Smoke will be with me!

cigar, cigarette, pipe tobacco等、タバコと私の濃密な時間

ホームレスと二本のタバコ

2006-02-03 | tobacco
 ホームレスの多くはdowntownに集まっていて、小銭を拾ったり、吸い殻を漁ったりする姿をよく見かける。ところが先日、我が家から一番近いバス停に女性のホームレスが現れた。バスを待つ人たちにタバコをくれない?と聞いて回ったのだ。この辺りでホームレスの姿は稀であり、一瞬にしてその場は嫌な感じの空気に包まれたのは言うまでもない。

 当然、と言えば当然だが、タダでタバコを指し出すわけがない。持っている人が少ないということもあるだろうが、喫煙している一般市民にとってもタバコは高いのだ。聞いている本人もどうせもらえるわけがないと思っているのだろうが、まあ彼女達の仕事みたいなものだ。もしそこで、万が一貰えたら儲けものぐらいに思っているのだろう。

 どうやら何処の国でも若者は地べたに座るものらしい…バス停には地べたに座り込んでタバコを吸っている男の子がいた。ホームレスの女性はその若者にも尋ねた。すると、若者は彼女にタバコを差し出したのだ、それも2本!一番期待出来ないであろう人からの嬉しいプレゼント。彼女はその好意に狂喜乱舞、若者に抱きついて喜びを表わした。まさかホームレスにハグされるとは思わなかった若者は、それにどう応えていいかわからず戸惑ったが、何とか気を取り直して彼女をハグ。

 それまで流れていた嫌な空気が一瞬にして和み、皆いい気分でバスに乗り込んだ…という話しを妻から聞いた。実はその場に居合わせたのは妻である。「なんだかとってもイイものを見せてもらった気分」そう彼女は言った。

 時に、一本のタバコは人を幸せにする事がある。
この日、ホームレスは二本のタバコをもらった…きっとその味は最高だったに違いない。そしてその二本は、その場にいた全ての人に幸せをもたらしたのだ。