ハゲタカ (2009)
U.S. Release Date:
■監督:大友啓史
■原作:真山仁『ハゲタカ』『ハゲタカII』『レッドゾーン』
■キャスト:大森南朋/玉山鉄二/柴田恭兵/栗山千明/他
■音楽:佐藤直紀
■字幕:
■お勧め度:★★(★)
「買収ファンドを扱った元新聞記者の作家・真山仁の原作を基にNHKでドラマ化され、国内外で賞賛を得たTVシリーズを銀幕へ昇華した社会派ドラマ。本作は原作のシリーズ第3弾『レッドゾーン』をベースとしてTV版から4年後を舞台に、日本の大手自動車メーカーをめぐって繰り広げられる企業買収の天才“ハゲタカ”と中国系巨大ファンドから送り込まれた“赤いハゲタカ”の壮絶な買収戦争の行く末を緊迫感たっぷりに描く。主演の“ハゲタカ”こと鷲津にはTV版に引き続き「ヴァイブレータ」の大森南朋。共演に「カフーを待ちわびて」の玉山鉄二。監督はTV版の演出も手掛けた大友啓史。
徹底した合理主義で瀕死の日本企業を次々と買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとった鷲津政彦も、今では絶望的な日本のマーケットに見切りをつけ、海外に生活の拠点を移していた。そんな鷲津のもとにある日、かつての盟友・芝野が訪ねてくる。彼が現在役員を務める日本の名門自動車メーカー“アカマ自動車”を、中国系巨大ファンドによる買収危機から救って欲しいと頼みに来たのだった。その買収の急先鋒となっているファンド、ブルー・ウォール・パートナーズを率いるのは、残留日本人孤児三世の劉一華(リュウ・イーファ)。彼は、鷲津が勤務していた米ホライズン社の元同僚で、自らを“赤いハゲタカ”と名乗っている。こうして、巨額の資金を背景に圧倒してくる劉との因縁めいた買収戦争に挑む鷲津だが…。」(allcinema.net/より。)
原作とNHK版は分からないが、ちょっと色々、詰め込み過ぎたか。テーマ的には5ケはあるだろう。面倒なので二つだけ。
中国という国は、表向きは民主主義ぶっているが、実際は共産党の一党独裁の国であること。“赤いハゲタカ”のバックにある「中国系巨大ファンド」というのは、中国共産党のこと。ただし共産党が実権を握っているにしても、表向きは「ファンド」という体裁をとって外国企業を買収する場合、いわゆる民主主義、資本主義の国から見ると、なんら問題は無いことになる。ましてや建て前として業績の悪化した「アカマ自動車」と提携して更正を図るという名目であれば、買収というよりアカマ救済という事になってしまう。この後が問題で、作品では中国側は実際にはアカマの技術だけ盗んで会社自体は他に売り飛ばす魂胆だったという展開だが、これも中国共産党の一党独裁であると共に表向きは民主/資本主義国家という二面性がダブっていて、日本その他の会社と提携して先進技術を導入したいという事も事実だろうし、実際は提携ではなくて、買収する事でプラント等を中国に移し、雇用確保を狙いたいというのも事実だろう。作品ではこの二面性を描いているが、実際はどうなのだろう。新技術を導入するというのは、それが買収という手段を取れば国際社会に非難され、民主主義の化けの皮が剥がれる危険性がある。決してバカではない中国共産党がそのリスクを侵すだろうか。中国は既に製造業の分野では世界を席巻している。あえて新技術の導入に、そうしたリスクを侵してまでこだわる必要は無いのではないだろうか。端的な話し、中国が製造業製品の輸出を「自制」すると言っただけで、世界中に経済危機が訪れることは容易に想像できる。それに中国共産党が民間企業に投資するということ、これが問題として描かれるが、映画の世界を見ても分かるように、中国の国情からすれば、共産党の表顔にすぎない中国政府が民間企業に投資すること自体、すでにやっている事で、これが他の国から見て問題だと言うなら、同じ例で言うと、中国映画で巨費を投じたものは、上映禁止にして非難する必要が生じることになる。そんな事をやった国は無いだろう。同じ事を映画以外の分野でやった場合、果たしてそれを問題として非難できるか。というような事を考えた場合、作品の筋書きとしては、「アカマ自動車」買収をめぐる攻防ということだが、この筋書きとは別に、あるいは関係なく、むしろ上のような事がテーマになってしまい、筋書き自体が消滅してしまう結果となっている。「アカマ自動車」を買収する側と、会社を守る側の攻防という筋書きで観れば、面白いものの、この筋書きは、中国共産党の動きが背後にあるという事が分かるにつれ、上のテーマに置き換えられてしまう。なお悪いのは、この事が最初に明示されている事。作品としては重要なテーマを描くことで、逆に作品自体を殺してしまったかもしれない。とは言っても「アカマ自動車」の買収劇を描くためには、この事(共産党の関与)を最初に描かないと、筋書き自体が分からないという矛盾もある。端的な例が資金の問題。1400円台にまで下落したアカマ株を、2200円で買い取る理由が分からなくなる。企画はNHKらしいが、製作は東宝だろう。先週の「劔岳」に続いて、映画会社の作る作品にチグハグな面が残っているのかもしれない。詰め込み過ぎという問題に関しては、上のテーマに加え、派遣社員冷遇の問題、中国残留孤児の問題、「ファンド」のせいで自殺した企業家の娘がリポーターをやっていること。全部、考えるとヒドい疲れる。こういう作品を観た後は、マックのレギュラーの笑顔が輝いて見える。というのが最大の収穫。
ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)
U.S. Release Date:
■監督:大友啓史
■原作:真山仁『ハゲタカ』『ハゲタカII』『レッドゾーン』
■キャスト:大森南朋/玉山鉄二/柴田恭兵/栗山千明/他
■音楽:佐藤直紀
■字幕:
■お勧め度:★★(★)
「買収ファンドを扱った元新聞記者の作家・真山仁の原作を基にNHKでドラマ化され、国内外で賞賛を得たTVシリーズを銀幕へ昇華した社会派ドラマ。本作は原作のシリーズ第3弾『レッドゾーン』をベースとしてTV版から4年後を舞台に、日本の大手自動車メーカーをめぐって繰り広げられる企業買収の天才“ハゲタカ”と中国系巨大ファンドから送り込まれた“赤いハゲタカ”の壮絶な買収戦争の行く末を緊迫感たっぷりに描く。主演の“ハゲタカ”こと鷲津にはTV版に引き続き「ヴァイブレータ」の大森南朋。共演に「カフーを待ちわびて」の玉山鉄二。監督はTV版の演出も手掛けた大友啓史。
徹底した合理主義で瀕死の日本企業を次々と買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとった鷲津政彦も、今では絶望的な日本のマーケットに見切りをつけ、海外に生活の拠点を移していた。そんな鷲津のもとにある日、かつての盟友・芝野が訪ねてくる。彼が現在役員を務める日本の名門自動車メーカー“アカマ自動車”を、中国系巨大ファンドによる買収危機から救って欲しいと頼みに来たのだった。その買収の急先鋒となっているファンド、ブルー・ウォール・パートナーズを率いるのは、残留日本人孤児三世の劉一華(リュウ・イーファ)。彼は、鷲津が勤務していた米ホライズン社の元同僚で、自らを“赤いハゲタカ”と名乗っている。こうして、巨額の資金を背景に圧倒してくる劉との因縁めいた買収戦争に挑む鷲津だが…。」(allcinema.net/より。)
原作とNHK版は分からないが、ちょっと色々、詰め込み過ぎたか。テーマ的には5ケはあるだろう。面倒なので二つだけ。
中国という国は、表向きは民主主義ぶっているが、実際は共産党の一党独裁の国であること。“赤いハゲタカ”のバックにある「中国系巨大ファンド」というのは、中国共産党のこと。ただし共産党が実権を握っているにしても、表向きは「ファンド」という体裁をとって外国企業を買収する場合、いわゆる民主主義、資本主義の国から見ると、なんら問題は無いことになる。ましてや建て前として業績の悪化した「アカマ自動車」と提携して更正を図るという名目であれば、買収というよりアカマ救済という事になってしまう。この後が問題で、作品では中国側は実際にはアカマの技術だけ盗んで会社自体は他に売り飛ばす魂胆だったという展開だが、これも中国共産党の一党独裁であると共に表向きは民主/資本主義国家という二面性がダブっていて、日本その他の会社と提携して先進技術を導入したいという事も事実だろうし、実際は提携ではなくて、買収する事でプラント等を中国に移し、雇用確保を狙いたいというのも事実だろう。作品ではこの二面性を描いているが、実際はどうなのだろう。新技術を導入するというのは、それが買収という手段を取れば国際社会に非難され、民主主義の化けの皮が剥がれる危険性がある。決してバカではない中国共産党がそのリスクを侵すだろうか。中国は既に製造業の分野では世界を席巻している。あえて新技術の導入に、そうしたリスクを侵してまでこだわる必要は無いのではないだろうか。端的な話し、中国が製造業製品の輸出を「自制」すると言っただけで、世界中に経済危機が訪れることは容易に想像できる。それに中国共産党が民間企業に投資するということ、これが問題として描かれるが、映画の世界を見ても分かるように、中国の国情からすれば、共産党の表顔にすぎない中国政府が民間企業に投資すること自体、すでにやっている事で、これが他の国から見て問題だと言うなら、同じ例で言うと、中国映画で巨費を投じたものは、上映禁止にして非難する必要が生じることになる。そんな事をやった国は無いだろう。同じ事を映画以外の分野でやった場合、果たしてそれを問題として非難できるか。というような事を考えた場合、作品の筋書きとしては、「アカマ自動車」買収をめぐる攻防ということだが、この筋書きとは別に、あるいは関係なく、むしろ上のような事がテーマになってしまい、筋書き自体が消滅してしまう結果となっている。「アカマ自動車」を買収する側と、会社を守る側の攻防という筋書きで観れば、面白いものの、この筋書きは、中国共産党の動きが背後にあるという事が分かるにつれ、上のテーマに置き換えられてしまう。なお悪いのは、この事が最初に明示されている事。作品としては重要なテーマを描くことで、逆に作品自体を殺してしまったかもしれない。とは言っても「アカマ自動車」の買収劇を描くためには、この事(共産党の関与)を最初に描かないと、筋書き自体が分からないという矛盾もある。端的な例が資金の問題。1400円台にまで下落したアカマ株を、2200円で買い取る理由が分からなくなる。企画はNHKらしいが、製作は東宝だろう。先週の「劔岳」に続いて、映画会社の作る作品にチグハグな面が残っているのかもしれない。詰め込み過ぎという問題に関しては、上のテーマに加え、派遣社員冷遇の問題、中国残留孤児の問題、「ファンド」のせいで自殺した企業家の娘がリポーターをやっていること。全部、考えるとヒドい疲れる。こういう作品を観た後は、マックのレギュラーの笑顔が輝いて見える。というのが最大の収穫。
ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)