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スパイ取締り強化を

2009年05月06日 | 政治

産経ニュースの主張が産業スパイを取り締まる法律の厳罰化を取り上げている。

軍事転用可能な技術や機密情報の海外流出防止と産業スパイの取り締まり強化を目的にした改正外為法と改正不正競争防止法が成立した。

産業機密情報の漏洩(ろうえい)にあまりに無防備で「スパイ天国」とさえいわれてきた日本にとって一歩前進といえる。施行は来年中というが前倒しすべきだ。加えて重要な国家の防衛、外交機密についても外国のスパイから守る法の整備が必要で、長年の懸案である国家秘密法(スパイ防止法)の制定が急がれる。

今回の法改正は3年前に発覚した光学機器メーカー、ニコンの研究者がロシアに軍事転用可能な機密部品を渡した事件や、一昨年の自動車部品メーカー、デンソーの中国人従業員による図面データの大量不正持ち出し事件などがきっかけとなった。研究者は窃盗罪、従業員は横領罪に問われたが、結局は起訴されず、両社とも泣き寝入りする結果に終わっている。

このため改正外為法では、安全保障上の懸念がある技術を国外に提供する場合は、すべて経済産業相の許可が必要とした。さらに、無許可の技術提供や輸出に対する罰則についても、最長10年の懲役へと量刑を引き上げた。

一方、改正不正競争防止法では、産業スパイが企業の重要情報をコピー、送信などの手段で不正に持ち出しただけで刑事罰が科されることになる。

これまでは、従業員が企業秘密を外国政府に渡しただけでは摘発が困難で、不正取得された情報がライバル企業に渡った事実まで被害企業が立証する必要があった。それが今回の改正により、デンソー事件のようなケースも立件が可能となる。

しかし法整備はこれでも十分とはいえない。日本では情報の不正持ち出しが窃盗罪の対象にはならない。スパイ行為を包括的に取り締まる法律もない。日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法や自衛隊法、原子炉等規制法などに部分的な取り締まり規定はあるが、抑止力は不十分だ。日本を舞台にしたスパイ活動が分かっても、外国人登録法や出入国管理法違反などの軽い処罰にしかならない。

個別法による対応は、すでに限界にきている。ほとんどの国ではスパイ防止法を制定し、国家機密の保護を当然の責務としている。日本も情報漏洩で国益が損なわれる事態をいたずらに見過ごすことは許されない。

スパイが犯罪であることは議論の必要もないことだ。日本には他国が日本に侵略してきたときに何もしないことが絶対的な善だと考えている人がいるようだが、そのような人は今中国のチベットやウイグル自治区で何が起こっているかを見てみれば良いだろう。日本の産業機密や国家機密を盗むことを取り締まることは当然のことで、遅すぎたという言葉さえ弱すぎるくらいだ。このような当然の取り締まりに反対してきたもの達の非論理性と、犯罪的思考回路に対する追求が行われるべきである。

北朝鮮がミサイル発射実験を行い、核兵器の開発を続けている。また、中国が軍備拡張を続け、東アジアでの脅威が増している。このような状況を考えると、国家機密を保護し、軍事国家が他国に侵略する誘引を取り除くことが急務であることが分かる。相手の言うことに無条件で従うことが共生であるという差別主義的な考え方ではなく、他国に対して高圧的に出る国家を牽制することによって対等な国際社会を日本は建設していくべきだろう。戦前に、欧米諸国による略奪的な支配に反対しアジアの開放を信じた日本にはその義務があるだろう。

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