新型インフルに感染した16歳青年が、筋肉が溶けて尿真っ黒、立てなくなる・・・そんなショッキングな話が6月にオーストラリアで発生していましたが、査読を通って、やっとこさ今頃になり表になってきました。
- 豪メルボルンMonash Medical Centre。
- 16歳男性。発熱+呼吸器症状3日間の後、高度の筋融解で尿が真っ黒に。
- 入院後間もなくより、CPK値が167249IU/lまで上昇。この標準値は230以下なので、700倍に上昇。さらに、4日後のピーク時には最高1127000IU/lまで上昇。(管理人注:CPKは筋肉の壊死や融解で血液中に溶け出てくる酵素。たとえば悪性症候群や心筋梗塞などで高値になるが、112万7千なんて値は、管理人の20ウン年の医者人生でもただの一度も見たことがない)。
- それでも何とか一命はとりとめて退院。
- 本件は6月に発生していたが、今回、警告の意味で、初めてPediatric Infectious Disease Journalに発表された。
う~ん、だからインフルエンザは怖い。まだまだ分かっていない病気なのです。思ってもいなかった事が飛び出してくる病気なのです。 さらにもうひとつ教訓なのは、本件が6月に発生していて、表になったのが今だということです。おそらく、担当医たちは、論文にならない段階で言っても世間は「オカルト話」ぐらににしか受け取ってもらえないと思って(この判断はかなり現実的に正しい)論文投稿→査読という4ヶ月がかりのプロセスを選択したのでしょう。だから、新型インフル話は、何が飛び出してきても、とりあえず耳を傾けねばならない。フフンと鼻を鳴らして「そんなのエビデンス無いじゃん」「ペーパーにもなってないんダロ」と言ってキワモノ扱いしてたら後でビックリ・・・なんてこと、これからもきっとあるのでしょう。
ソースは10月23日付news.com.au↓
http://www.news.com.au/story/0,27574,26248719-421,00.html
Teen swine flu victim's muscles 'melted' at Monash Medical Centre
<追記>
本件は、季節性インフルでも報告があるとの情報いただきました。”新型”だからということでも無いようです。
新型だから起こったというよりは、インフルエンザだから起こったのだと思います。
「新型」を強調することはミスリーディングにつながるのではないでしょうか。
さっそく、記事に追記入れさせていただきます。