新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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コンゴの泥沼エボラにPHEIC・・・に想う

2019-07-19 01:42:16 | エボラ出血熱・EVD・エボラ・エボラウイルス感染症

コンゴのエボラ(EVD)流行、4度目の正直でPHEIC宣言に至りました。なんだか、あっちやこっちや、外圧が加わってきてふらふら大変だなあというのが感想ですね。

  • 1回目、2回目。戦乱地で発生した今回北キブのアウトブレイク。襲撃やら放火やらもあってどんどん感染者数は増えるのだけど、医療従事者の感染という深刻な事態も、この頃からすでに出ていたのだけれど、いずれも否決。理由はいろいろ発表されど、管理人的に印象に残ってるのが「国境を越えていない。コンゴ一国内にとどまっている」からというもの。犠牲者数もどんどん積み上がっているのに、これは2009年のH1N1pdmでPHEIC発出後に(結局大したことなかったじゃないか)と大ブーイング受けたのが相当”羹に懲りて~”状態になってるなあと実感。
  • 3回目。国境を越えてウガンダに入ったのを受けて緊急会合。前回で「国境を越えてないから」と言っちゃった(他にも言ってたけど)手前、これは相当なるプレッシャーだろうなあとみてましたが、否決。でも、否決したその舌で「コンゴの皆さまのお気持ちに寄り添った発言」を事務局長自身が発表するなど、あっちもこっちも怖くて気を遣いまくって、右往左往な空気をおもいきり醸し出す様子は、かつてのケイジフクダ氏が連日出てはっきりメッセージ出してた、あの憧れるカッコよさとは対極。ちなみに、PHEIC発出でコンゴ経済がますます自由度失うという配慮もありました。
  • そうこうするうち、米専門家が相次ぎ、PHEICを!とワシントンポストも交えて突き上げ。これは相当効くなあと思っていたら、
    http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/07/three-more-health-workers-infected-ebola-outbreak
  • かつて日本のPKOも展開したゴマでも発生してしまい、これはエライコッチャ・・・と思っていたら(∵国境近くの大都市)、ドン!と発出。

大幅人員減、予算削減、WHOをめぐる芳しくない話は何かと耳にするわけですが、あっちに気を遣い、こっちに気を遣い、なかなか物事がすすまない苦悩がいろいろチラ見される今回のPHEICでした。

なお、厚生労働省は感染症エクスプレスの号外発出、

「以下の者に対し、日本入国後21日間、1日2回(朝・夕)の体温その他の健康状態について、検疫所への報告を求めています。

・コンゴ民主共和国またはウガンダ共和国の患者が発生している地域に渡航又は滞在していたことが確認された者

・患者の体液等と接触歴があるなど、エボラ出血熱に感染している可能性が排除できない者」

ということです(コピペ)

 


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