しい人々に配っているという。

 このため、一部住民らはこれを洪吉童(ホン・ギルトン)のような義賊と呼んでいる。元山(ウォンサン)地域では義賊が組織的に活動中だといううわさまで流れていると、同地域出身の脱北者は伝えた。

体制不安防ぐための諜報隊運営

 金総書記は最近、中国延辺の延吉を危険地域として特定したと伝えられた。延吉が北朝鮮内体制の不安の前哨基地化する可能性があると判断したというのだ。

 北朝鮮当局はこのような要素を事前に探し出すため、女性たちを延吉に送り、情報を収集するよう指示したと消息筋が伝えた。この女性たちはホテルやサウナなどを始め、人々が多く集まる所で働きながら、反北朝鮮情報を収集するのが任務だという。

北朝鮮も「ニューヨーク・チャンネル」活用示唆

2005-05-23 09:51:28 | 国際

朝日新聞
北朝鮮、「米朝対話」を公式に認める
2005年05月23日01時09分

 北朝鮮の外務省報道官は22日、ニューヨークで13日に行われた米朝対話の事実を初めて公式に認め、「我々は米国側の態度を引き続き注視し、時がくれば我々の立場をニューヨークでの接触を通じて米国側に公式に伝達するだろう」と述べた。北朝鮮の朝鮮中央通信が同日、伝えた。

 同報道官は同通信記者の質問に答える形で「米国務省の代表が、ニューヨークの北朝鮮国連代表部を訪れ、我々に対する主権国家の認定と、侵略の意思がないことなどを公式に伝達した」と述べた。

 だが、ライス国務長官ら米政府高官がその後、北朝鮮の核問題の国連安保理への付託の可能性や制裁措置などについて発言していると非難。「米国が真に6者協議を通じて問題を解決しようとするならば、協議を開催できる条件と雰囲気を実際に作るように動かなければならない」と指摘した。


讀賣新聞
北朝鮮「時が来れば立場を米に公式伝達」
2005年5月23日1時1分

 【ソウル支局】 北朝鮮の朝鮮中央通信によると、同国外務省スポークスマンは22日、今月13日にニューヨークで米朝接触があったことを確認するとともに、「米国側の態度を引き続き注視し、時が来れば、(6か国協議への参加いかんに対する)我々の立場をニューヨークの接触ライン(チャンネル)を通じて米国側に公式に伝達する」との談話を発表した。

 談話は、米朝接触の際に米国側から北朝鮮を「主権国家」と認め、「侵略の意思がない」ことを伝えられたとした上で、「米国が6か国協議を通じて問題を解決しようとするのであれば、会談が開かれうる条件と雰囲気を実際に整える方向で行動すべきだ」と主張した。

訳詩鑑賞『ルバイヤート』(9)

2005-05-23 00:02:39 | 文学
Edward Fitzgerald "Rubáiyát of Omar Khayyám"
矢野峰人訳 『四行詩集』から





 
   第十七歌

王者栄華の跡、今は

孤狼のたぐひるとかや、

かりに名を得し王侯も、

あはれけものむままに。




       17

They say the Lion and Lizard keep
The Courts where Jamshýd gloried and drank deep:
And Bahrám, that great Hunter―the Wild Ass
Stamps o'er his Head, and he lies fast asleep.



 
   第十八歌

帝王の血に咲き出づる

薔薇ばらより紅き花ありや、

また麗人のかうべより

落ちて咲きしか風信子ヒヤシンス




       18

I sometimes think that never blows so red
The Rose as where some buried Coesar bled;
That every Hyacinth the Garden wears
Dropt in its Lap from some once lovely Head.