「EVDがオオコウモリからヒトに入ってきたと言われています」とは、管理人含め、あらゆる方々がメディアで解説しているところです。そのメカニズム解明、”言われています”の部分が取れるような知見。
- コウモリからヒトにジャンプ!というほど単純なものではなく、もう少し複雑、なパターンがある。
- まず最初に、コウモリとウイルスが両方存在する必要がある。コウモリ特有の免疫システムによって、ウイルス排出には大きな波がある。そしてウイルス感染が自然になおる前に、周囲のほとんどの個体が感染する。
- そしてコウモリのユニークな免疫システムゆえに、感染していても症状をださずに飛び回ることが出来る。それゆえ、遠く離れた群にも感染を拡げることが出来る。コウモリの群と群とが混ざり合えば混ざり合うほど、ウイルスも伝わる確率もあがってゆく。
- 感染したコウモリは、大量のウイルスを排出して哺乳類を感染させる。ヒトは他の動物を介して暴露するが、たいていは発症しない。しかしごくたまに、ウイルスが感染することもある。統計的にいえば、より多くのヒトや哺乳類が、このウイルスの波状排出に暴露すれば、感染の確率も高くなる。
- ただし、ヒトの世界に入って来るのや容易なことではない。我々は、”(ウイルスにとっての)成功例”しか見ていないのでバイアスを抱きやすいが。コウモリは、何千年も何百万年も共存してきた。そのなかで、なぜ1990年代以降の特定時期しかヒトの世界に入ってこないのだろうか。
- その答えは、我々人間側にあるのだろう。行動が変化して野生のコウモリに暴露することが多くなったというのが、重要だけれど強調されていない役割なのだろう。
- 人口増加により、森林伐採が増えて農場や家になった。結果、多くのコウモリが食糧と居場所を求めて動いた。なかには、ヒトの家屋に適応し、果物を食糧源とするものもあらわれた。そしてヒトに近い場所で、尿・便・唾液を残し、家畜に感染する。もっと集中的な農業形態をとり、複数の種を同じ場所で飼うようになれば、ますます感染拡大のチャンスは大きくなる。
- 野生動物を狩り食することでも感染拡大する。ガーナではコウモリは伝統的に食糧とされてきたし、他の多くの場所でも食文化として定着してきた。この営みのなかで猟師がウイルスに暴露してきた。
- コウモリはエコシステムの中で必要な存在でもある。花粉を運び昆虫の数をコントロールする役割ももっている。コウモリが存在しない生活と存在する場合を比べれば後者の方がはるかに快適である。もしコウモリを駆除絶滅しようなどという愚かなことを考えれば、大きなトラブルに将来見舞われるだろう。
奥が深いお話です。
コウモリは感染しても元気に飛び回り、バコッバコッとパルス状に大量のウイルスを排出して家畜経由ヒトにうつしてしまう。あるいはブッシュミートの営みのなかで感染してします。
でもコウモリを駆除すると自然環を破壊してもっと大きな問題が生じてします。
コウモリと我々との、よりよい関係を模索しなければなりません。そのためにも、コウモリの知見がもっと増えることを願っています。
ソースはThe Daily Beast
http://www.thedailybeast.com/articles/2014/11/11/bats-link-to-ebola-finally-solved.html
CRACKING THE CODE
11.11.14
Bats’ Link to Ebola Finally Solved
A new paper outlines five steps required for a virus to ‘spill over’ from bats to humans. But don’t just blame the bats—deforestation and hunting are to blame, too.
恥ずかしながら、目から鱗でした。
毎日新聞で、エボラについて(やっと)整理したものを書きましたね。