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不都合な真実

2009年05月04日 | 経済一般

今日の池田信夫blogで労働者が資本家に搾取される存在だったという主張が嘘だという事実が紹介されている。これは歴史をちゃんと勉強してる人間にとってはかなり前から常識であったがいまだに階級史観を信じて(自分の既得権を守るために)戦っている人がいるのはかなり笑える話だ。

用問題を冷静に考える最大の障害になっているのは「労働者は資本家に搾取される弱者で、政府が救済しなければならない」という通念だ。社会主義が崩壊した後も、この固定観念は多くの人々に共有されているが、クラークはこれを経済史の計量的な研究によって否定している。

そもそもプロレタリアートがそれほど悲惨な存在なら、なぜ産業革命の時期に農業を捨てて工場労働者になる人が急増したのだろうか。答は簡単である。プロレタリアートのほうがはるかに所得が高かったからだ。クラークのデータによれば、産業革命後のイギリスで急速な成長による収益のほとんどは、単純労働者に分配された。この理由も簡単だ。労働市場の競争が激しく、労働生産性の上昇に応じて賃金が上がったからだ。限界生産力説の教えるように、労働市場が競争的であれば賃金は労働の限界生産力に等しくなるのだ。・・・

工場労働者が社会的な関心を集めたのは組織化されやすい存在であり、社会的な影響力を持ったからだ。これは封建時代に都市民が自治権を要求し力を付けていった過程と同じで労働者が最底辺であったわけではない。その意味で、労働者が関心を集めその闘争の理論的な分析が行われたのは、労働者が搾取されていたからではなく影響力を持つ特権的な階級であったからである。

歴史的に見ると工場労働者よりも搾取されていた階層はたくさんあった。農民がまさにそうであったし、奉公人もまた主人に支配しされていた。また、植民地の住人や奴隷は最も搾取され圧政を受けた。しかし、労働者は社会的に目立つ存在であったために労働者が注目を集めた。そしてまた、労働者は旧来の既得権層である貴族や封建領主の敵である資本家や産業家と敵対したために、特権階級からの支持を集めた。

しかしながら、本来の弱者ではなく目立ち、力を持っている労働者を保護するべき存在と捉えたことは大きな代償をもたらした。多くの格差や差別が無視される中で、反資本家という名目が付けば労働者の権利は絶対的なものとして君臨することになった。また、共産主義が失敗した原因の一つも、資本家や産業家に対する憎悪に既存の封建領主や貴族といった旧来の特権階級が合流し権力を握ったことがあった。そんな中、最も搾取されていた階層や、植民地は関心の外に置かれることになった。

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