新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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新型インフルに押しつぶされた季節性インフル

2009-12-28 12:20:33 | インフルエンザ:基礎知識/新知見

季節性インフルが新型インフルに押しつぶされた(squelch)と、ちょっと面白い表現で報道。

  • いつもなら、季節性インフルエンザ流行のシーズンだ。だけど、どこへ行ってしまったのだろうか?
  • 現状、インフルエンザで入院する患者の99%はH1N1だ。(But “99 percent” of the people who have been hospitalized because of the flu have tested positive for H1N1 virus, not seasonal flu, said Dr. Mark Netherda, Sonoma County's deputy public health officer.)
  • このトレンドは、新しいH1N1が現れ優位を占め、それまでの季節性を押し出す(crowd out)というセオリーに乗っているようだ。
  • ハーバード大Dr. Marc Lipsitch教授も、今シーズン、季節性インフルはやって来ない方に賭けると言っている。しかしそれでも確信はしていない。「押し出すとは、新しいウイルスの流行にともなって、在来のウイルスの感染拡大がなくなることだ。そのメカニズムは、ある種の免疫、短期の免疫が、遠い親戚筋に対しても有効だと推測されている。
  • 過去のパンデミックー1918年と1957年ーは、季節性シーズンより先立つ秋口にやってきた。そして続く(冬の)シーズン中、やや多めの新型ウイルスが見られたが、多数というほどではなかった。そしてそのシーズン、季節性インフルが戻ってきたという証拠はない。
  • だから、新型の流行にともない季節性は押し出されたと推測するのだと。
  • ただし、大きなifをともなう。もし本当にこのセオリーどおりなら、季節性ワクチンの供給が足りない今シーズン、大きな助けになる。でも本当にそうなのか。
  • でも、安全策はとっておいた方が良い。季節性ワクチンが(不足とはいえ)打てるのであれば打っておいた方が良かろう。そしてもちろんH1N1のワクチンを。

歴史どおりゆけば、季節性インフルは来ないといえます。でも、そう言いきれるわけではない。頭の片隅に警戒感は持っておいた方が無難です。

ソースは12月26日付pressdemocrat↓
http://www.pressdemocrat.com/article/20091226/ARTICLES/912269973/1350?Title=H1N1-may-squelch-seasonal-flu-cases&tc=ar
H1N1 may squelch seasonal flu cases

 

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