新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

サージカルマスクのインフル予防効果はN95に匹敵したという報告

2019-09-06 00:09:37 | インフルエンザ:対策/対策の進歩

マスクはインフルエンザに予防効果があるのか。毎年毎年、シーズンになると、「効果あり!」「そんなエビデンスはありません」「他人にうつさない効果はありますが、自分を守る効果はない」エトセトラ、エトセトラ・・・ネット上でもマスコミ上でも、百家争鳴状態になります。そんな「the long-running controversy( 原文ママ)」に「finally have an answer(同) 」しそうな報告@CDC・ジョンズホプキンズ大・ミネソタ大・・・(以下錚々たる名前並ぶ)

  • 結論は10セントで買えるサージカルマスクも、1ドルかかるN95も、効果において有意差なし。
  • 全米7都市で調査。2011年ー2015年の医療従事者(N=2400 )について、インフルエンザ確定診断例と、呼吸器症状例を調査。
  • 検査で裏付けられた確定例は、N95群207例に対しサージカルマスク群193例。 
  • その他のインフル症状や症状ないけど検査群などあわせN95 群2734例、サージカルマスク群3039例。
  • 今後、医療機関ではそのスタッフの感染予防にサージカルマスクを含め複数のオプションを示すことが出来るようになり、サージカルマスクでインフルエンザから守られると実感できるようになる(Facilities have several options to provide protection to their staff -- which include surgical masks -- and can feel that staff are protected from seasonal influenza)

ひところ、特に2007年頃の鳥インフルN5N1喧伝⇒2009年のH1N1のあたりで、N95狂騒曲がありました。「H5N1が新型インフルエンザになってSARSみたいにヒドイ目にあうかもしれない北京に対して、日本から支援物資N95を送る」動きがありました。さらに管理人が北京に在勤していた頃もSARSの渦中でも確かに”N95の山”を目にしておりました。

あれから15年の歳月を経てようやく、「N95もふつうのサージカルマスクも一緒の効果あり」ということになりました。

いま、令和の時代にあっても、”マスクの是非”についてはディスカッション(というか、効果あり派はあり、エビデンス無し派はなしで、それぞれ独自行動の様相ですが)あり、メディア上でもそれぞれ独自の見解が開陳されています。

まあ、管理人もFM定期出演や産保センター定期講演もあり、少なくとも毎年2回+α以上は世間に向けてこの話しなくちゃならん立場にありますが、令和元年は

「ふつうの(サージカル)マスク、大丈夫です。N95といっしょですから、高いやつ買わなくても同じことだと、米CDCやジョンズホプキンズやら権威筋が最新発表です」路線でまいりたいと思います。

なお、この研究チームは、次は、呼吸器感染症の拡大メカニズムを解明したいと、インタビューに答えて言っております。令和2年のインフル講演はもっとずっと面白い話が出来るかな。

https://www.sciencedaily.com/releases/2019/09/190903134732.htm?fbclid=IwAR0ZRjd0S49Uus7sHi3pJPaWGLFPp9ot40qSfjpG4-PXNxJehGQkmddDV3E

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/09/outpatient-study-finds-masks-respirators-equally-protective

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/09/outpatient-study-finds-masks-respirators-equally-protective

 

 

 

 


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