せっかくの鳥インフル対策がザルになってしまい実効をともなわない現実。ヤミの鶏肉が対策を骨抜きにしてしまう生生しい実態が現地紙に報道されています。
- ベトナムでは、腐敗役人の協力も得ながら、偽造検疫証明書の売買などの手口で鶏肉の密輸が横行しており、鳥インフル流行中にもかかわらずホーチミン市に毎日トン単位の不正な鶏肉が流入している。
- 地域を越えた鶏肉の移動には、ワクチン接種証明と検疫証明書が本来必要。その”偽造版”が30万ドン(14米ドル)で売られ、ワクチン証明も入れると倍に。
- 毎日万単位の家禽類がホーチミン市に運ばれ、認定と殺施設で処理されレストランや社員食堂におろされている。
- Ut Hue in Binh Tam Commune of Long An Province’s Tan An District氏の証言。2週間前、大量の持込みの相談を受けた。それに対し「心配ご無用。いくらでも必要なだけ、たとえ鳥インフルがあちこちで勃発していようが出してあげる(“Don’t worry. I can provide you as many as you need even though there is an outbreak of avian influenza in many provinces,” )と答えた。
- Hue氏は、ワクチン接種済みの鶏を少量とさつして、地域の獣医局に持込み証明書をゲットする。そして包装を破いて、違法な鶏を詰め込むという手口を認めた。また、大量の鶏を移動するときには30万ドン支払って偽証明書を入手するとも。
- そしてPhan Huy Ich Street in HCMC’s Go Vap District, に到着したら、小分けにしてバイクで顧客のもとに配達すると。「私は産地で仕入れて直接顧客に届ける。検疫なんてやってられない。警察を避けるだけよ(During the transport, the only way is to avoid police,” )。
- また、別のディーラーMs. An は、遠い村から検疫をおこなっていない鶏を直接仕入れて企業の社員食堂に直接持ち込んでいる。この非合法鶏は警察の目を欺くため深夜に運ぶとも(Illegal chickens are all transported after midnight to dodge police, she said)。
- また、獣医局側の協力体制も。当局者の証言、「必要ならば、(あとで違法な鶏を詰め込んだ上で封印するための)封印も提供してあげる」「検疫をうける前に、ワクチン接種証明が必要。でも、もしワクチン接種を受けていなくても協力してあげることは可能。(協力料は)鶏1000羽ごとに、ワクチン接種証明と検疫証明あわせて60万ドン」「非合法鶏を移動させたければ、自分に電話かSMSメッセージで、トラックのナンバー、ドライバーの名前、の場所を連絡くれればHam Luong橋のところで証明書を渡す」と生々しい証言。
う~ん。調査報道としては素晴らしい記事、これだけのネタをとってきた記者はかなり優秀ということになるのですが・・・。
途上国における対策の難しさが凝集されています。おかみの目を盗もうという庶民と、少々の(14ドルぽっちの)袖の下で、鳥インフル蔓延中だろうが何だろうがどんどん通してしまうお役人と。 鶏にはワクチン接種しない方がよいのではないか・・・という議論は本旨ではないのでおいといて、問題は、ワクチンや検疫に限らず、何らかの政策をとれば下々は対策をとる→骨抜きになるという構造です。パキスタンあたりでは、さらに武器をもって抵抗する農民などというキャラも登場してきてさらに複雑化。こういう事をやっているなかで、今日もどこかで変異は進行中・・・考えたくもないがこれも現実。
ソースは3月20日付tuoitrenews↓
http://www.tuoitrenews.vn/cmlink/tuoitrenews/features/tons-of-illegal-chickens-carried-into-city-amid-bird-flu-1.65496