鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

ボーダーライン(2)

2020-06-22 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から
絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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シェークスピアの戯曲の「ハムレット」にこんなセリフがあります。
To be,or not to be. That is the qestion.
いろいろな訳がありますが、生きるか死ぬかのボーダーラインのことを言っているようです。

鈴木信夫はこのテーマで2回詩をつくっています。
今回が2度目、最初は詩だけですが、下記に紹介します。

ボーダーライン(2)

わたしは、何か世の中に取り残されてる
世の中だけが進んで、わたしは止まってるのか
そんなボーダーラインにあるのか
自由なら、取り残されない自信はある
自由なら、ひとりで生きられる自信はある

わたしは、何か世の中に取り残されてる
世の中だけが進んで、わたしは止まってるのか
そんなボーダーラインにあるのか
わたしは、夢を描いてはいけないのか
わたしは、やりたいこともできないのか

悔しくても壁を叩けない、わたし
何かで気持ちを晴らせない、わたし
できるのは、ただ、泣くのみで
できるのは、ただ、悔しがるのみで
そこにいるだけではいけないのは、わかっている

もうそろそろ、線引きするところを変えて
ボーダーラインをすこし変えて
誰かのために世の中を動かしていきたい

   詩手紙2010.3.9
   


2017年4月15日のブログに「ボーダーライン」という詩を紹介しています。
次のような詩です。

        ボーダーライン

ボーダーラインで生きてきて
いつも生命をみて、死をみてきた「わたし」
いつも理想をみて、絶望をみてきた「わたし」
人の生き方のボーダーライン
そこから上が正しい生き方で
そこから下が情けない生き方で
そんなもの、誰がきめて、なんで従わないといけないのか
どんな生き方が美しいかなんてわからない
誰もわからないもののはずなのに
線をひくのは「わたし」誰でもない「わたし」
きめるのは「わたし」誰でもない「わたし」
この生き方がどうだったのか
それは神様だけしかわからないもの
少なくとも人がきめるものじゃない
だから「わたし」は「わたし」の生き方をするしかない
結局のところボーダーラインにいること
そんなものは関係なかったみたいだね


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