鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

鳥のつばさ

2022-04-24 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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「翼をください」という歌があります。
50年前に発表された歌で、いまだに若い人にも人気のある歌です。
鈴木信夫もこの歌が好きでした。
♫悲しみのない自由な空へ
という歌詞が気持ちを代弁してくれていたのかもしれません。

詩手紙のコメントは季節に関してです。
「まだまだ冷たい麦茶が美味しいです。
 夏が終わらない感じがします。」


      鳥のつばさ
                         2010年8月

ぼんやり見つめる鳥のすがた
そこにはなにがあって、なにが見える
鳥のつばさがあるなら
僕は、空にあるものを見てみたい
空にあるものをつかんでみたい
鳥のつばさがあるなら
僕は、地上を上から見てみたい
地上をもういちど見なおしてみたい
ちがう世界を知らなすぎて
ちがう見えかたを知らなすぎて
気づいたころには、なにかがちがっている
そういうことが多くなっているのかもしれない

ぼんやり見つめる鳥のすがた
そこにはなにがあって、なにが見える
鳥たちはなにを思い、どう思う
僕たちには、それが見えないから
右に向いたり、左に向いたりする
鳥たちはなにを思い、どう思う
僕たちには、それが見えないから
ふみだしたり、あとずさりしたりする
ちがう世界を知らないから
ちがう見えかたを知らないから
我にかえった時には、なにかがちがっている
それでは、ちょっと悲しい

人に鳥のつばさがあるなら
進みすぎた時計の針を戻せるかもしれないのに  

   詩手紙2010.9.7
   



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作品を引用するとき

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