新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

記事の意図は?(グルジア)

2010-11-12 20:43:02 | マスコミを考える

メディアリテラシーの練習。

グルジアのあるHPに載ってる記事。

  • WHOがグルジアに対し豚インフルエンザの遺伝子変異に関し警告を送った。
  • グルジアCDCは、現在、何ら危機的なことには直面しておらず、(WHOからの警告も)非公式(private)ルートを通じて送られたにすぎないとしている。
  • この警告の中で、H3N2が2人に見つかったこと、このH3N2は豚インフルから変異したこと、現在流行中の3種のウイルスが含まれることなどが述べられている。最初のケースはペンシルバニアの46歳男性。
  • 昨年H1N1でグルジアでは27人の犠牲者が発生している。
  • フィードバックは当方のジャーナリストcapital@trend.azに送られたし。

swine flu H1N1とH3N2とLow reactorの件ともろもろ混同されてるような妙ちきりんな記事です。でも「単なる妙ちきりん」で片づけるのも、ちょっともったいなくメディアリテラシー練習問題に使えそう。

追記 2010.11.13
その後、事実関係が米CDCにアップされ、ProMEDやRecombinomicsやあちこちから流れてきています。
この記事はそれらのどれよりも早く流れてきており、なかなか早耳ですね。↓はCDC HP
http://www.cdc.gov/media/subtopic/heard.htm#h3n2 
(以上、追記終わり)

  • どんな人が書いてる?
  • どんな意図がある?

と考えながら読んでみると、

  • ここまでごちゃごちゃに混同しているのは、かなり急いで書いたのであろう。なぜ急いだ?
  • WHOがグルジアCDCに情報提供した。グルジアCDCはプライベートチャンネルで伝わっただけと言っている。つまり、誰も否定はしていない。発表もしていない。実際にあった情報の流れを「特ダネだ!」と打ちたかったのか。単純にそれだけ?
  • フィードバックを返してくれと、公開しているメアドに注目。末尾はドットaz。”az”はアゼルバイジャン共和国。グルジアとは別の国。別の国の記者が「グルジア当局の隠ぺい」を言い立ててる構図。
  • おやおやと思ってCISの地図http://www.meti.go.jp/hakusho/tsusyo/kakuron/H13/MAP03-04-01.htm を見ると、グルジアとアゼルバイジャンは国境を接した隣国。尖閣や北方領土見るまでもなく国境を接した国というのはややこしいこと多し。
  • で、ちょっと検索したら「アゼルバイジャンとグルジアは、運命共同体のような関係で共にロシアとアルメニアに挟まれ、外交の難しい地域である」http://oyajigoro.seesaa.net/article/118459258.html なんて記述が出てきたりする。もっと調べたらもっと色々出てきたりするのだろう。
  • ちょっとややこしい隣国の当局について色々言い立て、あるいは、隣国には”当局に隠されたややこしい病気”があるという印象操作をしたいのか?

こんな事をごにょごにょ考えるのも、インフルウォッチングの楽しみのひとつであります。

ソースは11月11日付Trend↓
http://en.trend.az/capital/business/1780710.html
WHO warns Georgian experts about swine flu mutation

クリックください。写真もずいぶん印象操作的(笑)です。

 

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