Smoke will be with me!

cigar, cigarette, pipe tobacco等、タバコと私の濃密な時間

artisan & artist~ part2

2006-08-21 | cigar
 職人は綺麗な瞳をしていた、そして若かった。
どこかで会ったことがあるような気がしたのだが、Cuba人に友人はいないし、ましてトルセドールに知り合いはいない。どこにでもいそうなラテンの兄ちゃんという雰囲気だったから、そんな気がしたのだろうと家に帰った。そして2時間後…
 
 しまった!やっちまった…
思い出したのだ、あそこでcigarを巻いていた男のことを。あのトルセドールはただの葉巻職人じゃない、あの男はマスタートルセドール。職人になってわずか3年で葉巻職人の最高位・9段になったHamlet Jaime Paredes氏その人だ。何を隠そう私がRomeo Y Julieta工場に行ったのも彼に会うためだった。あの時彼はアジア各国を回っていて香港から戻ったばかり、休みを取っていて会えなかったのだ。彼が目の前で巻いたcigarに火を着けるのが私の目的の一つだったのだが、その彼がまさかあんな小さなショッピングモールにいるとは…

 しかし無情にも時計の針はすでに6時、モールは終わっていた。そしてあのデモはこの日だけ。いくつか気がつくチャンスはあったはずだが…思い出せなかった自分を悔やんだ。どこで間違ったのか…間違った場所の代わりに思い出したのは年配の女性が彼に話しかけた時のことだ。

「あんたもsmokerなの?」
「そうですよ」
「まーbad boyね」
「…(苦笑)」
「そんな葉っぱいじってると体が変になっちゃうわよ」

 彼は社会主義国・Cubaが海外に派遣するほどの人間、国の代表だ。誇りもあるだろうし、国に戻れば結構な地位だろう。もちろんそれなりのcigar shopならば、あんな会話は有り得ない。cigar smokerの間では邪険に扱われる事など決してない。しかし、あの小さなモールではこんな会話が交わされていたのだ。そのギャップを思うと笑える。
 
 それにしても、これで二回目だ。
一度は会いに行き、彼もHavanaにいたにも関わらず会えず仕舞い。今回は向こうからやって来てくれたのに私が気付かなかった…これは間違いなく縁が、いや”煙”がある。きっと三度目は一緒に煙を燻らせることが出来るはず、そう信じている。